1. ホーム
  2. >
  3. 生殖医療領域
  4. >
  5. 最新学術情報

最新学術情報

生殖医療領域の一覧に戻る

弊社製品領域の最新情報を論文等から紹介しています。特定の薬剤/システムの処方/使用誘因あるいは企業の営利を企図するものではなく、
また国内での承認外の情報を一部含んでおりますがこれを推奨するものではありません。薬剤の使用にあたっては最新の添付文書をご参照ください。


反復着床不全の女性から採取した子宮内膜細胞外小胞は胚の発育と浸潤を抑制する
Endometrial extracellular vesicles from women with recurrent implantation failure attenuate the growth and invasion of embryos

Liu C, Yao W, Yao J, Li L, Yang L, Zhang H, Sui C
Fertil Steril 2020年 114巻 2号 416〜425

IVF での着床不全の3分の2は子宮内膜因子が原因とされており、反復着床不全(RIF)の女性と健康な女性の子宮内膜遺伝子プロファイルは異なることが報告されている。また、細胞間コミュニケーションの役割を果たす細胞外小胞(EV)は、インプランテーションウインドウ(WOI)の時点の子宮液から検出されている。本研究では、RIF患者から採取した子宮内膜EVによる胚の発育と浸潤への影響をin vitro で検討した。40歳未満のRIF 患者10例、過去2年以内に自然妊娠で出産したfertile(FER)な女性7例から子宮内膜組織を採取し、WOI の条件で子宮内膜細胞から分泌されるEVを分離した。RIF-EV およびFER-EV の多くは、サイズが100nm 以内で、二重膜を有し、EV 蛋白質マーカーのTSG101、Alix、CD9を発現していた。2細胞期のマウス胚と共培養したところ、12時間以内にRIF-EV およびFER-EV が胚に取り込まれた。共培養後の胚盤胞率は、RIF-EV 濃度が0μg/mLで51.6%、5μg/mL で35%、10μg/mL で38.1%、20μg/mL で32.9%であり、5μg/mL 以上ではFER-EV と共培養した場合に比べて有意に低かった(p <0.05)。ハッチング率と胚盤胞の総数についても、RIF-EV 濃度が10μg/mL、20μg/mLの場合、FER-EVと共培養した場合に比べて有意に低かった(p <0.05)。さらに、共培養後のハッチング胚を用いて細胞浸潤を調べたところ、RIF-EVとの共培養で得られたハッチング胚は、FER-EV と共培養したハッチング胚に比べて浸潤率が有意に低かった(30% vs 73.7%、p <0.05)。以上の結果から、RIF 患者の子宮内膜EV は胚の発育と浸潤を抑制することが示唆された。

 参考URL

続きを見る

 

凍結胚移植自然周期でのhCGの追加投与は周期転帰を改善する:後方視的コホート研究
Natural frozen embryo transfer with hCG booster leads to improved cycle outcomes: a retrospective cohort study

Reichman DE, Stewart CR, Rosenwaks Z
J Assist Reprod Genet 2020年 37巻 5号 1177〜1182

凍結胚移植自然周期(nFET)での黄体補充にはプロゲステロン(P4)が使用されてきたが、LH サージ後のhCG 追加投与による有益性もわずかに報告されている。本研究では、P4のみの黄体補充と比べてhCGの追加投与がnFETの妊娠転帰に及ぼす影響を検討するため、2017~2018年に米国の1施設においてPGT-A で判定した単一胚盤胞を用いてnFET を初めて施行した女性529例を対象とする後方視的コホート研究を行った。子宮因子による不妊は除外した。全例とも、胚移植日の夜からP4経腟剤の投与を開始した。146例(平均37.58±3.76歳)がLH サージの翌日にhCG(2,500IU、3,300IU、5,000IU、10,000IU)の単回ボーラス投与を受けた(追加投与群)。383例(37.22±4.18歳)は追加投与を受けなかった(対照群)。主要評価項目の継続妊娠率は、対照群の57.4%と比べ、追加投与群で69.9%と有意に高く(p =0.0119)、胚移植時の年齢、胚の質、BMI、子宮内膜厚の最大値、妊娠回数、経産回数で調整した調整オッズ比は1.724であった(95%信頼区間1.13~2.65)。hCG の投与量と継続妊娠率に有意な関連はみられなかった。多重ロジスティック回帰分析の結果、hCG の追加投与に加え、胚の質も妊娠転帰と有意に関連した(2.03、1.11~3.84)。胚の質のグレード別の継続妊娠率は対照群と比べて追加投与群で高かった(excellent:84% vs 61%、good:73% vs 67%、average:72% vs 57%、poor:58% vs52%)。妊娠初期の流産率(3.4% vs 3.7%)、生化学的妊娠率(5.5% vs 7.3%)に群間で有意差はみられなかった。以上の結果から、LH サージの翌日のhCG 追加投与はnFETの周期転帰を改善すると考えられた。胚発育の初期にhCGの生合成が始まり、自然周期の着床前の子宮腔内からは高濃度のhCG が検出されていることを考えると、hCGを追加投与することにより自然周期に似た局所作用が得られるものと推察される。

