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弊社製品領域の最新情報を論文等から紹介しています。特定の薬剤/システムの処方/使用誘因あるいは企業の営利を企図するものではなく、
また国内での承認外の情報を一部含んでおりますがこれを推奨するものではありません。薬剤の使用にあたっては最新の添付文書をご参照ください。


NEW
日本のIVF/ICSI患者におけるfollitropin deltaの個別化投与は卵巣過剰刺激症候群のリスクを低下させる
Individualized follitropin delta dosing reduces OHSS risk in Japanese IVF/ICSI patients: a randomized controlled trial

Ishihara O, Arce JC , Japanese Follitropin Delta Phase 3 Trial (STORK) Group
Reprod Biomed Online 2021年 42巻 5号 909〜918

従来の卵巣刺激法による卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクを低下させる方法の一つは全胚凍結であるが、妊娠に至るまでに時間がかかる。新鮮胚移植を行う場合には、生産率に悪影響を及ぼさない限り、OHSSのリスクが低い卵巣刺激法が望ましい。本研究では、follitropin deltaの個別化投与の有効性と安全性を評価するため、2017年7月~2019年7月に日本の17施設においてIVF/ICSIを初めて施行する女性347例を対象とした評価者盲検無作為化比較非劣性試験を行った。Day 2~3から試験群の170例(平均34.2±3.5歳)には、AMH値と体重に基づき、follitropin deltaの個別化固定用量(AMH値15pmol/L未満:12μg/日、15pmol/L以上:0.10~0.19μg/kg/日、6~12μg/日)を皮下投与した。対照群の177例(平均34.0±3.4歳)には、follitropin beta 150IU/日を5日間投与し、卵巣反応に応じて用量を調節した。両群ともDay 6からGnRHアンタゴニスト0.25mg/日を投与し、3個以上の卵胞が17mm以上に到達した時点でトリガーのhCG 5,000IUを投与した。採卵後、IVF/ICSIを施行し、新鮮胚盤胞移植を行った。黄体補充としてプロゲステロン腟錠100mgを1日3回投与した。主要評価項目の平均採卵数は試験群で9.3個、対照群で10.5個であり(平均差-1.2、95%信頼区間-2.3~-0.1)、follitropin delta個別化固定用量の非劣性が認められた。また、試験群は対照群と比べて全グレードのOHSS(11.2% vs 19.8%、p=0.021:尤度比χ二乗検定)、中等症~重症OHSS(7.1%vs 14.1%、p=0.027:尤度比χ二乗検定)の発現率が有意に低かった。なお、開始周期あたりの生産率は、試験群で23.5%、対照群で18.6%であった(群間差4.9、95%信頼区間-3.7~13.4)。以上の結果から、日本人女性においてfollitropin deltaの個別化投与は、ベネフィット・リスクプロファイルが良好であることが示唆された。

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NEW
卵巣反応が低い高齢患者では高プロゲステロンレベル下での排卵誘発がより適している可能性がある
Ovulation induction with high progesterone levels may be more suitable for elderly patients with low ovarian response

Mu Z, Sa Y, Sun Z, Yi Y
J Gynecol Obstet Hum Reprod 2021年 50巻 2号 101661

卵巣反応が低い高齢女性には、GnRHアゴニストを用いたウルトラショート法が長年使用されてきたが、近年、progestin-primed ovarian stimulation(PPOS)法が使用され始めた。PPOS法では、E2値が上昇する前にプロゲステロン(P4)を投与するため、ポジティブフィードバックを遮断し、早発LHサージを抑制することが報告されている。本研究では、ウルトラショート法とPPOS法の有効性を比較するため、2015年1月~2018年5月に中国の1施設においてIVF/ICSI-ET周期でウルトラショート法を施行し、その後の周期でPPOS法を施行した40歳を超える低卵巣反応の女性117例(平均42.02±2.76歳)を対象とする自己対照後方視的研究を行った。ウルトラショート法では、Day 3からtriptorelin 100μg/日を注射し、hMG 150~225IU/日を注射した。PPOS法では、Day 3からメドロキシプロゲステロン酢酸エステル4mg/日または10mg/日の経口投与、hMG 150~225IU/日の投与を行った。主席卵胞が18mmに到達した時点でトリガーのhCG 10,000IUを投与した。ゴナドトロピンの投与期間や総投与量にプロトコール間で有意差はみられなかった。PPOS法では、ウルトラショート法と比べ、トリガー投与日に14mmを超える卵胞の個数(4.83個 vs 3.25個、p<0.01)、採卵数(4.29個 vs 2.76個、p=0.02)が有意に多く、良好胚の割合[38.61%(100/259個) vs 32.02%(65/203個)、p=0.02]、臨床妊娠率[32.35%(33/102サイクル) vs 25.53%(24/94サイクル)、p=0.04]、生産率[27.45%(28/102サイクル) vs 21.28%(20/94サイクル)、p=0.04]が有意に高かった。流産率はプロトコール間で有意差がみられなかった[15.15%(5/33サイクル) vs 16.67%(4/24サイクル)、p=0.32]。以上の結果から、卵巣反応が低い高齢女性においてPPOS法は新たな卵巣刺激法となる可能性が示唆された。

