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弊社製品領域の最新情報を論文等から紹介しています。特定の薬剤/システムの処方/使用誘引あるいは企業の営利を企図するものではなく、
また国内での承認外の情報を一部含んでおりますがこれを推奨するものではありません。薬剤の使用にあたっては最新の電子化された添付文書をご参照ください。


IVF混合プロトコールの排卵モニタリングに新規アルゴリズムを利用すれば卵巣刺激モニタリングを簡略化できる可能性がある
The implementation of a novel algorithm for monitoring ovulation in an IVF mixed protocol may simplify stimulation monitoring

Ben-Guigui J, Hemmings R, Bissonnette F, Kadoch IJ
The 39th Annual Meeting of the European Society of Human Reproduction and Embryology Copenhagen, Denmark 25-28 June, 2023 2023年 

不妊治療クリニックでは、IVFの標準的方法として卵巣刺激のday 6に早期診察を行うことが多い。頻回の超音波検査は、患者の負担となり、費用増大につながる。本研究では、IVFにおけるday 10以前の診察を省略できるかを検討するため、2021年4月~2022年8月にカナダの1施設でIVFを受けた18歳以上の女性を対象とし、後方視的研究を行った。全例にアンタゴニスト法を用い、体重およびAMH値に基づいた卵巣刺激としてホリトロピン デルタおよびhMGによる個別化混合プロトコールを施行した。ゴナドトロピンの投与量は、アルゴリズム(アルゴリズム群)または医師の判断(対照群)にて決定した。day 6に超音波検査およびホルモン検査を実施し、必要に応じて医師の判断によりゴナドトロピンの投与量を調節した。直径16~22mmの卵胞が3個以上認められた時点でトリガーを投与した。714例を解析した結果、最大用量で卵巣刺激を行った患者の割合は、アルゴリズム群が80.3%、対照群が22.5%であった。アルゴリズム群において、投与量を調節した患者または卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を発症した患者はいなかった。day 10以前(day 9)にトリガーを投与した女性は16例(4.5%)であった。最大用量を投与しなかった患者において、アルゴリズム群は対照群と比べてday 6のゴナドトロピン投与量の変更が有意に少なかった(24.6% vs 46.9%、p<0.001)。最大用量を投与しなかった患者は、最大用量を投与した患者と比べ、OHSSの発症リスクが有意に高かった(64.6% vs 27.5%、p<0.01)。以上の結果から、ゴナドトロピンの最大用量を投与した患者においてday 10以前の診察は必須ではない可能性が示唆された。本研究で使用したアルゴリズムにより、診察を簡素化できると考えられるが、IVF周期のキャンセルが遅延して不必要な治療を継続するおそれもあり、無作為化比較試験での検証が必要である。

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ULTRA試験:多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)関連不妊の女性における経腟超音波ガイド下での新しいMay Healthデバイスを用いた卵巣焼灼:実行可能性を検討したファースト・イン・ヒューマン試験
The ULTRA trial: transvaginal ULTRAsound-guided ovarian ablation using the novel May Health device in women with PCOS-related infertility: first-in-human feasibility clinical trial

Amer S, Hansen K, Wyns C, Autin C, Fernandez H, Jegaden M, Jayaprakasan K, Metwally M
The 39th Annual Meeting of the European Society of Human Reproduction and Embryology Copenhagen, Denmark 25-28 June, 2023 2023年 