 参考URL

続きを見る

 

モザイク胚の発育能に関する新しいエビデンス:栄養外胚葉生検と着床前染色体スクリーニングで診断したモザイク胚822個の多施設共同研究
New evidence on mosaic developmental potential: multicentric study of 822 mosaic embryos diagnosed by preimplantation genetic testing with trophectoderm biopsy

Spinella F, Greco E, Victor A, Minasi MG, Barnes F, Zouves C, Grifo J, Cheng EH, Munnè S, Biricik A, Surdo M,Baldi M, Ruberti A, Fiorentino F, Viotti M
The 36th Virtual Annual Meeting of the European Society of Human Reproduction and Embryology Virtual Annual Meeting 5-8 July, 2020 2020年 

PGT-Aを実施した場合に、モザイク胚移植が選択肢の一つとされているが、妊娠転帰のデータが少なく、外胚葉生検による内部細胞塊の倍数性の予測が不正確であることから、モザイク胚の発育能評価が明確になるまでは、モザイクに関する情報を開示すべきでないという見解もある。本研究では、モザイク胚の臨床転帰が染色体構成の影響を受けるかを検討するため、2016年5月~2019年5月にIVFを施行した女性に移植されたモザイク胚822個の臨床転帰を評価し、対照群のeuploid 胚盤胞3,781個と比較した。Day 5またはDay 6/7の胚盤胞の外胚葉生検を行い、次世代シークエンサーを用いた着床前染色体スクリーニングにて20~80%の異常細胞が検出されたものをモザイク胚とした。また、染色体構成がモノソミーまたはトリソミーのsingle mosaic aneuploidy(SM)、その組み合わせのdouble mosaic aneuploidy(DM)、3種類以上の異常がみられるcomplex mosaic aneuploidy(CM)、5Mb を超える欠失/ 挿入がみられるmosaicsegmental aneuploidy(MS)に分類した。解析の結果、外胚葉のaneuploid細胞が10%増加するごとに、着床率(傾き-0.42、p=0.0381)、継続妊娠率または生産率(傾き-0.55、p=0.0099)が有意に低下した。染色体構成がMSのモザイク胚は着床率(p<0.0001)、継続妊娠率または生産率(p<0.0001)がもっとも高く、次いでSM、DM、CMの順であった。MSのモザイク胚は対照群と比べて着床率(51.3% vs 61.1%、p=0.0004)、継続妊娠率または生産率(42.6% vs 52.7%、p =0.0003)が有意に低かった。以上の結果から、モザイク胚の発育能は外胚葉生検のaneuploid細胞数と染色体構成によって異なることが示され、この知見を遺伝カウンセリングにおいて考慮する必要があると考えられた。

 参考URL

続きを見る

 

19年間に集積された女性の癌患者879例における妊孕性温存後の生産率、卵子と胚の利用率
Live birth rate and utilization rate of eggs and embryos following fertility preservation (FP) in 879 female cancer patients over 19 years

Khalife D, Ali S, Khalaf Y, Reddy N, Kopeika J
The 36th Virtual Annual Meeting of the European Society of Human Reproduction and Embryology Virtual Annual Meeting 5-8 July, 2020 2020年 