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40歳を超える低卵巣反応女性におけるフレキシブルショート法
A flexible short protocol in women with poor ovarian response over 40 years old

Zhang X, Feng T, Yang J, Hao Y, Li S, Zhang Y, Qian Y
J Ovarian Res 2021年 14巻 1号 3

卵巣反応が低い女性に対し、様々な卵巣刺激法が試みられてきたが、成功率は低く、周期あたりの生産率は約6%と報告されている。本研究では、新しい卵巣刺激法を検討するため、2015年1月~2019年6月に中国の1施設においてIVFを施行した40歳を超える低卵巣反応(POSEIDON基準:AFC<5個、AMH<1.2ng/mL)の女性の488サイクルを対象とする後方視的研究を行った。医師の判断と患者の希望により、卵巣刺激法として、letrozole 2.5~5mg/日を使用した低刺激法175サイクル、ショート法(SP)76サイクル、フレキシブルショート法(FSP)237サイクルを施行した。ショート法では、Day 2からGnRHアゴニスト(triptorelin)0.1mg/日を連日投与し、Day3 からゴナドトロピン150~225IU/日を5日間投与後、卵胞発育に応じて投与量を調節した。FSPでは、Day 3からtriptorelin 0.05mg/日を投与し、E2値が上昇し始め、かつ1個の卵胞が5mm以上になった時点(Day 5~10)でFSH製剤の投与を開始した。トリガーのhCGの投与から36時間後に採卵し、IVF/ISCIを施行後、良好胚の新鮮胚移植または凍結胚移植を行った。FSP群は低刺激群やSP群と比べて卵巣刺激の平均期間が有意に短く(7.47日 vs 9.48日、9.25日、p<0.001)、SP群と比べてゴナドトロピン総投与量の平均値が有意に少なかった(1,669.46IU vs 2,394.74IU、p<0.001)。トリガー投与日の血清LHの平均値は、低刺激群と比べてFSP群で有意に低かった(5.40pg/mL vs 11.04pg/mL p<0.001)。また、FSP群は低刺激群と比べて卵子および胚の質が良好であり、着床率が有意に高く(13.33% vs 5.52%、p=0.008)、累積妊娠率も有意に高かった(25.81% vs 9.28%、p=0.002)。なお、生産率はFSP群で高い傾向を示したが、低刺激群やSP群との有意差はみられなかった(11.49% vs 4.72%、8.77%、p=0.168)。以上の結果から、40歳を超える低卵巣反応女性においてFSPは有用な選択肢の一つであることが示唆された。FSPでは、GnRHアナログを用いた早発LHサージの抑制や、卵胞発育を同期させるFSH製剤投与開始のタイミングにより、低刺激法やSPの欠点を補うと考えられる。

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ESHREガイドライン:IVF/ICSIのための卵巣刺激
ESHRE guideline: ovarian stimulation for IVF/ICSI

The Eshre Guideline Group On Ovarian Stimulation, Bosch E, Broer S, Griesinger G, Grynberg M, Humaidan P, Kolibianakis E, Kunicki M, La Marca A, Lainas G, Le Clef N, Massin N, Mastenbroek S, Polyzos N, Sunkara SK,Timeva T, Töyli M, Urbancsek J, Vermeulen N, Broekmans F
Hum Reprod Open 2020年 2020巻 2号 hoaa009

