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弊社製品領域の最新情報を論文等から紹介しています。特定の薬剤/システムの処方/使用誘引あるいは企業の営利を企図するものではなく、
また国内での承認外の情報を一部含んでおりますがこれを推奨するものではありません。薬剤の使用にあたっては最新の電子化された添付文書をご参照ください。


人為的卵子活性化(AOA)のために一般的に使用される2種類のイオノフォア溶液の有効性の有意差:イオノマイシンとA23187との前方視的比較
Significant differences in efficiency between two commonly used ionophore solutions for assisted oocyte activation (AOA): a prospective comparison of ionomycin and A23187

Quintana-Vehí A, Martínez M, Zamora MJ, Rodríguez A, Vassena R, Miguel-Escalada I, Popovic M
J Assist Reprod Genet 2023年 40巻 7号 1661〜1668

ICSI 周期の1~3%にみられる受精不全の克服法として、カルシウムイオノフォアを使用して卵子の活性化を誘導し、受精率を回復させることが提案されている。本研究では、2種類のイオノフォア(イオノマイシン、A23187)の有効性および卵子の形態動態を比較するため、スペインの1施設において卵子提供周期66サイクルで採取したIVMMI 卵子81個を対象とした前方視的コホート研究を行った。GnRH アンタゴニスト法を用い、rFSH またはHP-hMGで卵巣刺激を行い、トリガーとしてtriptorelin を投与した。IVM 卵子をA23187群42個、イオノマイシン群39個に分けた。対照群として、標準的ICSI 周期で得られた2PN胚39個を選択した。卵子提供者全体の平均年齢は25.90±4.40歳であった。IVM 卵子にラテックス微小球を注入して単為生殖を誘導後、イオノマイシンまたはA23187の溶液で処理し、タイムラプスインキュベーター内で培養した。形態動態学的パラメータとして、前核出現時間(tPNa)、前核消失時間(tPNf)、2細胞期胚~8細胞期胚までの時間(t2~t8)、胚盤胞腔形成開始時間(tSB)、完全胚盤胞到達時間(tB)を計測した。卵子活性化率の比較にはカイ二乗検定、形態動態学的パラメータの比較にはKruskal-Wallis 検定を用いた。イオノマイシン群はA23187群と比べて卵子活性化率が高かった(38.46%vs 23.81%、p =0.153)。A23187群では胚盤胞が形成されず、イオノマイシン群と比べてtPNa(11.84時間vs 5.31時間、p =0.002)、tPNf(50.15時間 vs 29.69時間、p =0.005)が有意に長く、対照群と比べてt2(33.96時間 vs 26.04時間、p =0.023)が有意に長かった。イオノマイシン群では、全てのパラメータで対照群との有意差がみられなかった。以上の結果から、卵子の活性化が成功しても、カルシウムイオノフォアの選択が卵割および胚盤胞形成に影響を及ぼすおそれがあることから、慎重に行う必要があると考えられた。

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GnRHアゴニスト治療と凍結胚移植を施行した患者におけるIVF/ICSIの妊娠転帰に対する子宮腺筋症と子宮内膜症の影響
Impact of adenomyosis and endometriosis on IVF/ICSI pregnancy outcome in patients undergoing gonadotropin-releasing hormone agonist treatment and frozen embryo transfer

Wang Y, Yi YC, Guu HF, Chen YF, Kung HF, Chang JC, Chen LY, Chuan ST, Chen MJ
Sci Rep 2023年 13巻 1号 6741

子宮腺筋症と関連する不妊の機序として、子宮筋の構造と機能の異常、慢性炎症、局所酸素、子宮内膜機能の変化などによる着床不全が提唱されているが、統一見解は得られていない。また、子宮腺筋症を合併した子宮内膜症の女性は、子宮内膜症のみの女性と比べ、妊娠率が低いと報告されている。本研究では、IVF/ICSI 転帰に対する子宮腺筋症と子宮内膜症の影響を検討するため、2016年1月~2019年12月に台湾の1施設でIVF/ICSIを施行した女性1,179例の1,389サイクルを対象とした後方視的研究を行った。子宮内膜症(E 群)229サイクル(平均34.8±4歳)、子宮腺筋症(A 群)89サイクル(平均38±3.7歳)、子宮内膜症と子宮腺筋症の合併(EA 群)69サイクル(平均37.6±4.3歳)、対照群1,002サイクル(平均37±4.2歳)に分けた。血中CA-125値が正常範囲を超えた女性(A 群72サイクル[80.9%]、EA 群54サイクル[85.6%])には、凍結胚移植前にGnRH アゴニスト治療を行った。群間比較には、両側t 検定およびカイ二乗検定を用いた。初回凍結胚移植後の生産率は、対照群の48.1%に対し、E 群が39.3%、A群が32.1%(p =0.028)、EA 群が25.0%(p =0.003)であった。流産率は、対照群の17.6%に対し、それぞれ19.9%、34.7%、39%と有意差がみられなかった。採卵周期あたりの累積生産率は、38 歳未満における対照群の63% に対し、56.4%、58.1%、44.8%(EA 群、p =0.049)、38歳以上における対照群の29.5%に対し、25.0%、9.8%(A 群、p =0.007)、17.2%であった。GnRH アゴニスト治療を施行したA 群とEA 群のうち、血中CA-125値が7分の1以下まで低下した女性の生産率は25.58%(11/43例)、7分の1以下まで低下しなかった女性の生産率は18.89%(17/90例)であった(p =0.376)。以上の結果から、子宮内膜症は妊娠転帰不良と関連しないが、子宮腺筋症または子宮内膜症との合併は、流産率が高く、生産率が低く、特に38歳以上の女性ではGnRH アゴニスト治療後の累積生産率も低いことが示唆された。

