夜尿症について
夜尿とは、夜間就寝中に不随意的に遺尿を生じ、衣類や寝具を湿潤させる状態をいいます。
幼児期に夜寝ている間におねしょをする場合(排尿にかかわるメカニズムが未熟) | |
5歳以降で、1か月に1回以上の夜尿が3か月以上続くもの |
夜尿症の初期診療
~小学生になっても続くおねしょをどう診るか~
夜尿症の経験は子供に強い精神的外傷をもたらします
これらの経験は、いじめよりも悪い経験とみなされました。
夜尿症の経験は子供に強い精神的外傷をもたらすことが示唆されています。
夜尿症に悩む患者が多いにもかかわらず、未受診・未治療の患者が多い
夜尿が続いて受診した小学生に対しては「とりあえず様子をみる」時期は過ぎています
1)服部益治:小児看護 38:336-341, 2015
早期の治療介入が、夜尿卒業までの期間を短縮させます
1)日本夜尿症学会編:夜尿症診療ガイドライン2016.診断と治療社,p11, 2016
初期診療での問診のポイント
生活指導のポイント
夜尿症治療の基本は、生活改善に取り組むことです。この取り組みは、お子様の約2~3割が生活改善の実施のみで夜尿しなくなる、と言われるほど重要です。
- 夜更かしや不規則な生活は夜尿を悪化させます。早寝、早起き、決まった時間の食事を心がけましょう。朝食と昼食は、しっかり食べましょう。夕食は控えめにして、できるだけ寝る3時間前までに済ませましょう。
- 寝る前に水分を摂り過ぎると、夜尿につながります。ただし、水分は体にとても大切ですので、朝食と昼食ではたっぷり摂ってください。昼食の後からは水分(ジュース、お茶、牛乳など)を控えめにし、夕食時から就寝まではコップ1杯程度までの水分摂取にとどめましょう。
- 塩分の摂り過ぎは、のどの渇きから夜尿の原因となる水分の摂り過ぎにつながります。また塩分の摂り過ぎは、水分を摂り過ぎていない場合でも、夜尿の原因になります。
- 便秘とは、便の回数が少ない(週2回以下)か、出にくい(出血や痛みがある)ことをいいます。便が腸に大量にある状態は膀胱などを圧迫し、夜尿の原因となっている可能性があります。野菜・果物・豆類・芋類などに多く含まれる食物繊維を多く食べることを心がけましょう。
- トイレに行ってから寝る習慣をつけましょう。
布団に入り30分~1時間経っても寝付けないときには、もう一度トイレに行きましょう。
- 冷えは、尿が作られる量を増やし、膀胱が縮小することにつながります。特に冬は、下着を重ね、靴下を履き、ダウンベストを着る等により、体幹を冷えから守り、温かくして寝ましょう。
- 夜中に無理にトイレに起こすと、寝ている時間におしっこをする習慣がつき夜尿が治りにくくなることがあります。
夜尿症初期診療の全体像(治療の流れ)
初めて受診される場合は、お子さまの状態を確認するために「尿検査」と「問診」が行われます。
- 尿検査
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- 臓器そのものの疾患である可能性の除外
- 薬物治療に適応しているかどうかの確認
- 問診
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- 生活改善をするために現在の生活習慣を確認
- 昼間にもおもらしをする、便をもらしてしまうなど臓器そのものに疾患がないかを確認
※専門的な治療が必要と判断されれば、専門医に紹介される場合があります。