ARTを行う時には、自然周期で1個の卵を採卵するよりは、さまざまな調節卵巣刺激で5~10個の成熟卵を採卵することが重要である。AMHまたはAFCから予測された卵巣反応が高い女性に対する第一選択は、アンタゴニスト法を用い、ゴナドトロピン150IU、トリガーのGnRHアゴニストを投与し、全胚凍結を行う。卵巣反応が正常な女性に対する第一選択は、アンタゴニスト法を用い、ゴナドトロピン150~225IU、トリガーのhCG 10,000IUまたはrhCG 250μg、黄体補充のプロゲステロン(P4)(筋注、静注、経腟)、ジドロゲステロン(経口)を投与する。卵巣反応が低い女性に対する第一選択は、アンタゴニスト法またはアゴニスト法を用い、ゴナドトロピン150~300IU、トリガーのhCG 10,000IUまたはrhCG 250μg、黄体補充のP4(筋注、静注、経腟)、ジドロゲステロン(経口)を投与する。ゴナドトロピンのrFSHとhMGの使用は同等に推奨される。アゴニスト法では、ゴナドトロピンのrFSHとFSHの使用、rFSHと高純度FSHの使用、高純度FSHとhMGの使用はそれぞれ同等に推奨される。卵巣反応が正常な女性のアンタゴニスト法では、長時間作用型rFSHと1日1回投与のrFSHの使用は同等に推奨される。多嚢胞性卵巣症候群のアンタゴニスト法では、卵巣刺激前または卵巣刺激時のメトホルミンの補助的な使用は推奨されない。卵巣刺激前または卵巣刺激時のアスピリンの補助的な使用は推奨されない。アゴニスト法で卵胞数が18個以上となった場合は卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクが高いため、キャンセルを含む防止法が推奨される。卵巣刺激に対する低反応のみはキャンセルの理由とならない。トリガーのrhCGとhCGの使用は同等に推奨される。黄体補充と新鮮胚移植を行うIVF/ICSI周期におけるトリガーとしてのGnRHアゴニストの使用は推奨されない。OHSSのリスクがある女性のトリガーとしてのGnRHアゴニストの使用は推奨される。IVF/ICSI後の黄体補充としてP4が推奨される。ジドロゲステロンは黄体補充として推奨され得る。晩発性OHSSのリスクを消失させるには全胚凍結が推奨される。

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ARTの採卵あたりの生産率または累積生産率を最大化する最適な採卵数はあるか? システマティックレビュー
Is there an optimal number of oocytes retrieved at which live birth rates or cumulative live birth rates per aspiration are maximized after ART? a systematic review

Law YJ, Zhang N, Kolibianakis EM, Costello MF, Keller E, Chambers GM, Venetis CA
Reprod Biomed Online 2021年 42巻 1号 83〜104

この20年間にARTの成功率は上昇したが、卵巣刺激の程度を問う声が高まっている。本研究では、採卵数と生産率または累積生産率との関連および最適な採卵数を検討するため、2020年1月までに報告されたIVF/ICSIの転帰に関する観察研究のシステマティックレビューを行った。症例対照研究、ケースシリーズ、症例報告、PGTを実施した研究、精子や卵子の提供を含む研究は除外した。MEDLINE、Embase、Scopus、CINAHL、Web of Scienceを検索した結果、6,174件のうち、2011~2019年に報告された16件の後方視的コホート研究を対象とした。このうち5件は新鮮胚移植周期の生産率、5件は卵巣刺激周期あたりの累積生産率、6件はその両者を評価していた。採卵数と新鮮胚移植周期の生産率との関連については、11件中2件が正の相関を示し、全般的に採卵数がプラトーに到達するまで生産率が上昇していた。新鮮胚移植周期の最適な採卵数については、15個を含む範囲が最も多く報告されており、生産率を最大化する最適な採卵数は12~18個にあると考えられた。ただし、採卵数が15個、18個、25個以上などの場合、卵巣過剰刺激症候群の発現が有意に増加すると報告されており、新鮮胚移植周期での生産を希望する患者においては採卵数の増加によるリスクとベネフィットを認識する必要がある。採卵数と卵巣刺激周期あたりの累積生産率との関連については、11件中7件が正の相関を示し、その他はそれぞれの採卵数で累積生産率がプラトーに到達していた。累積生産率に関する最適な採卵数については、研究によって異なり、10個、10~12個、10~14個、15個、15~20個などと報告されていた。また、年齢別では、18~34歳で25個、35~44歳で30個以上、45歳以上で約9個との報告もみられた。したがって、累積生産率を最大化する最適な採卵数について一致した見解は得られなかった。

