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子宮内膜マイクロバイオームの再検討:同一コホート内でのDNA、RNAシークエンシングの比較
Re-considering the endometrial microbiome: a comparison of DNA- and RNA-based sequencing techniques within the same cohort

Sola-Leyva A, Canha-Gouveia A, Pérez-Prieto I, Salas-Espejo E, Molina NM, Vargas E, Terrón-Camero L, Andrés-León E, Fontes Jiménez J, Castilla JA, Vela Moreno S, Modhukur V, Saare M, Salumets A, Altmäe S
The 40th Annual Meeting of the European Society of Human Reproduction and Embryology Amsterdam, The Netherlands 7-10 July, 2024 2024年 

子宮内膜マイクロバイオームの組成を把握する場合、DNAに基づく低コストで有効な16S rRNA遺伝子プロファイリング法が用いられるが、微生物の多様性、量、機能の過小評価や、種レベルの検出精度不足などの問題が明らかになっている。一方、RNAに基づくメタトランスクリプトーム解析は、これらの限界を克服し、生菌が発現する機能的遺伝子を特定することが可能である。本研究では、DNA、RNAシークエンシングを用いた子宮内膜マイクロバイオーム解析において同様の結果が得られるかを検討するため、27~42歳の不妊女性47例を対象とした研究を行った。分泌期中期にブラシと吸引カニューレを用いて子宮内膜検体を採取し、16S rRNA遺伝子のDNA解析、メタトランスクリプトームによる全RNA解析を行った。子宮内膜で最も多かった細菌は、DNA 解析ではLactobacillus 属であったが、メタトランスクリプトーム解析では大量に認められるLactobacillus 属の細菌はなく、Staphylococcus 属、Bacillus 属、Streptococcus 属およびBurkholderia 属などが多かった。以上の結果から、DNAレベルの相対的量は子宮内膜での細菌活性や生菌量を必ずしも意味するものではなく、腟または子宮頸管に由来する細菌やDNA配列が過大評価されていることが示唆された。また、子宮組織は乳酸桿菌が優勢ではなく、バイオマスが低い部位であり、これまでDNA配列により特定されていた子宮微小環境は、実際は腟および子宮頸管の微小環境を反映していた可能性があると考えられた。

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モザイク胚の質は生産の主要予測因子であり、ART成功においてモザイク特性に優ることが機械学習スコアより判明した
Machine learning scores reveal mosaic embryo quality as the key predictor for live births, outperforming mosaicism characteristics in ART success

Ortiz JA, Lledó B, Morales R, Cascales A, Ten J, Castillo JC, Bernabeu A, Bernabeu R
The 40th Annual Meeting of the European Society of Human Reproduction and Embryology Amsterdam, The Netherlands 7-10 July, 2024 2024年 

モザイク胚の移植については議論が分かれるが、近年、ESHRE(欧州ヒト生殖医学会)などの国際学会においてモザイク胚の移植が推奨されている。モザイク胚から正常な染色体を持つ子供が生まれる可能性があり、これらの胚を移植しないことはART 成功の減少につながるものとされている。本研究では、妊娠の可能性に応じた優先順位を決定するためのモザイク胚のスコア化が可能かを検討するため、2017年1月~2023年1月に着床前染色体スクリーニング(PGT-A)を実施した2,583サイクル、胚8,346個のうち、移植したモザイク胚263個を対象とした後方視的観察研究を行った。Day 5~7に胚盤胞の栄養外胚葉生検を行い、NGSにて解析した。生検後の胚をガラス化保存し、次の治療周期で移植した。平均年齢は母親が34.95±6.38歳、父親が39.13±6.74歳であった。生検日はDay 5が61%と最も多かった。胚の質はA が44%、B が49%であった。モザイク胚の臨床転帰として、生化学的妊娠率は51%、臨床妊娠率は41%、生産率は36%であった。10-fold 交差検証の結果、胚の発育に関する予測因子のうち、スコアにおける重みが最も大きかったものは、胚の質(42%)、生検日(34%)であり、モノソミー/ トリソミー(18%)およびモザイクの程度(6%)といったモザイクと関連する因子の重みは小さかった。機械学習スコアからは、モザイク胚の移植においてDay 5に生検を行った良好胚の移植を最優先とするべきことが示された。モザイク胚の種類と程度は妊娠への影響が小さいが、質が同じ場合の胚の選択において重要であり、モザイクの程度が低く、モノソミーを認めない胚は着床能力が高いことが示された。以上の結果から、機械学習スコアではモザイクよりも胚の質の重要性が強調された。ARTでの生産率を高めるためには、質が高く、Day 5に生検を行った胚を優先すべきであることが示された。