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胚盤腔液にDNAが検出されない胚の移植により、生児出産率が上昇する
Failure to detect DNA in blastocoel fluid is associated with a higher live birth rate in both PGT-A and conventional IVF/ICSI cycles

Gianaroli L, Perruzza D, Albanese C, Azzena S, Tabanelli C, Ferraretti AP, Magli MC
Hum Reprod 2023年 38巻 7号 1268〜1276

着床前遺伝子検査(PGT-A)における栄養外胚葉(TE)生検は安全な技術とみなされてはいるが、代替となる生検試料の報告も関心を集めている。近年、胚盤胞内の胞胚腔液(BF)にアポトーシスや細胞の複製中に放出されるDNA が存在することが報告されている。このBF を試料として全ゲノム増幅法(WGA)を実施し、その産物中にDNA 増幅が確認出来たものの割合を調べると、TE 生検でaneuploid と診断された胚に比してeuploid の胚でこれは低率であり、さらに、euploid 胚と診断された胚のみにおける検討では、DNA 増幅が確認された群に対してDNA 増幅が確認されなかった群で、胚移植後の継続妊娠率が高かったことが報告されている。本研究では、BF-DNA と初回胚盤胞移植転帰との関連を検討するため、2019年1月~2021年12月にイタリアの1施設においてPGT-A を施行した女性102例(平均37.9±4.6歳)と、従来のIVF/ICSI を施行した女性88例(平均33.7±5.4歳)を対象とした前方視的コホート研究を行った。高グレードの胚盤胞からBF を採取し、WGA後のDNA をゲル電気泳動で解析し、DNA 検出の有無について調べた。また、PGT-A 群ではTE 生検に基づきeuploid の胚盤胞を移植した。主要評価項目であるホルモン補充周期での初回単一凍結融解胚盤胞移植後の生産率は、PGT-A 群ではDNA 検出陽性例(42例)と比べて陰性例(60例)で有意に高く(53.3% vs 26.2%、カイ二乗検定 p =0.0081)、IVF/ICSI 群(PGT非実施群)も同様にDNA 検出陽性例(26例)と比べて陰性例(62例)で有意に高かった(48.4% vs 11.5%、カイ二乗検定 p =0.0014)。母親の年齢、父親の年齢、採卵数、男性不妊因子で調整した多重ロジスティック回帰分析の結果、BF 内のDNA 検出が陽性の胚盤胞移植に対する陰性の胚盤胞移植での生産のオッズ比(95% 信頼区間)は、PGT-A 群が3.52(1.48~8.88、p =0.0057)、IVF/ICSI群が6.89(1.98~32.95、p =0.0056)であった。移植あたりの生産率、患者あたりの累積生産率についても同様の傾向がみられた。以上の結果から、PGT-A 周期とIVF/ICSI 周期のいずれにおいても、BF 中のDNA が不検出である胚盤胞では、初回胚盤胞移植後の生産率が高いことが示唆された。

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調節卵巣刺激時のSARS-CoV-2感染と卵子および胚の転帰との関連
Association of SARS-CoV-2 infection during controlled ovarian stimulation with oocyte- and embryo-related outcomes

Tian F, Li S, Li N, Zhao H, Luo M, Zhang J, Mao Z, Zhang Q, Li R, Tang T, Zhang C, Li Y, Zhang S, Zhao J
JAMA Netw Open 2023年 6巻 7号 