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凍結胚移植周期に使用した4種類のプロゲステロン腟剤別の血清プロゲステロン値と妊娠転帰
Serum progesterone levels with the use of four different types of vaginal progesterone in frozen-thawed embryo transfer cycles and related pregnancy outcomes

Shiba R, Kinutani M, Okano S, Ikeda M, Fukunaga E, Harada Y, Kawano R, Kikkawa Y
Int J Fertil Steril 2021年 15巻 1号 34〜39

天然型プロゲステロン(P4)腟剤は、使用が簡便であり、P4が子宮内膜へ容易に到達することから、選択される機会が増加している。一方、妊娠に必要な血清P4値は確立されていない。本研究では、凍結胚移植ホルモン補充(FET-HRT)周期の黄体補充としてP4腟剤を使用した女性の胚移植時の血清P4値と妊娠転帰との関連を検討するため、4種類のP4腟剤(Lutinus、Utrogestan、Luteum、Crinone)を比較した国内の単施設無作為化比較試験(EXCULL)の二次解析を行った。P4腟剤の用法用量は、Lutinusが100mg 1日3回、Utrogestanが200mg 1日3回、Luteumが400mg 1日2回、Crinoneが90mg 1日1回であった。FET-HRT周期235サイクルを対象とし、胚移植日の血清P4値が7.8ng/mL未満のQ1群59サイクル、7.8~10.8ng/mLのQ2群59サイクル、10.8~13.7ng/mLのQ3群59サイクル、13.7ng/mL超のQ4群58サイクルの4群に分けた。UtrogestanおよびCrinoneの使用率はQ1群で高く、LutinusおよびLuteumの使用率はQ4群で高かった。P4腟剤別にみた胚移植日の血清P4の平均値は、Lutinus(63サイクル)の13.3±4.9ng/mL、Luteum(56サイクル)の13.6±4.2ng/mLと比べ、Utrogestan(60サイクル)で9.3±3.3ng/mL、Crinone(56サイクル)で8.7±3.2ng/mLと有意に低かった(p<0.001)。年齢、BMI、移植胚を共変数とした多重ロジスティック回帰分析の結果、血清P4値は、臨床妊娠率、胎児心拍陽性率、生産率、流産率との有意な関連を示さなかった。以上の結果から、FET-HRT周期に使用したP4腟剤の種類により胚移植日の血清P4値は異なるが、血清P4値は妊娠転帰と関連しないことが示唆された。P4の経腟投与は筋注と比べて血清P4値が低いものの、子宮内膜P4値が高いことが報告されており、血清P4値に基づいて投与量を増減する必要はないと考えられる。

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ヨウ素と妊孕性:我々は十分に知っているか?
Iodine and fertility: do we know enough?

Mathews DM, Johnson NP, Sim RG, O'Sullivan S, Peart JM, Hofman PL
Hum Reprod 2021年 36巻 2号 265〜274