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機械学習および人間による胚の選択方法はともに性別バイアスがあり、男性胚の選択が多い:タイムラプス法と着床前染色体スクリーニング(PGT-A)を用いた胚の性別に関する最大規模研究の知見
Both artififi cial intelligence and manual embryo selection methods show sex-bias, favouring male embryos – insights from the largest embryo sex study using time-lapse and PGT-A

Popa T, He C, Vasconcelos F, Davis C, Hickman C, Ottolini C, O'Neill H
The 40th Annual Meeting of the European Society of Human Reproduction and Embryology Amsterdam, The Netherlands 7-10 July, 2024 2024年 

XX 胚とXY 胚の発育時期の差異が報告されているが、現在の胚選択モデルは胚の性別を考慮していない。胚の性別に左右されるのであれば、胚選択アルゴリズムの正確性と公平性に影響し、IVF の施行数が多い集団での男女差につながる可能性がある。本研究では、胚の形態および動態に基づいた胚の選択において性別の差異があるかを検討するため、2018年以降に1施設において着床前染色体スクリーニング(PGT-A)で性別が判明した胚1,411個を対象とした後方視的研究を行った。胚選択方法として、形態に関するGardner分類、従来の機械学習法(KIDScore D3)、最新の深層学習法(CHLOE)を採用した。XX 胚とXY 胚のグレードの比較において、Mann-Whitney U 検定およびカイ二乗検定を行った。機械学習によるスコアは、XX胚(642個)の4.022±1.420と比べてXY 胚(692個)で4.182±1.353と高かった(p =0.0182)。Gardner分類で良好なグレードに分類された割合は、XX 胚盤胞の614個中351個と比べてXY 胚盤胞で668個中462個と高かった(p <0.00001)。XY 胚は栄養外胚葉のグレードが高く、Gardner 分類における性差は栄養外胚葉の形態のばらつきによるものと特定された。しかし、観察された性差はごくわずかであり、オーバーラップが大きかった。一方、深層学習法によるスコアは、XX胚(628個)で0.787±0.276、XY胚(679個)で0.802 ± 0.254 と有意差がみられなかった(p=0.208)。以上の結果から、機械学習および人間による胚選択においてはXY 胚のスコアが高く、一方深層学習では差がなかった。これらの結果は、広く用いられている機械学習を用いた胚評価法を再考する必要があることを示唆している。

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ART児の先天性心疾患:Committee of Nordic Assisted Reproductive Technology and Safety(CoNARTaS)による大規模コホート研究
Congenital heart defects in children born after assisted reproductive technology: a large cohort study from the Committee of Nordic Assisted Reproductive Technology and Safety (CoNARTaS)

Sargisian N, Petzold M, Furenäs E, Gissler M, Spangmose AL, Malchau Lauesgaard S, Opdahl S, Pinborg A, Henningsen AK, Westvik-Johari K, Rönö K, Bergh C, Wennerholm UB
The 40th Annual Meeting of the European Society of Human Reproduction and Embryology Amsterdam, The Netherlands 7-10 July, 2024 2024年 