多くの国において癌患者の妊孕性温存が確立されており、利用者が増えている。しかし、妊孕性温存後の卵子や胚の長期利用率はほとんど報告されていない。本研究では、癌の診断時に妊孕性温存を決めた女性の割合、再受診率、癌治療後の卵子と胚の利用率、生産率を評価するため、2000年1月~2019年12月に英国の1施設において妊孕性温存のカウンセリングを希望した若齢の女性癌患者879例(平均33.8±7.8歳、AMH値18.8±20.5pmol/L、BMI 23.7±4.2kg/m2、乳癌63. 1%)を対象とする前方視的コホート研究を行った。カウンセリングを受けた373例(42.4%)のうち、胚凍結保存を決めた女性の割合は40.7%、卵子凍結保存を決めた女性の割合は53.4%、卵子と胚の凍結保存を決めた女性の割合は5.1%、別の施設での卵巣凍結保存を決めた女性の割合は0.76%であった。卵巣機能検査、更年期症状、ホルモン補充療法、不妊治療のための再受診率は33.8%(297/879例)であった。凍結保存した卵子や胚の利用率は16.4%(61/373例)、主要評価項目の生産率は72.1%(44/61例)であった。双胎児の割合は9.1%(4/44例)、流産率は12.2%(8/61例)であった。平均追跡期間21.2±19ヵ月において再受診した患者の66%が癌の診断から2年以内に再受診していた。乳癌患者では、44.3%(27/61例)が凍結保存した卵子や胚を利用し、その生産率は70.3%(19/27例)であった。リンパ腫患者の生産率は37.5%(3/8例)であった。以上の結果から、妊孕性温存のカウンセリングは有効である可能性が示された。

 参考URL

続きを見る

 

子宮内膜受容能アレイおよび妊娠率に対する慢性子宮内膜症の影響
The impact of chronic endometritis on endometrial receptivity array and pregnancy rates

Kuroda K, Horikawa T, Moriyama A, Nakao K, Juen H, Takamizawa S, Ojiro Y, Nakagawa K, Sugiyama R
The 36th Virtual Annual Meeting of the European Society of Human Reproduction and Embryology Virtual Annual Meeting 5-8 July, 2020 2020年 

子宮内膜受容能アレイ(ERA)は患者個人のインプランテーションウィンド(WOI)を客観的に特定する新しい方法である。慢性子宮内膜症(CE)は子宮内膜にCD138陽性形質細胞が認められる局所の慢性炎症であり、子宮内膜の剥落や最適なWOI に悪影響を及ぼすおそれがある。本研究では、ERA の結果に対するCE の影響を検討するため、2018年8月~2019年10月に日本の1施設において組織検査を受けた不妊女性66例のうち、3ヵ月以内にERA と免疫組織化学検査を受けた56例を対象とする後方視的横断研究を行った。CE がない女性26例(non-CE 群)、ERA の時点で未治療のCE 女性12例(CE 群)、ERA の実施前にCE の治療に成功した女性18例(cured-CE 群)に分類し、検査結果を比較した。無作為に選んだ間質の領域10ヵ所におけるCD138陽性形質細胞数(倍率400倍で5個以上の場合、CE と診断される)は、non-CE 群で0.5±0.9個、CE 群で29.9±31.3個、cured-CE群で0.9 ± 1.0 個であった(p < 0.001)。ERA にて受容能があると判定された子宮内膜の割合は、non-CE 群の57.7%(15/26例)、cured-CE 群の55.6%(10/18例)と比べ、CE 群で8.3%(1/12例)と有意に低かった(p <0.001)。ただし、CE 群ではプロゲステロンの投与開始から5日後の検査で58.4%に受容能(late or post-receptive)が認められ、CE の全例には胚移植前に抗菌薬が投与された。ERA を実施後1回目の胚移植による臨床妊娠率は、non-CE 群で66.7%(14/21例)、CE 群で16.7%(2/12例)、cured-CE群で50.0%(8/16例)であった(p =0.022)。以上の結果から、CE 女性の多くはERA の結果が非受容性であることが示された。一方、CE を治療することによって、適切なWOI を得られる可能性もあると考えられた。

 参考URL

続きを見る

 

GnRHアンタゴニスト周期後の累積生産率の優位性は卵巣反応と関連する:日本人データの周期別解析
Superiority of cumulative live birth rates after GnRH antagonist cycles relates to ovarian response:a cycle-specifific analysis of data from a Japanese national registry

Jwa SC, Takamura M, Kuwahara A, Kajihara T, Ishihara O
The 36th Virtual Annual Meeting of the European Society of Human Reproduction and Embryology Virtual Annual Meeting 5-8 July, 2020 2020年 