甲状腺機能に必須のヨウ素は生殖機能や胎児の健康にも必要な微量栄養素である。ヨウ素濃度と妊娠転帰はU字型の関係にあることが報告されており、母体と胎児の転帰が最良となる摂取量の範囲は比較的狭いと考えられる。一方、原因不明不妊において、油性造影剤リピオドールを用いた卵管造影を実施後の妊孕性の向上が1950年代以降に報告され、ヨウ素の含有量が多いリピオドールの使用は、水溶性造影剤と比べ、原因不明不妊の妊娠率を改善することが近年の大規模無作為化比較試験で示された。このリピオドールの機序は不明であるが、卵管の老廃物や障害物の除去作用、腹膜や子宮の免疫学的環境の変化など、複数の要因が関連していると思われる。原因不明不妊の原因については、米国の女性500例以上を対象とした研究において、尿中ヨウ素濃度が低い女性は妊孕性が46%低下することや、妊娠に至るまでの期間が長いことが示され、ヨウ素の欠乏が原因不明不妊に寄与する可能性が示唆されている。原因不明不妊のウシを用いた研究では、ヨウ素の子宮内注入後にみられた妊孕性改善の機序として、強力な殺菌作用による子宮内膜症の改善や、子宮内のpHの変化および血管分布の改善などが考えられている。また、ヨウ素は甲状腺ホルモンの合成や分泌を介して間接的に排卵を促進するだけでなく、卵巣に直接作用することも示唆されている。卵巣にはナトリウム-ヨウ素共輸送体が顕著に発現しており、多くのヨウ素が卵巣に取り込まれる。発育中の小さな卵胞にヨウ素が取り込まれることが顆粒膜細胞の分泌活性に重要である可能性も報告されている。さらに、マウスを用いた研究によると、ヨウ素は免疫学的環境を変化させることで胚の着床に影響を及ぼす可能性も示唆されている。原因不明不妊の治療におけるヨウ素の役割が期待されるものの、安全かつ有効な投与量および投与経路については、さらなる研究が必要である。日本人は海外の人と比べ海藻類をたくさん摂取することも考慮する必要がある。

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若年乳癌生存者の腫瘍学的転帰に対するARTの影響
Impact of ARTs on oncological outcomes in young breast cancer survivors

Condorelli M, De Vos M, Lie Fong S, Autin C, Delvigne A, Vanden Meerschaut F, Wyns C, Imbert R, Cheruy C, Bouziotis J, de Azambuja E, Delbaere A, Lambertini M, Demeestere I
Hum Reprod 2021年 36巻 2号 381〜389

健康な女性に対する不妊治療は乳癌発生頻度を上昇させないことが知られている。本研究では、抗癌治療を終了した若年乳癌生存者における安全性が報告されている。2006年1月~2016年12月にベルギーでARTを施行した40歳以下の乳癌生存者39例(ART群)、予後予測因子でマッチングしたART非施行の乳癌生存者73例(対照群)を対象とする多施設共同後方視的マッチドコホート研究を行った。ART 207サイクルの内訳は、IVF/ICSIのための卵巣刺激107サイクル(51.7%)、凍結胚移植のためのホルモン補充64サイクル(30.9%)、修正自然周期18サイクル(8.7%)、クロミフェン18サイクル(8.7%)であった。ART群は対照群と比べて乳癌診断時の平均年齢が有意に低く(31.8±3.9歳 vs 34.3±3.6歳、p<0.001)、未産婦の割合が有意に高かった(89.7% vs 46.6%、p<0.001)。ただし、BRCA変異の有無別の平均年齢は群間で有意差がみられなかった。ART施行時の年齢中央値は38.3歳、乳癌診断からART施行までの期間中央値は4.1年であった。ART開始後の追跡期間中央値は4.6年であり、乳癌診断からART開始までの期間で調整した対照群の追跡期間中央値は6.9年であった(p=0.004)。乳癌の再発率はART群で7.7%、対照群で20.5%と有意差がみられなかった(ハザード比0.46、95%信頼区間0.13~1.62、p=0.23)。ART開始から乳癌再発までの期間中央値は1.3年であり、対照群の4.5年と比べて有意差がみられなかった(p=0.14)。なお、ART群は対照群と比べて乳癌治療後の妊娠率(59.0% vs 26.0%、p=0.001)、生産率(43.6% vs 21.9%、p=0.006)が有意に高かった。以上の結果から、40歳以下の若年乳癌生存者においてARTは再発リスクに悪影響を及ぼさないことが示唆された。

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IVF周期のP4高値がインプランテーションウィンドウの子宮内膜における接着分子のDNAメチル化と遺伝子発現に及ぼす影響
Effects of high progesterone in in-vitro fertilization cycle on DNA methylation and gene expression of adhesion molecules on endometrium during implantation window

Xiong Y, Hu L, Zhang T, Wang M, Xu H, Li TC, Sun Y, Wang CC
J Assist Reprod Genet 2020年 37巻 1号 33〜43

