胚盤胞の形態学的パラメータと生産率および単胎児の出生体重との関連に対する胚盤胞凍結と生検の影響
The impact of blastocyst freezing and biopsy on the association of blastocyst morphological parameters with live birth and singleton birthweight
Wang X, Zhang S, Gu Y, Ma S, Peng Y, Gong F, Tan H, Lin G
Fertil Steril 2023年 119巻 1号 56〜66
胚盤胞の3つの形態学的パラメータである胞胚腔の広がり、栄養外胚葉(TE)と内細胞塊(ICM)の形態は、生産率および出生体重との関連が報告されているが、一致した結果は得られていない。本研究では、これらの関連に対する胚盤胞凍結および生検の影響を検討するため、2014年1月~2019年8月に中国の1施設で施行された単一胚盤胞移植28,515サイクルを対象とする後方視的研究を行った。アゴニスト法またはアンタゴニスト法を用いた調節卵巣刺激後、トリガーとしてhCG 5,000~10,000IUを投与した。IVF/ICSI を施行後、day 5またはday 6にガードナー分類で胚盤胞を評価し、新鮮胚移植に用いる1個を除き、移植可能な胚盤胞を凍結保存した。生検を行う場合は、day 3にレーザーを用いて透明帯を約25μ m 切開し、day 5またはday 6に評価してから生検を行った。day 3で凍結した分割胚は、融解後に培養し、day 5またはday 6に評価した。解析対象の生検は8,540サイクル、凍結胚盤胞は7,349サイクル、凍結分割胚は7,907サイクル、新鮮胚盤胞は4,719サイクルであった。年齢、BMI、治療サイクル数、不妊期間、胞状卵胞数、AMH、不妊原因、胚移植前の子宮内膜厚、子宮内膜調整法、卵巣刺激法で調整した多変量ロジスティック回帰分析の結果、生検を行った胚盤胞のうちday 6胚盤胞移植では3つの形態学的パラメータが生産率と有意に関連した(p ≦0.001)。凍結胚盤胞、凍結分割胚、新鮮胚盤胞では同様の結果が得られ、day 5胚盤胞移植ではTE およびICMが生産率と有意に関連し(p ≦0.029)、day 6胚盤胞移植ではTE のみが生産率と有意に関連した(p =0.000)。また、在胎期間と性別で調整した単胎児の出生体重のzスコアによる多重線形回帰分析の結果、生検を行った胚盤胞のうちday 6胚盤胞移植では胞胚腔の広がりが出生体重と関連し、TE のグレードが出生体重と負の相関を示した。凍結胚盤胞において、day 6胚盤胞移植ではTE のグレードB と比べてグレードC の出生体重のz スコアが高かった(β係数0.12、95%信頼区間0.01~0.23)。以上の結果から、胚盤胞の形態学的パラメータと生産率との関連は生検の影響を受ける可能性があり、出生体重との関連は胚盤胞凍結や生検の影響を受ける可能性があることが示唆された。
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