ART 児は自然妊娠児と比べて先天異常のリスクが高いとされている。最も頻度が高い先天異常は先天性心疾患(CHDs)で、全ての主要な先天異常の約50%を占め、一般小児集団の約1~2% に認められている。ART 児25,856例に関する41件の研究やそのシステマティックレビューによると、ART 児はCHDs リスクが高かったが、特定のCHDs に関しては相反する結果が報告されている。本研究では、自然妊娠児と比べてART 児でCHDs が多いかを検討するため、デンマークで1994~2014年、フィンランドで1990~2014年、ノルウェーで1984~2015年、スウェーデンで1987~2015年に生まれた7,747,637例を対象とする北欧レジストリベースコホート研究を行った。このうち171,735例がART児であった。国際疾病分類(ICDversions 8、9、10)および欧州先天異常監視機構(EUROCAT)に基づき、デンマーク、フィンランド、スウェーデンでは出生前または生後1年以内、ノルウェーでは出生前または出生時にCHDs を診断した。主要なCHDs の発症率はART 群が1.84%(3,159例)、自然妊娠群が1.15%(86,824例)であった(調整オッズ比1.36、95%信頼区間1.31~1.41)。CHDs のリスクは、受精方法と関係なく、多胎妊娠で最も高かった。重症CHDs の発症率はART 群が0.35%(594例)、自然妊娠群が0.26%(19,375例)であった(1.30、1.20~1.42)。自然妊娠児と比べてART児でリスクが高かったCHDs として、円錐動脈幹異常、非円錐動脈幹異常、心室中隔欠損、心房中隔欠損などがみられた。なお、単胎児における主要なCHDsの発症率はART 群が1.62%(2,059例)、自然妊娠群が1.11%(18,539 例)(1.19、1.14~1.24)、重症CHDs の発症率はそれぞれ0.31%(399例)、0.25%(18,539例)(1.20、1.09~1.33)であり、ICSIとIVF、新鮮胚移植と凍結胚移植との比較において差はみられなかった。以上の結果から、主要なCHDs および重症CHDs はART と関連し、自然妊娠児と比べてART 児でリスクが高いと考えられた。

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IVFを受けた多嚢胞性卵巣症候群の女性の生産を予測する新しいクラスタリングモデルと表現型分類との正確度比較
Comparing the accuracy of the novel clustering model versus phenotype classififi cation in predicting live birth in polycystic ovary syndrome women undergoing In-Vitro fertilization

Loc TTH, Nguyen NT, Ho VN, Pham TD, Ho TN, Nguyen MH, Le HL, Ha AN, Ly LD, Tran MN, Ho TM, Vuong LN
The 40th Annual Meeting of the European Society of Human Reproduction and Embryology Amsterdam, The Netherlands 7-10 July, 2024 2024年 

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は不妊およびIVFの成功に影響を及ぼす多様な症状を示す。ESHRE/ASRM(欧州ヒト生殖医学会/米国生殖医学会)による分類システムでは、アンドロゲン過剰症(HA)、排卵障害(OD)、多嚢胞性卵巣形態(PCOM)の3つの因子に基づき、PCOSの表現型としてA(3つの因子)、B(HAとOD)、C(HAとPCOM)、D(ODとPCOM)が特定されている。この分類は臨床症状のみに着目し、内分泌系および代謝系の因子を軽視しているため、PCOS患者の妊娠転帰の予測における有効性は限定的である。本研究では、内分泌系および代謝系のプロファイルに基づくクラスタリングモデルを作成し、その正確性について表現型分類と比較するため、2020年6月~2022年8月にベトナムの1施設でIVFを受けた18~45歳のPCOS患者731例を対象とした前方視的コホート研究を行った。甲状腺機能低下症、Cushing 症候群、先天性副腎過形成またはホルモン治療禁忌例は対象外とした。ガウス混合モデルを用いて主な特徴を分類したところ、著明なインスリン抵抗性と脂質異常症を呈するクラスター0(298例)、痩せ型を呈するクラスター1(219例)、中等度インスリン抵抗性と重症アンドロゲン過剰症を呈するクラスター2(214例)が特定された。クラスター1と2はクラスター0と比べて累積生産率が高く(39.7%、37.9% vs 28.5%、p=0.015)、妊娠糖尿病発症率が低かった(8.68%、6.07% vs 12.4%、p=0.048)。ロジスティック回帰分析の結果、クラスタリングモデルは表現型分類と比べて累積生産率の予測の正確度が有意に高かった(p=0.001)。以上の結果から、内分泌系および代謝系のプロファイルに基づくクラスタリングモデルを用いることにより、PCOS患者のIVF 治療が個別化の方向へ移行する可能性が示された。

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アンブレラレビューを超えて:IVFを施行する患者における卵巣過剰刺激症候群の発現予防と重症度軽減のための介入に関するシステマティックレビュー
Beyond the umbrella: a systematic review of the interventions for the prevention of and reduction in the incidence and severity of ovarian hyperstimulation syndrome in patients who undergo in vitro fertilization treatments