SARS-CoV-2感染は妊孕性やART に影響を及ぼすことが報告されているが、不妊治療中の感染におけるART 転帰についての報告は少ない。本研究では、調節卵巣刺激時のSARS-CoV-2感染と卵子および胚の転帰との関連を検討するため、2022年10~12月に中国の7施設においてIVF/ICSI を施行したカップル585組(女性の年齢中央値33歳)を対象とした後方視的コホート研究を行った。調節卵巣刺激時にSARS-CoV-2陽性が認められたカップルは135組(女性のみ陽性33組、男性のみ陽性28組、男女陽性74組)、陰性は450組であった。連続変数の比較には両側t 検定およびMann-Whitney U 検定、カテゴリー変数の比較にはカイ二乗検定およびFisher の正確検定を用いた。卵巣予備能および卵巣反応に群間で有意差はみられなかった。SARS-CoV-2陽性群は陰性群と比べて良好胚の割合(47.3% vs 52.1%、p =0.01)、胚盤胞形成率(33.3% vs 45.3%、p <0.001)、凍結保存可能な胚盤胞の割合(28.2% vs 35.8%、p <0.001)、良好胚盤胞の割合(7.1% vs 11.5%、p <0.001)が有意に低かった。SARS-CoV-2陽性群のうち女性のみ陽性のカップルでは、陰性群と比べ、成熟卵子の割合(58.5% vs79.9%、p <0.01)、2PN のうち分割胚の割合(94.9%vs 97.7%、p <0.01)、良好胚の割合(39.9% vs 52.1%、p <0.01)、胚盤胞形成率(28.6% vs 45.3%、p <0.01)、凍結保存可能な胚盤胞の割合(22.2% vs 35.8%、p <0.01)、良好胚盤胞の割合(6.4% vs 11.5%、p <0.01)が有意に低かった。男女とも陽性のカップルでは、陰性群と比べ、胚盤胞形成率(39.1% vs 45.3%、p <0.01)が有意に低かった。男性のみ陽性のカップルにおいても、陰性群と比べて胚盤胞関連の割合が有意に低かった。年齢、BMI、不妊期間、複数の不妊原因で調整した多変量回帰分析の結果、SARS-CoV-2感染は良好胚盤胞の割合および胚盤胞形成率と負の関連を示した。以上の結果から、調節卵巣刺激時のSARS-CoV-2感染は胚および胚盤胞の質の低下と関連することが示唆された。

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プロゲステロントリガー投与後の排卵と出産:2症例の報告
Ovulation and birth after administration of progesterone trigger‒two case reports

Villar L, Tralik B, Diamond MP, Allon M, Maldonado I, Dozortsev DI
J Assist Reprod Genet 2023年 40巻 5号 1037〜1044

トリガーにはhCG やGnRH アゴニストが用いられているが、いずれも自然な排卵でみられる黄体形成を起こさないため、黄体補充が必要である。一方、プロゲステロン(P4)は、投与時期や濃度によってLH サージの誘発または回避の二重作用を有することが報告されている。そこで、P4が生理的トリガーであるとの仮説を立て、トリガーとして投与したP4が排卵と黄体形成をもたらすかを検討した。今回、2症例を報告する。【症例1】30歳女性は、多嚢胞性卵巣症候群および甲状腺機能低下症の既往があり、IUI 周期を2回行ったが妊娠に至らなかった。3回目のIUI周期のday 12 に最大卵胞が19mm になった時点でcetrotide を投与し、day 14にトリガーとしてP4油性注射液5mg を単回筋注した。トリガー直前のLH 値は4.26IU/L であり、超音波検査で3 個の卵胞(22mm、22mm、19mm)と、受容性のある子宮内膜が認められた。トリガー投与17時間後にLH 値は37.01IU/L に上昇した。トリガー投与3日後の超音波検査で排卵が認められたが、妊娠には至らなかった。【症例2】37歳女性は、初回IVF/ICSI 周期の新鮮胚移植で妊娠に至らず、2回目のIVF/ICSI 周期で得られた2個の胚盤胞をガラス化保存した。modified 自然周期で主席卵胞が20mm になった時点でトリガーとしてP4油性注射液10mg を単回筋注した。トリガー投与日の子宮内膜厚は7mm、LH 値は9.3IU/L であったが、トリガー投与24時間後のLH 値は39IU/L に上昇し、48時間後の超音波検査では、受容性のある子宮内膜、排卵、黄体形成の早期エビデンスが認められた。トリガー投与3日後から微粒子化P4 100mg を1日2回経腟投与し、トリガー投与7日後に2個の凍結融解胚盤胞を移植した。胚盤胞移植10日後のβ -hCG 値は1,822mIU/mL で、P4補充を中止した。その後、臨床妊娠に至り、妊娠34.5週目に帝王切開で2児を出産した。以上の結果から、卵胞期末期にトリガーとしてP4 5~10mg を投与することにより、排卵、黄体形成、妊娠に至り、黄体補充を低減できる可能性が示唆された。

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