ミニリンメルト

使用方法

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服用のタイミング・期間

夜尿症と中枢性尿崩症とでは投与量や投与タイミング、投与期間が異なります。

夜尿症(尿浸透圧/尿比重の低下に伴う場合)

通常、1 日 1 回就寝前にデスモプレシンとして120µgから経口投与を開始します。効果不十分な場合は、1日1回就寝前にデスモプレシンとして240µgに増量することができます。

就寝中の尿の生成を減らす目的で使用するため、ミニリンメルトは就寝前に投与します。就寝前投与で効果が不十分なときは就寝30分~1時間前に投与します。120μgで開始し、10-14日後(次回来院時等)に必要であれば240μgに増量します1)
なお、ミニリンメルトは投与開始し4-12週にて効果判定し、効果が認められている場合は3-6ヵ月程度を治療期間とすることがNICEガイドライン2)で推奨されていますが、夜尿症は自然に軽快/治癒する傾向があるため、定期的に(3ヵ月前後)に治療を1-2週間中止して患者の夜尿状況を観察するなど、漫然とミニリンメルトを継続しないでください。

ミニリンメルト投与により夜尿症が改善した場合には、減量/中止を検討します。ミニリンメルトの減量方法についていくつかの報告があり、即時中止法よりも段階的に減量した場合において再発率が減少するとされています1)

中枢性尿崩症

通常、デスモプレシンとして1回60-120µgを1日1-3回経口投与します。投与量は患者の飲水量、尿量、尿比重、 尿浸透圧により適宜増減しますが、1回投与量は240µgまでとし、1日投与量は720µgを超えないようにしてください。

まず、一晩に1回トイレに起きる位の量(低用量)で投与開始し、次に、夜間にゆっくり眠れ、昼間に作用が一時切れる位の投与量となるよう調整します3)。患者に合った投与量が確定した段階で、水中毒の予防のため、1日1回程度、薬剤の効果が切れる時間をつくるよう、次の投与タイミングの直前に多尿が出現するように調整します4) 。最後に、昼間に何回もトイレに行くようであれば、朝の投与量を増量します3)

留意点

  1. ミニリンメルト投与で尿量が減少しているにもかかわらず、多量の飲水が習慣となっていることがあるので、投与開始当初は毎朝体重をはかり成人の場合1kg以上の体重増加は注意するように指導ください。1kg以上の体重増加の際は投与量を減量し、さらに体重が増加するときは血清ナトリウム値を測定します(低ナトリウム血症の確認)5)
  2. 軽度中枢性尿崩症患者においては、1 日の尿量のもっとも多い時間帯に合わせて、1回投与することで1 日効果が期待できる場合があります6)
  3. 小児の中枢性尿崩症患者においては、年齢や体格、残存する尿濃縮力などから至適用量を予測することは難しいため、症例毎に至適用量を決める必要があります4)
  4. ミニリンメルトの吸収が低下するため、食直後(食後30分以内)の投与は避けてください。また、食後よりも空腹時(食前)で吸収が高まることが報告7)されています。患者毎に生活スタイルに合った投与タイミングを決定した後は、昨日は「食後投与」、今日は「食前(空腹時)投与」のように服用タイミングを変更することなく服用するよう指導ください。
効能・効果 60μg 120μg 240μg
夜尿症 -
中枢性尿崩症

用法・用量に関連する使用上の注意

  • 低ナトリウム血症の発現を防止するため、低用量から本剤の投与を開始してください。また、投与量の増量は慎重に行ってください。
  • 小児の中枢性尿崩症の治療において本剤60µg投与で過量投与が懸念される場合は、デスモプレシン経鼻製剤の使用を考慮してください。
  • 本剤を食後投与から食前投与に変更した場合、投与後に血漿中デスモプレシン濃度が高くなり有害事象の発現リスクが上昇する可能性があることを留意して、患者ごとに本剤の投与と食事のタイミングを検討してください。
  • 食直後投与では目的とする有効性が得られない可能性があるため、食直後の投与は避けることが望ましいです。
  • 夜尿症及び中枢性尿崩症の治療における水分摂取管理の重要性を考慮し、本剤は水なしで飲むようにしてください。なお、本剤は口の中(舌下)に入れると速やかに溶けるようになっています。
  1. 夜尿症診療ガイドライン 日本夜尿症学会編集 2016;74-78
  2. National Clinical Guideline Centre:NICE-NationalNational Institute for Health and care Excellence- clinical guideline CG111 ,2010;1-46
  3. Jane JA Jr,Pituitary 2006;9(4) :327-329.
  4. 横谷進,小児科診療 1993;56(9) :1799-1804.
  5. 阿部好文,薬局 1993;44(6):799-803.
  6. 田苗綾子 他,日本内分泌学会雑誌 1978;54(5), 676-691.
  7. 社内資料:薬物動態に及ぼす食事の影響[000032]