子宮ニッチはIVF/ICSI後の妊娠成績が悪くなる:後方視的コホート研究
Uterine niche is associated with adverse in vitro fertilization and intracytoplasmic sperm injection outcomes: a retrospective cohort study
Yao W, Chen Y, Yao H, Yao Q, Wang L, Wang M, Yue J
Fertil Steril 2023年 119巻 3号 433〜441
子宮ニッチを有する女性の割合が高いことから、その後の妊孕性に及ぼす影響を臨床診療において留意しておく必要がある。これまで子宮ニッチと妊孕性との関連を調べた研究は少ない。本研究では、子宮ニッチとIVF/ICSI後の妊娠転帰との関係を検討するため、2015年1月~2019年12月に中国の1施設でIVF/ICSI を施行した女性のうち、帝王切開歴のある2,449例(2,874サイクル)を対象とした後方視的コホート研究を行った。このうち初回胚移植後の転帰が得られた女性は2,231例(計2,515サイクル、子宮ニッチ群179サイクル、対照群2,336サイクル)であった。年齢、BMI、子宮内膜厚、胞状卵胞数、受精の方法、ゴナドトロピン投与期間、移植胚数、移植胚のステージ、新鮮胚移植または凍結胚移植で調整した一般化推定方程式により妊娠転帰を解析した。主要評価項目は生産率とした。子宮ニッチ群は、対照群と比べ、生産率(18.99% vs 31.51%、調整オッズ比0.51、95%信頼区間0.34~0.77、p = 0.001)、hCG 検査陽性率(34.08% vs 46.40%、0.61、0.43~0.87、p =0.007)、臨床妊娠率(29.05% vs 42.25%、0.57、0.39~0.82、p =0.003)、着床率[25.87%(52/201) vs 36.95%(1,091/2,953)、0.53、0.38~0.76、p <0.001]が有意に低かった。傾向スコアで一致させた子宮ニッチ群(179サイクル)、対照群(358サイクル)の比較においても同様の結果が得られた。なお、IVF/ICSI の初回周期、単一胚移植周期、アゴニスト法、20~45歳、正常BMI、IVF周期、三次元経腟超音波検査に限定した感度分析において、子宮ニッチ群は対照群と比べて流産率が7.28%~18.22%高かったが、有意差はみられなかった。以上の結果から、帝王切開歴のある不妊女性において、子宮ニッチはIVF/ICSI 後の妊娠転帰に悪影響を及ぼすおそれがあると考えられた。
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