腹腔鏡下卵巣多孔術(LOD)はPCOS 関連不妊に有効な2ndライン治療の1つとして広く認められているが、全身麻酔を要し、相当のリスクを有する侵襲的手技である。一方、新しいMay Health デバイスは全身麻酔の必要がなく非侵襲的で、卵巣焼灼量を正確に計算できるように設計されており、個人開業医での使用も可能である。本研究では、経腟超音波(TVUS)ガイド下でのMay Health デバイスを用いた卵巣焼灼の実行可能性、安全性、有効性を検討するため、英国、フランス、ベルギー、米国の7施設において、クロミフェンまたはレトロゾールに抵抗性を示す無排卵性PCOSの女性を対象とした第1相単群試験2件を行った。術後の排卵確認時または12週後まで血清P4値を週1回測定した。観察期間はEU で24ヵ月、米国で12ヵ月とした。23例(平均31.8±3.1歳)がMay Health デバイスによるTVUS ガイド下卵巣焼灼を受け、3ヵ月以上の経過観察を行った。両側の卵巣焼灼が成功した女性は19例(82.6%)で、3例は卵巣が小さいため、1例はアクセス不能のため片側の卵巣焼灼を受けた。このうち10例(43.5%)では3ヵ月以内に自然排卵が認められた。一部の女性はクロミフェンまたはレトロゾールを使用し、さらに6例では3ヵ月後から9ヵ月後までに排卵が認められた。総排卵率は69.6%(16/23例)であった。9ヵ月の経過観察を完了した11例のうち5例が妊娠した。さらに2例が9ヵ月の経過観察完了前に妊娠した。総妊娠率は53.8%(7/13例)であった。有害事象が14例に29件(軽症25件、中等症2件、重症2件)認められ、このうちデバイスまたは手技と関連した9件の有害事象は軽症または中等症であった。以上の結果から、クロミフェンまたはレトロゾールに抵抗性を示す無排卵性PCOS の女性においてTVUS ガイド下でのMayHealth デバイスを用いた卵巣焼灼は実行可能で、安全かつ有効であることが示された。

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ChatGPTを用いた妊孕性に関する患者の質問への回答:深層学習言語モデルで生成された情報の質
Using ChatGPT to answer patient questions about fertility: the quality of information generated by a deep learning language model

Beilby K, Hammarberg K
The 39th Annual Meeting of the European Society of Human Reproduction and Embryology Copenhagen, Denmark 25-28 June, 2023 2023年 

妊孕性に関する情報を探している人々が出産計画やART を決断する際に頼っている情報源はインターネットであるが、不妊治療に関する患者向けの情報の質は十分ではない。一方、人間が作成したようなテキストを生成する言語モデルの1つであるChatGPT は、与えられた指示(プロンプト)に対し、深層学習のパターンに基づいて、次に続く言葉を予測し、回答を生成する。しかし、学習用のトレーニングデータは監修を受けておらず、バイアスが含まれる。本研究では、ChatGPT で生成された情報の質を評価するため、患者からの質問で多い10問をプロンプトとして用い、独立した2名の専門家による検証を行った。質問の内容は、妊孕性への男女の年齢の影響、月経周期における妊娠しやすい時期、IVF の成功率、選択的卵子凍結、add-on 療法の有益性、多嚢胞性卵巣症候群と妊娠、不妊治療クリニックの選択、試みるべきIVF の回数であった。生成されたテキストの情報の質については、人道的回答がどの程度できたか(0~3)、商業的バイアスまたは物議を醸す見解の有無(あり=0、なし=1)、正確な割合と統計、医学的助言を求める必要性が述べられているか(あり=1、なし=0)により、0~7でスコア化した。専門家2名による評価の結果はほぼ同じで、1問の回答のみ1点の違いがみられたが、審議により解決した。最高点のスコア7をつけた回答はなく、6問の回答がスコア5以上、3問の回答がスコア3~4であった。残り1問のadd-on 療法の有益性に関する回答がスコア3未満で、商業的バイアスが唯一みられ、これは議論の余地がある2問のうちの1問であった。以上の結果から、全体として、ChatGPT で生成された情報の質は高く、商業バイアスは少ないと考えられた。不妊治療に関する正しく偏りのない情報を求めている患者に対し、ChatGPT は有用なツールとなり得ることが示唆された。

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形態学的グレードが同じ胚の生存能力に差異をもたらす胚盤胞発育の性差
Male and female blastocysts display differences in development such that embryos assigned an identical
morphological grade may have differing viability dependent on their sex

Kilbee M, Del Canto Cano A, Clark G, Coudereau C, Fernandez Marcos E, Babariya D, Wells D
The 39th Annual Meeting of the European Society of Human Reproduction and Embryology Copenhagen, Denmark 25-28 June, 2023 2023年 