Palomba S, Costanzi F, Nelson SM, Besharat A, Caserta D, Humaidan P
Int J Mol Sci 2023年 24巻 18号 14185

IVF における卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発現予防と重症度軽減のためのエビデンスに基づく介入について、近年、多数の無作為化比較試験(RCT)のシステマティックレビューを解析したアンブレラレビューが報告された。本研究では、RCT のシステマティックレビューによる裏付けはないが、OHSS の発現予防と重症度軽減に有用な可能性のある介入を特定するため、関連文献のシステマティックレビューを行った。Oxford Center forEvidence-Based Medicine hierarchy of evidenceによるエビデンスレベルが1A よりも低い15種類の介入方法(卵巣刺激におけるホリトロピン デルタ、FSH減量、トリガーとしての低用量hCG、u-hCG + FSH、GnRHアゴニスト+ hCG、Kisspeptin、サイクルのキャンセル、選択的単一胚移植、アスピリン、ケトコナゾール、黄体期のGnRH アンタゴニスト投与、hCG による黄体補充の増強、イノシトール、インスリン感作薬のメトホルミン、ビタミンD)をレビューした。これらのうち、卵巣反応が正常な女性を対象とした最新のRCT では、卵巣刺激に用いたホリトロピン デルタは、ホリトロピン アルファと比べ、早期OHSS の発現率が有意に低いことが示されている(エビデンスレベル1B)。また、OHSS リスクが高い女性を対象としたRCT または前方視的研究では、イノシトール前治療(エビデンスレベル1B)、トリガーとしての低用量u-hCG(エビデンスレベル1B)、黄体期のGnRH アンタゴニスト投与(エビデンスレベル1B)により、OHSS リスクが低下する可能性のあることが示唆されている。本レビューでは、最高峰の臨床的エビデンスには裏付けられないものの、OHSS の発症率および重症度の低下に有効である可能性のある治療法が同定された。

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多嚢胞性卵巣症候群の女性の凍結胚移植においてレトロゾールによる子宮内膜調整法はホルモン補充療法の優れた代替法である:コホート研究
Letrozole-stimulated endometrial preparation protocol is a superior alternative to hormone replacement treatment for frozen embryo transfer in women with polycystic ovary syndrome, a cohort study

Wang X, Li Y, Tan H, Cai S, Ma S, Peng Y, Guo H, Li X, Tang Y, Zhang S, Lin G, Gong F
Reprod Biol Endocrinol 2023年 21巻 1号 101

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の女性の凍結胚移植(FET)において頻繁に使用される子宮内膜調整法はホルモン補充療法(HRT)であるが、妊娠高血圧症候群のリスク上昇との関連が報告されている。一方、アロマターゼ阻害薬のレトロゾールはクロミフェンと比べてPCOS 女性の生産率や排卵率を高めると報告されているが、FET で使用されることはほとんどない。本研究では、PCOS 女性の子宮内膜調整法としてのHRT とレトロゾールを比較するため、2019年1月~2020年12月に中国の1施設でFETを施行したPCOS 女性3,707例を対象とした後方視的コホート研究を行った。子宮内膜調整法として、1,700例(平均29.49±3.58歳)にはHRT を施行し、2,007例(平均29.86±3.76歳)にはday 3~5からレトロゾール2.5mgを5日間投与した。連続変数はMann-WhitneyのU 検定、カテゴリー変数はカイ二乗検定で比較した。年齢、BMI、FSH、LH/FSH、AMH、胞状卵胞数、胚移植前のP4値・E2値・子宮内膜厚、移植胚数、移植胚の質、移植胚の発生ステージ、インスリン抵抗性、基礎疾患で調整した多変量ロジスティック回帰分析の結果、レトロゾール群はHRT 群と比べて臨床妊娠率(70.9% vs 64.4%、調整オッズ比1.41、95%信頼区間1.18~1.68)、生産率(60.5%vs 51.4%、1.49、1.27~1.76)が有意に高く、流産率(14.7% vs 20.1%、0.68、0.53~0.89)、妊娠高血圧症候群(6.7% vs 8.9%、0.63、0.42~0.95)、妊娠糖尿病(16.7% vs 20.7%、0.71、0.53~0.93)の発生率が有意に低かった。早産、帝王切開、SGA、LGA の発生率は群間で有意差がみられなかった。交絡因子のサブグループ解析の結果、多くのサブグループではHRT 群と比べてレトロゾール群の生産率が高かったが、35歳以上、月経周期35日未満、非インスリン抵抗性の3つのサブグループでの生産率は両群で同程度であった。以上の結果から、PCOS 女性のFET における子宮内膜調整法としてレトロゾールはHRT よりも優れていることが示唆された。