採卵あたりの累積生産率を最大化するためには、卵巣反応が正常または高い女性に対してGnRHアンタゴニストプロトコールが用いられている。しかし、卵巣反応が低い女性に対する卵巣刺激法の選択についての報告は少ない。本研究では、様々な卵巣刺激法での累積生産率が卵巣反応の各グループで同等かを検討するため、日本のARTレジストリデータを用いた大規模後方視的解析を行った。2014~2015年に新鮮胚移植を施行した204,675サイクル、その後2016年12月までに凍結胚移植を施行した179,313サイクルを対象とした。解析した卵巣刺激法は、GnRH アゴニスト(66,962サイクル)、GnRHアンタゴニスト(56, 027サイクル)、低刺激法としてクロミフェンクエン酸塩(CC)(30,098サイクル)、CC +ゴナドトロピン(Gn)(41,991サイクル)、letrozole(4,363サイクル)、letrozole+Gn(5,234サイクル)であった。患者全体の累積生産率は27.6%であり、高い順にGnRH アンタゴニストで31.2%、GnRHアゴニストで30.1%、低刺激法で22.6~24.4%であった。採卵数が15個を超える卵巣反応が高い女性では、GnRHアンタゴニストと比べてGnRHアゴニストでの累積生産率が有意に低かった(調整オッズ比0.72、95%信頼区間0.68~0.77)。採卵数が10~15個の卵巣反応が正常な女性では、GnRHアンタゴニストと比べてCC+GnまたはGnRHアゴニストでの累積生産率に有意差はみられなかった。採卵数が10個未満の卵巣反応が低い女性では、GnRH アンタゴニストと比べてCC(1.43、1.32~1.54)、CC + Gn(1.07、1.02~1.12)、letrozole(1.35、1.14~1.61)、letrozole+Gn(1.43、1.27~1.61)での累積生産率が高かった。以上の結果から、卵巣反応が低い女性の卵巣刺激法としてCC やletrozoleを用いた低刺激法はGnRHアンタゴニストと同等以上の累積生産率を得られることが示唆された。

 参考URL

続きを見る

 

卵胞期または黄体期の卵巣刺激後に得られたeuploid胚盤胞による生産率は同等である:ガラス化保存単一胚移植293サイクルの前方視的多施設共同研究
The euploid blastocysts produced after either follicularphase or luteal-phase-stimulation show similar live-birth rates: a prospective multicenter study including 293 vitrifified-warmed single-embryo-transfers

Vaiarelli A, Cimadomo D, Colamaria S, Trabucco E, Sansone A, Alviggi E, Della Ragione A, Golia F, Fiorini F, Barnocchi N,Papini L, Conforti A, Alviggi C, Rienzi L, Ubaldi FM
The 36th Virtual Annual Meeting of the European Society of Human Reproduction and Embryology Virtual Annual Meeting 5-8 July, 2020 2020年 

排卵前には複数の卵胞波がある。卵胞期の卵巣刺激(FPS)または黄体期の卵巣刺激(LPS)の施行後に得られた卵子の受精、胞胚形成、euploidy 率は同等であると報告されており、卵巣反応が低い女性に対する新たな卵巣刺激法が支持される。本研究では、FPS 後またはLPS 後に得られたeuploid 胚盤胞の生殖転帰を比較するため、2015年10月~2019年3月にイタリアで低卵巣反応(AMH 1.5ng/mL以下、胞状卵胞数6個以下、前周期の採卵数5個以下、高年齢)の女性を対象とする多施設共同研究を行った。アンタゴニストプロトコールの1サイクル中にFPSとLPS(採卵の5日後から開始)の両方を施行し、ガラス化保存したeuploid胚盤胞の最初の単一胚移植293サイクル(FPS群139例、LPS群154例)の転帰を解析した。FPS群とLPS群の年齢、精子因子、不妊原因、PGTの適応は同等であった。FPS群とLPS群の生化学的妊娠喪失率は10.8%(9/83例)、9.2%(9/98例)、流産率は10.8%(8/74例)、11.2%(10/89例)、生産率は47.5%(66/139 例)、51.3%(79/154 例)(p = 0.6)であった。なお、FPS後とLPS後の両方でeuploid胚盤胞が得られた女性100例(34%)では、各移植後の生産率が51.9%(28/54例)、4.3%(25/46例)と同等であった。FPS群の6.0%(4/66例)には妊娠糖尿病1例、黄疸1例、羊水過多症1例、一卵性双胎妊娠1例がみられた。LPS 群の6.3%(5/79例)には妊娠糖尿病がみられた。両群の在胎期間、出生体重、身長は同等であった。FPS群の新生児の6.0%(4/67例)には、新生児呼吸窮迫症候群1例、横隔膜ヘルニア1例、単腎1例、水頭症1例がみられた。LPS群の新生児の問題は報告されなかった。以上の結果から、FPS とLPS の生産率は同等であり、必要に応じてLPSを取り入れる可能性が考えられた。