着床前の胚発育の性差はごくわずかであると示唆されている。IVF クリニックの多くでは胚発育が性別とは無関係であるとの前提で、形態学的グレードが移植胚の決定に用いられている。この前提が正しいかを検討するため、本研究では、IVF の着床前診断(PGT-A)によりeuploid が確認され、染色体分析にて性別も判明した胚盤胞1,241個を対象とし、形態学的グレード、着床率、流産率、継続妊娠率、生産率を評価した。胚移植後の臨床転帰が得られた胚は336個であった。day 5に生検を実施した胚の割合は、男性胚、女性胚ともに68%であった。day 5の胚盤胞拡張または内細胞塊に性差は認められなかった。一方、Gardner分類による栄養外胚葉(TE)グレード(A、B、C、D)の分布には性差が認められ(p <0.0001)、グレードA の割合は男性胚盤胞が21.6%であったのに対し、女性胚盤胞が14.9%であった。グレードB のTE を有する男性胚は、グレードが同じ女性胚と比べ、着床率が有意に高かったが(82.1% vs 58.7%、p =0.0002)、生化学的流産率も有意に高かった(16.7% vs 4.2%、p =0.017)。全体として、男性胚は女性胚と比べて高い生存能力を示さなかった。以上の結果から、TE のグレードの分布は男性胚盤胞と女性胚盤胞で異なり、同じグレードでも生存能力が異なることが示唆された。また、高いグレードのTE の割合が多いことが優れた生存能力の指標ではないことから、性別によってTE のグレーディングの基準を変えることが望ましいと考えられた。胚発育の性差を考慮することは、胚の選択における形態動態学的アルゴリズムの開発においても今後重要となるであろう。

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新鮮胚移植を受ける女性では正常高値血圧でさえも生産率に影響する
Even high normal blood pressure affects live birth rate in women undergoing fresh embryo transfer

Chen H, Zhang X, Cai S, Li J, Tang S, Hocher CF, Rösing B, Hu L, Lin G, Gong F, Krämer BK, Hocher B
Hum Reprod 2022年 37巻 11号 2578〜2588

ART による妊娠中の高血圧は有害妊娠転帰と関連することが知られているが、正常範囲内の高い血圧がART に及ぼす影響は明らかにされていない。本研究では、2017年1月~2018年12月に中国の1施設でIVF/ICSI と新鮮胚移植を初めて施行する女性2,418例を対象とした前方視的観察コホート研究を行い、正常範囲内での血圧の違いが妊娠転帰に及ぼす影響を検討した。血圧は初診時に測定した。ショート法、ロング法、ウルトラロング法を用い、調節卵巣刺激としてrFSH、トリガーとしてrhCGを投与した。採卵後から黄体補充を行い、IVF/ICSI 後のday 3またはday 5に新鮮胚移植を施行した。連続変数の比較にはKruskal-Wallis 検定またはANOVA を用いた。生産に至った1,487例(平均29.1±3.40歳)は、至らなかった931例(29.6±3.84歳)と比べ、平均収縮期血圧(SBP)(114.1±9.48 vs 115.4±9.80mmHg、p= 0.001)、平均拡張期血圧(DBP)(74.5 ± 7.50 vs75.3±7.34mmHg、p =0.006)、平均動脈圧(87.7±7.50 vs 88.7±7.48mmHg、p <0.01)が有意に低かった。年齢、月経周期、SBP、DBP、赤血球沈降速度を考慮した多変量ロジスティック回帰分析の結果、主要評価項目の生産率はSBP(オッズ比0.987、95%信頼区間0.979~0.996、p = 0.004)、DBP(0.986、0.975~0.998、p =0.016)と有意な負の関連を示した。また、臨床妊娠率はSBP と有意な負の関連を示し(0.990、0.981~0.999、p = 0.033)、流産率はSBP(1.021、1.004~1.037、p = 0.013)、DBP(1.027、1.005~1.049、p =0.014)と有意な正の関連を示した。SBPとDBP は両方とも、生化学的妊娠率、着床率、異所性妊娠率と関連しなかった。以上の結果から、新鮮胚移植を受ける女性では、ベースライン時の血圧が正常範囲内であっても、若干の違いが生産率に影響を及ぼす可能性が示唆された。

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胚盤胞の形態学的パラメータと生産率および単胎児の出生体重との関連に対する胚盤胞凍結と生検の影響
The impact of blastocyst freezing and biopsy on the association of blastocyst morphological parameters with live birth and singleton birthweight