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自然周期と人工周期で比較した凍結胚移植後の産科転帰および新生児転帰、黄体補充の役割:システマティックレビューとメタアナリシス
Obstetric and neonatal outcomes after natural versus artificial cycle frozen embryo transfer and the role of luteal phase support: a systematic review and meta-analysis

Zaat TR, Kostova EB, Korsen P, Showell MG, Mol F, van Wely M
Hum Reprod Update 2023年 29巻 5号 634〜654

妊孕性の低い女性において、自然周期(NC)での凍結胚移植(FET)は人工周期(AC)でのFET と比べて妊娠率に差がなく、産科および新生児の有害事象のリスクが低いと報告されている。しかし、黄体補充の必要性に関する統一見解はない。本研究では、NC-FET ±黄体補充とAC-FET の産科転帰および新生児転帰を比較するため、2022年10月までに報告されたFET 後の単胎妊娠に関する観察研究のシステマティックレビューを行った。メタアナリシスの対象とした観察研究30件(NC-FET 群56,445 例、AC-FET 群57,231 例)のうち、20 件はNC-FET で黄体補充を施行していた。ランダム効果モデルを用いたプール解析により、オッズ比(OR)、95%信頼区間(CI)などを算出した。NC-FET 群はAC-FET 群と比べて出生体重が低く(平均差26.35g、95% CI 11.61~41.08)、LGA(OR 0.88、95% CI 0.83~0.94)、巨大児(0.81、0.71~0.93)、低出生体重(0.81、0.77~0.85)、早期流産(0.73、0.61~0.86)、早産(0.80、0.75~0.85)、超早産(0.66、0.53~0.84)、妊娠高血圧症候群(0.60、0.50~0.65)、妊娠高血圧腎症(0.50、0.42~0.60)、前置胎盤(0.84、0.73~0.97)、分娩後出血(0.43、0.38~0.48)のリスクが低かった。層別解析の結果、黄体補充は早産リスクのみに影響し、AC-FET 群と比べ、黄体補充を施行したNC-FET 群では早産リスクが低かったが(0.75、0.70~0.81)、黄体補充を施行しなかったNC-FET 群では有意差がみられなかった(0.96、0.82~1.11)。以上の結果から、排卵周期を有する女性では、NC-FET はAC-FET に比べより好ましい治療と思われる。一方、NC-FET では黄体補充によりAC-FET と比べて早産リスクが低下することが示されたものの、エビデンスの質が低く、不明な点が多いことから、黄体補充の有効性と安全性についてさらに研究する必要がある。

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生殖医療のadd-onに関するグッド・プラクティス勧告
Good practice recommendations on add-ons in reproductive medicine

ESHRE Add-ons working group; Lundin K, Bentzen JG, Bozdag G, Ebner T, Harper J, Le Clef N, Moffett A, Norcross S, Polyzos NP, Rautakallio-Hokkanen S, Sfontouris I, Sermon K, Vermeulen N, Pinborg A
Hum Reprod 2023年 38巻 11号 2062〜2104