 参考URL

続きを見る

 

COVID-19パンデミックの期間中に不妊治療クリニックの閉鎖を経験した患者:評価、対処、感情
Patient experiences of fertility clinic closure during the COVID-19 pandemic: appraisals, coping and emotions

Boivin J, Harrison C, Mathur R, Burns G, Pericleous-Smith A, Gameiro S
The 36th Virtual Annual Meeting of the European Society of Human Reproduction and Embryology Virtual Annual Meeting 5-8 July, 2020 2020年 

COVID-19に対する不妊患者の反応として治療のキャンセルによる中程度~過度の動揺が報告されている。本研究では、パンデミックの期間中に不妊治療クリニックの閉鎖を経験した18歳以上の患者946例を対象とし、2020年4月9~21日にソーシャルメディアを用いた横断研究を行い、その影響を検討した。COVID-19に対する知識、恐怖心、クリニックの閉鎖で良かったことと悪かったこと、閉鎖と再開の情報のあり方について英語でのオンライン調査を行ったところ、完全回答率は48%(男性4例、女性446例、平均33.6±4.4歳)であった。367例(82.2%)が検査や治療を延期していた。クリニックの閉鎖に対する患者の評価は、ポジティブなものよりもネガティブなものが多く(p<0.001)、非常にまたは極端にコントロール不能で(p<0.001)、ストレスの多いもの(p<0.001)と受け止められていた。クリニックの閉鎖に対処する能力については平均を下回る患者が多く(p<0.001)、患者の11.9%は全く対処できていなかった。回答結果を4つにまとめると以下のとおりであった。第一に、COVID-19の影響は未知であり、クリニックの閉鎖は予防的なもの、または妊娠の機会において不公平なものである。第二に、治療の延期や不妊の影響が不透明であり、クリニックの閉鎖は親になる目標の達成を脅かすものである。第三に、脅迫観念や不透明感が個人の対処能力に負担となっているが、様々な方法(思考マネジメント、次の治療のための心身の準備、ソーシャルネットワークの活用、クリニックに関する新しい情報の把握)によって乗り越えられる。最後に、多くの患者はこの状況に対してストレス、不安、フラストレーションを抱えており、少数ではあるが絶望感を報告する患者もいた。また、治療の延期の影響や、再開後の順番待ちリストの優先順位について、より多くの情報が望まれていた。不妊治療クリニック、患者、規制当局、専門家が協力し、先を見越してCOVID-19の影響に取り組む必要がある。

 参考URL

続きを見る

 

ゴナドトロピンと併用して多血小板血漿(PRP)を卵巣内に投与した早発卵巣不全の女性における生産:症例報告
Live birth in woman with premature ovarian insufficiency receiving ovarian administration of platelet-rich plasma (PRP) in combination with gonadotropin: a case report