Wang X, Zhang S, Gu Y, Ma S, Peng Y, Gong F, Tan H, Lin G
Fertil Steril 2023年 119巻 1号 56〜66

胚盤胞の3つの形態学的パラメータである胞胚腔の広がり、栄養外胚葉(TE)と内細胞塊(ICM)の形態は、生産率および出生体重との関連が報告されているが、一致した結果は得られていない。本研究では、これらの関連に対する胚盤胞凍結および生検の影響を検討するため、2014年1月~2019年8月に中国の1施設で施行された単一胚盤胞移植28,515サイクルを対象とする後方視的研究を行った。アゴニスト法またはアンタゴニスト法を用いた調節卵巣刺激後、トリガーとしてhCG 5,000~10,000IUを投与した。IVF/ICSI を施行後、day 5またはday 6にガードナー分類で胚盤胞を評価し、新鮮胚移植に用いる1個を除き、移植可能な胚盤胞を凍結保存した。生検を行う場合は、day 3にレーザーを用いて透明帯を約25μ m 切開し、day 5またはday 6に評価してから生検を行った。day 3で凍結した分割胚は、融解後に培養し、day 5またはday 6に評価した。解析対象の生検は8,540サイクル、凍結胚盤胞は7,349サイクル、凍結分割胚は7,907サイクル、新鮮胚盤胞は4,719サイクルであった。年齢、BMI、治療サイクル数、不妊期間、胞状卵胞数、AMH、不妊原因、胚移植前の子宮内膜厚、子宮内膜調整法、卵巣刺激法で調整した多変量ロジスティック回帰分析の結果、生検を行った胚盤胞のうちday 6胚盤胞移植では3つの形態学的パラメータが生産率と有意に関連した(p ≦0.001)。凍結胚盤胞、凍結分割胚、新鮮胚盤胞では同様の結果が得られ、day 5胚盤胞移植ではTE およびICMが生産率と有意に関連し(p ≦0.029)、day 6胚盤胞移植ではTE のみが生産率と有意に関連した(p =0.000)。また、在胎期間と性別で調整した単胎児の出生体重のzスコアによる多重線形回帰分析の結果、生検を行った胚盤胞のうちday 6胚盤胞移植では胞胚腔の広がりが出生体重と関連し、TE のグレードが出生体重と負の相関を示した。凍結胚盤胞において、day 6胚盤胞移植ではTE のグレードB と比べてグレードC の出生体重のz スコアが高かった(β係数0.12、95%信頼区間0.01~0.23)。以上の結果から、胚盤胞の形態学的パラメータと生産率との関連は生検の影響を受ける可能性があり、出生体重との関連は胚盤胞凍結や生検の影響を受ける可能性があることが示唆された。

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母親の多嚢胞性卵巣症候群と児の思春期の発達:population-basedコホート研究
Maternal polycystic ovarian syndrome and pubertal development in daughters and sons: a population-based cohort study

Lunddorf LLH, Arendt LH, Ernst A, Brix N, Knudsen UB, Olsen J, Ramlau-Hansen CH
Hum Reprod 2022年 37巻 11号 2623〜2634

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を合併した妊婦では、妊娠予後が悪いだけでなく、高アンドロゲン血症による胎児への影響が示唆されている。本研究では、母親のPCOS が児の思春期の発達に及ぼす影響を検討するため、2000~2003年にデンマークで生まれた単胎児とその母親のうち、Danish National Birth Cohort Puberty Cohort に登録され、思春期徴候の情報が得られた15,596組を対象とするpopulation-based コホート研究を行った。自己報告に基づいて母親をPCOS 群251例、稀発月経群134例、その他の月経異常群2,411例、月経異常のない対照群12,800例に分けた。児に対しては、11歳時から6ヵ月毎にweb 質問票を用いて思春期の発達に関する調査を行った。主要評価項目として、思春期徴候が発来した年齢の平均差をHuber-White ロバスト分散推定により評価し、各徴候が発来した年齢の調整平均差を区間打ち切り回帰モデルにより評価した。PCOS群の女児は、対照群の女児と比べ、全体的な思春期徴候の発来が3.3ヵ月早く(95%信頼区間 -6.3~-0.4)、副腎皮質思春期徴候(恥毛、腋毛、ざ瘡)の発来が5.4ヵ月早かった(-8.7~-2.1)。乳房発育と初潮の発来時期についてはPCOS 群と対照群の女児で有意差がみられなかった。また、母親の稀発月経とその他の月経異常は、女児の思春期の発達と関連しなかった。一方、男児において、母親のPCOS、稀発月経、その他の月経異常は、思春期の発達と関連しなかった。以上の結果から、母親のPCOS は女児の副腎皮質思春期徴候の早期発来と関連することが示唆された。これが遺伝やエピジェネティクスによるものか、あるいは高アンドロゲン血症による出生前のプログラミングによるものかは明らかでないことから、今後さらに研究する必要がある。