不妊患者のケアの質を改善するために現在使用されているadd-on の安全性と有効性に焦点を合わせてESHRE(欧州生殖医学会)が作成した臨床的意義のあるエビデンスに基づく42項目の勧告は以下のとおり。【診断と検査】推奨しないもの:1. スクリーニング子宮鏡検査の臨床常用(2. 反復着床不全患者におけるスクリーニング子宮鏡検査は考慮できる)、3. 現在利用可能な子宮内膜受容能検査、4. 免疫パラメータの末梢血液検査および子宮NK細胞検査、5. キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)検査およびHLA 遺伝子型検査の臨床常用、6. 免疫調節療法(静注用脂肪乳剤、IVIG、rh-LIF、PBMC、抗TNF)【臨床検査と介入】推奨しないもの:7. 人為的卵子活性化(AOA)の臨床常用(8. 卵子活性化不全、受精率30%未満、円形頭部精子症にはAOA を推奨する)、9. 卵子の質に影響を及ぼすためのミトコンドリア補充療法、10. in vitro での休眠卵胞活性化、11. 臨床的体外成熟(IVM)、レスキューIVM、自然周期IVF/IVM の臨床常用、12. 精子DNA 損傷検査の臨床常用、13. 人為的精子活性化の臨床常用(14. 精子の軸糸構造異常が原因でない原発性または続発性の精子無力症患者には人為的精子活性化を推奨する)、15. 精子のヒアルロン酸結合能検査の臨床常用、16. PICSI の臨床常用、17. MACS による精子選択の臨床常用(18. マイクロ流体工学による精子選択は考慮できる)、19. IMSI (intracytoplasmic morphologicsperm injection)の臨床常用、20. 成長因子を添加した胚培養液、21. アシステッドハッチング、22. PGT-Aの臨床常用、23. 非侵襲的PGT の臨床常用、24. ミトコンドリアDNA 量測定の臨床常用、25. 生産率を改善するツールとしてのタイムラプスの臨床常用【臨床的管理】推奨しないもの:26. 多血小板血漿(PRP)の子宮内投与、27. PRP の卵巣内投与、28. Duostim 法の臨床常用、29. 卵巣刺激前および卵巣刺激中の補助薬(メトホルミン、成長因子、テストステロン、デヒドロエピアンドロステロン、アスピリン、インドメタシン、シルデナフィル)、30. 腟内または子宮内の培養デバイスの臨床常用(31. 移植培地へのヒアルロン酸の添加は推奨する)、32. 子宮内膜スクラッチングの臨床常用、33. hCG の子宮内投与、34. G-CSF の子宮内投与、35. 胚培養上清の子宮内膜投与、36. 子宮内膜の精漿への曝露、37. 早発卵巣不全、卵巣機能低下、子宮内膜菲薄に対する幹細胞治療、38.ART でのグルココルチコイド、39. 選択的全胚凍結の臨床常用、40. 男性不妊以外でのICSI、41. ART での抗酸化療法、42. 鍼および漢方薬、その他の補完代替療法

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多嚢胞性卵巣症候群患者におけるGnRHアンタゴニスト法と合成黄体ホルモン併用卵巣刺激との比較:システマティックレビューとメタアナリシス
GnRH antagonist protocol versus progestin-primed ovarian stimulation in patients with polycystic ovary syndrome: a systematic review and meta-analysis

Deng R, Wang J, He J, Lei X, Zi D, Nong W, Lei X
Arch Gynecol Obstet 2023年 

内因性LH を抑制する合成黄体ホルモンは、新鮮胚移植が成功しなかった多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の女性の治療選択肢となる可能性が報告されており、新しい治療法としての合成黄体ホルモン併用卵巣刺激法(progestin-primed ovarian stimulation:PPOS)が提案されている。本研究では、PCOS 女性に対するGnRH アンタゴニスト法(GnRH-ant)とPPOS の有効性を比較するため、2023年9月までに報告された比較研究のシステマティックレビューを行った。8件(GnRH-ant群1,085例、PPOS 群1,071例)をメタアナリシスの解析対象とした。統合効果の検定にはZ 検定を用い、異質性が高い場合、ランダム効果モデルを用いて解析した。GnRH-ant 群では全例がセトロレリクスを使用していた。PPOS 群の内訳は、ジドロゲステロン529例、メドロキシプロゲステロン482例、経口プロゲステロン60例であった。PPOS 群はGnRH-ant 群と比べてゴナドトロピン投与量が有意に多く(標準化平均差-0.34、95%信頼区間-0.56~-0.13、p =0.002)、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクが有意に低かった(リスク比9.24、95%信頼区間2.50~34.21、p =0.0009)。一方、採卵数、M Ⅱ卵子数、2PN 卵子数、卵巣刺激期間、早発LH サージ発生率、着床率、生化学的妊娠率、臨床妊娠率、継続妊娠率、生産率、流産率に群間で有意差はみられなかった。以上の結果から、PPOSはGnRH-antプロトコールが成功しなかったPCOS 女性のための代替卵巣刺激法となることが示唆された。しかし、本研究に含めた研究の件数や質の制限があることから、さらに質の高い研究により検討する必要がある。

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