Hsu CC, Hsu L, Hsu I, Chiu YJ, Dorjee S
Front Endocrinol (Lausanne) 2020年 

早発卵巣不全(POI)の女性は妊娠率が低く、そのほとんどが提供卵子を用いている。近年、様々な増殖因子を含む多血小板血漿(PRP)が卵胞の発育をサポートすると報告されているが、PRP のみでは初期の発育に対する効果が十分でない可能性が考えられる。今回、ゴナドトロピンと併用してPRP を卵巣内に投与し、生産に至った37歳のPOI 症例を報告する。本症例は33歳時の血清AMH 値が0.23ng/mLと低く、6ヵ月間の続発性無月経を経験した。32歳時と33歳時に卵巣刺激を2サイクル行ったが、卵胞の発育は認められなかった。PRP とゴナドトロピンを投与する5ヵ月前の血清AMH 値は0.02ng/mL 未満、FSH 値は43.50mIU/mLであり、投与直前の血清FSH 値も63.65mIU/mL、LH 値は44.91mIU/mL と高かった。FSH 150IU、rLH 75IU を含むゴナドトロピン製剤1mLと、末梢血40mL から調製したPRP 5mL の混合溶液を経腟超音波ガイド下で両側卵巣の間質に3mL ずつ注入したところ、4日目には4mmの卵胞が認められ、8日目には10mm となり、自発排卵が確認された。また、その後の2サイクルにおいて周期2日目の血清FSH 値とLH 値が大きく低下したことから、周期2 日目と5 日目にFSH300IU、hMG 375IU を腟壁へ注入投与し、11日目に採卵した。初回周期の卵子3個は凍結融解後に、2回目の周期の卵子3個は採卵後にICSIを行った。Day3胚3個(8細胞期2個、5細胞期1個)を移植したところ、双胎妊娠が確認され、妊娠30週目に男児(1,300g)と女児(1,258g)を出産した。現時点で二児ともに身体的および精神的に正常な発育をしている。以上の結果から、PRPとゴナドトロピンの卵巣内投与によりPOI女性の卵巣機能が回復し、自己卵子を用いたIVF が可能になることが示唆された。FSH は卵巣内の因子との相乗作用により前胞状卵胞の発育を促進することが報告されており、卵巣内への直接投与が有望な治療法の一つになると考えられる。

 参考URL

続きを見る

 

トリメチルアミン-N-オキシドはヒト卵胞液中に存在し、胚の質の負の予測因子となる
Trimethylamine-N-oxide is present in human follicular fluid and is a negative predictor of embryo quality

Nagy RA, Homminga I, Jia C, Liu F, Anderson JLC, Hoek A, Tietge UJF
Hum Reprod 2020年 35巻 1号 81〜88

トリメチルアミン‐N‐オキシド(TMAO)は、食事由来のコリンとL‐ カルニチンが腸内細菌および肝酵素によって代謝された産物であり、動脈硬化、糖尿病、過体重のバイオマーカーとされている。また、肥満女性の卵子の質は低く、生活習慣に伴う卵胞液中の組成の変化が関連している可能性がある。本研究では、卵胞液中のTMAO 濃度と胚の質との関連を検討するため、2014年10月~2018年3月にオランダの1施設において低刺激変法でIVFを施行した女性132例(431サイクル)を対象とする前方視的観察コホート研究を行った。主席卵胞が14mm に到達した時点からGnRHアンタゴニスト0.25mg、rFSH 150IUの投与を開始し、トリガーとしてhCG 10,000IUを投与した。採卵日に卵胞液と血漿を採取し、TMAOおよびその前駆体(コリン、L‐ カルニチン、γ ‐ ブチロベタイン)の濃度を測定した。IVF/ICSI を施行後、Day2胚を移植し、黄体補充としてhCG 1,500IUを採卵後5、8、11日目に投与した。最終的に111例(31.4±3.50歳、232サイクル)を評価対象とした。初回周期の検体(63例)において、卵胞液中は血漿中と比べてコリン濃度が有意に高く、γ-ブチロベタイン濃度が有意に低く、TMAO 濃度が低い傾向を示し、L- カルニチン濃度に有意差はみられなかった。これらの卵胞液中濃度と血漿中濃度には正の相関が認められた。良好胚に発育した卵子は、胚の質が低かった卵子と比べ、卵胞液中のTMAO 濃度が有意に低く(調整オッズ比0.56、95%信頼区間0.42~0.76)、γ - ブチロベタイン濃度も低かった(0.79、0.62~1.00)。正常に受精した卵子においても同様の結果が得られたが、フラグメンテーション率が10%未満となった卵子または生化学妊娠に終わった卵子では卵胞液中のTMAO 濃度との関連は認められなかった。以上の結果から、卵胞液中のTMAO 濃度は胚の質の負の予測因子となる可能性が示された。食事から摂取され、腸内細菌によって代謝された産物が卵胞液中に移行し、卵子の発育に影響を及ぼすと考えられる。卵胞液中のTMAO 濃度と生化学妊娠に関連がみられなかった原因として、妊娠には様々な因子が影響することや、十分な検出力を保証する妊娠症例数ではなかった可能性がある。

 参考URL

続きを見る