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自然周期におけるプロゲステロン補充は凍結融解胚移植後の生産率を改善する-無作為化比較試験
Progesterone supplementation in natural cycles improves live birth rates after embryo transfer of frozen-thawed embryos - a randomized controlled trial

Wånggren K, Dahlgren Granbom M, lliadis SI, Gudmundsson J, Stavreus-Evers A
Hum Reprod 2022年 37巻 10号 2366〜2374

黄体補充としてのプロゲステロン(P4)経腟投与の有益性は、個々の無作為化比較試験や後方視的研究で異なり、2件のメタアナリシスにおいて凍結融解胚移植後の生産率の改善が示されたが、大規模無作為化比較試験が必要とされている。本研究では、2013年2月~2018年5月にスウェーデンの2施設において自然周期で凍結融解胚移植を受けた女性500例を対象とし、無作為化比較試験を行った。黄体補充群と対照群を1:1の比率で割り付け、黄体補充群にはP4腟錠100mg を1日2回、胚移植日(LH検査陽性の3~6日後)から妊娠8週目まで投与した。群間の比較には、Mann-Whitney Rank-Sum 検定およびStudent t 検定を用いた。解析対象の黄体補充群243例と対照群245例において、胚移植日の血清P4値を含む患者背景に有意差はみられず、胚移植時の年齢中央値は両群とも34.1歳であった。主要評価項目の生産率は、対照群の24.1%と比べ、黄体補充群で34.2%と有意に高かった(オッズ比1.635、95%信頼区間1.102~2.428、p =0.017)。また、黄体補充群は対照群と比べて妊娠率(42.8%vs 33.9%、1.465、1.012~2.108、p = 0.049)および臨床妊娠率(37.4% vs 28.6%、1.497、1.024~2.188、p =0.043)も有意に高かったが、生化学的妊娠率[12.5%(13/104例) vs 15.7%(13/83例)、0.769、0.336~1.763、p =0.671]および流産率[8.8%(8/91例) vs15.7%(11/70例)、0.517、0.196~1.364、p =0.22]に有意差はみられなかった。生産の成功例と不成功例の血清P4値を比較したところ、黄体補充群では37.6nmol/Lと36.7nmol/L(p =0.218)、対照群では40.5nmol/Lと36.2nmol/L(p =0.409)と有意差がみられなかった。血清P4値が29nmol/L 超と以下、10nmol/L 超と以下の女性に層別化した場合、両群とも生産率に層別群間で有意差がみられなかった。以上の結果から、自然周期におけるP4腟錠の補充は凍結融解胚移植後の生産率を有意に改善することが示唆された。

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母親の内分泌撹乱物質への職業性曝露と児の泌尿生殖器奇形
Maternal occupational exposure to endocrine-disrupting chemicals and urogenital anomalies in the offspring

Spinder N, Bergman JEH, van Tongeren M, Boezen HM, Kromhout H, de Walle HEK
Hum Reprod 2021年 37巻 1号 142〜151

母親の内分泌撹乱物質(EDC)への職業性曝露が児の尿道下裂のリスクを高める可能性が報告されている。しかし、妊娠初期の職業性曝露と先天性腎尿路異常(CAKUT)に関する研究は少なく、特定の物質との関連は明らかにされていない。本研究では、妊娠初期のEDC の職業性曝露と児のCAKUTの下位分類および尿道下裂との関連を検討するため、1997~2013 年にオランダで生まれた児のうち、European Concerted Action on Congenital Anomalies and Twins Northern Netherlands(Eurocat NNL)レジストリに登録された泌尿生殖器奇形の901例(CAKUT 530例、尿道下裂364例、尿路異常と尿道下裂の併発7例)と、同じ区域から抽出した先天性異常のない5,602例の症例対照研究を行った。泌尿生殖器奇形は男児の割合が70.2%と多く、その母親は対照と比べて分娩時の年齢およびBMI が低く、妊娠中の喫煙や飲酒が多く、葉酸の使用が少なく、妊孕性に問題を有する割合が多かった。職業別曝露表を用いて妊娠初期の状況を調べたところ、CAKUT の23.1%、尿道下裂の22.9%、対照の19.8%においてEDC への曝露が認められた。児の性別、出生年、母親の年齢、BMI、喫煙、飲酒、妊娠中の葉酸の使用で調整した多変量ロジスティック回帰分析の結果、EDC のうち、有機溶媒やアルキルフェノール化合物への曝露はCAKUT と関連し(調整オッズ比1.41、95%信頼区間1.01~1.97)、他の先天性異常を併う場合に関連がさらに強くなった(7.51、2.41~23.43)。フタル酸エステル、ベンゾフェノン類、パラベン類、シロキサン類への曝露もCAKUT と関連し(1.56、1.06~2.29)、その下位分類では集尿系異常(1.62、1.03~2.54)、複数の尿路異常併発(2.90、1.09~7.71)と強い関連を示した。一方、EDC 曝露と尿道下裂との関連はみられなかった。以上の結果から、女性とその雇用主および医療従事者は、妊娠初期の特定のEDC への曝露が児のCAKUT と関連するおそれがあることを認識しておく必要があると考えられた。

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卵胞容積に基づくfollicular output rateは成熟卵子数の予測を改善する:前方視的比較研究
Volume-based follicular output rate improves prediction of the number of mature oocytes: a prospective comparative study

Rodríguez-Fuentes A, Rouleau JP, Vásquez D, Hernández J, Naftolin F, Palumbo A
Fertil Steril 2022年 118巻 5号 885〜892

follicular output rate(FORT)は、排卵前卵胞数(PFC)÷胞状卵胞数(AFC)×100の式で算出され、卵巣反応指標として2011年に導入された。多くの研究では2~10mmの卵胞をAFC に含めているが、卵胞の形状が不規則であるため、二次元(2D)超音波検査による計測は不正確である。本研究では、卵胞径に基づくFORT(FORT–D)と卵胞容積に基づくFORT(FORT-V)による成熟卵子数の予測を比較するため、2018年5月~2021年9月にスペインの1施設において卵巣刺激を受けた女性215例(卵子提供者80例、IVF 患者135例)を対象とする前方視的観察研究を行った。ベースライン時に2D および三次元(3D)超音波検査によりAFC を計測した。全例にアンタゴニスト法を用いた卵巣刺激を行い、少なくとも2個の卵胞容積が2cc を超え、かつ0.7cc を超える卵胞の割合が70%になった時点でトリガーを投与した。平均径が16~22mm の卵胞または0.7cc を超える卵胞を排卵前卵胞と定義した。主要評価項目は成熟卵子の割合(mature oocyte output rate:MOOR)(M Ⅱ卵子数÷ AFC ×100)に対するFORT-V とFORT-D の差とした。3D 超音波検査によるFORT-V は、2D 超音波検査の手動計測によるFORT-D と比べて有意に高く、その差は卵子提供者で38(95%信頼区間32~45)、IVF 患者で15(3~43)であった。また、FORT-V は、自動計測によるFORT-D と比べて有意に高く、その差は卵子提供者で35(31~39)、IVF 患者で21(5~46)であった。FORT-D よりもFORT-V はMOOR に近い値を示し、FORT-V とMOOR との差は卵子提供者で10%(6%~14%)、IVF 患者で9%(5%~13%)であった。卵子提供者とIVF 患者の両方において、卵胞容積に基づくPFCは、自動計測によるAFC との間と、M Ⅱ卵子数との間にそれぞれ有意な直接的相関を示した(p <0.001)。以上の結果から、FORT-V はFORT-D よりも卵巣反応の判定に優れていることが示唆された。

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