トリガー投与日のP4値が高い女性は着床率が低く、子宮内膜の遺伝子発現の変化やDNAメチル化の増加がみられたと報告されている。しかし、P4高値がどのようにして子宮内膜受容能に影響するかの詳細は明らかにされていない。本研究では、トリガー投与日のP4高値がインプランテーションウィンドウの子宮内膜における接着分子(子宮内膜受容能マーカー)のDNAメチル化と遺伝子発現に及ぼす影響を検討するため、2017年2~7月に中国の1施設でIVFを初めて施行した25~40歳の女性40例を対象とするコホート研究を行った。38例がスーパーロング法、2例がロング法を用いて調節卵巣刺激を行い、トリガーのhCG 6,500~10,000IUを投与した。トリガー投与後7日目に子宮内膜を採取し、DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT1、DNMT3B)、接着分子のムチン1(MUC1)、カドヘリン1(CDH1)、βカテニン(CTNNB1)の発現、接着分子のプロモータ領域のメチル化レベルを評価した。MUC1、CDH1、CTNNB1は、子宮内膜の管腔上皮細胞と腺上皮細胞に発現しており、間質には発現していなかった。トリガー投与日のP4値が1.7ng/mL以上の高値群(20例)は、1.7ng/mL未満の正常群(20例)と比べ、子宮内膜のMUC1、CDH1、CTNNB1のタンパク質とmRNAの発現が有意に少なかった。また、高値群は正常群と比べてCDH1とCTNNB1のプロモータ領域のメチル化レベルが高かったが、MUC1のメチル化レベルに差はみられなかった。CDH1とCTNNB1のDNAメチル化レベルは、それぞれのmRNA発現と負の相関を示した。なお、DNAメチルトランスフェラーゼのうち、メチル化の維持に関わるDNMT1の発現は群間で有意差がなく、de novoメチル化に関わるDNMT3Bの発現は正常群と比べて高値群で有意に高かった。以上の結果から、トリガー投与日のP4高値は、インプランテーションウィンドウの子宮内膜における接着分子のDNAメチル化の増加および発現の減少と関連し、エピジェネティック機序によりIVFの不成功に関与している可能性が示された。

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early ovarian aging:若齢女性において採卵数が少ないことが加齢関連疾患の早期リスク上昇と関連するか?
Early ovarian ageing: is a low number of oocytes harvested in young women associated with an earlier and increased risk of age-related diseases?

Christensen MW, Kesmodel US, Christensen K, Kirkegaard K, Ingerslev HJ
Hum Reprod 2020年 35巻 10号 2375〜2390

45歳未満の早期閉経、40歳未満の早発閉経は、心血管疾患、骨粗鬆症、死亡のリスク上昇と関連すると報告されている。本研究では、若齢女性における原因不明の採卵数の減少(EOA:early ovarian aging)が加齢関連イベントのリスク上昇と関連するかを検討するため、1995年1月~2014年12月にデンマークでIVF/ICSIを初めて施行した37歳以下の女性43,948例を対象とするヒストリカルコホート研究を行った。FSHを用いた卵巣刺激周期で採卵数5個以下が2サイクル以上のEOA群1,222例、採卵数8個以上が1サイクル以上の正常群16,385例を解析対象とした。卵巣予備能低下の原因(子宮内膜症、卵巣の手術、多嚢胞性卵巣症候群、化学療法など)が明らかな症例を除外した。デンマークのレジストリを利用し、加齢関連イベント(心血管疾患、骨粗鬆症、2型糖尿病、癌、白内障、アルツハイマー病、パーキンソン病、死亡、Charlson併存疾患指数1以上、早期退職金の受け取り)を調査した。ベースラインから初回イベントまでの追跡期間中央値は、正常群の6.4年と比べ、EOA群で4.9年と有意に短かった(p<0.01)。Cox回帰分析の結果、EOA群は正常群と比べて加齢関連イベントのリスクが高く(調整ハザード比1.24、95%信頼区間1.08~1.43)、イベント別では心血管疾患(1.44、1.19~1.75)、骨粗鬆症(2.45、1.59~3.90)のリスクが有意に高かった。採卵数の減少に伴ってリスク上昇の傾向がみられ、採卵数が3個以下の場合には、加齢関連イベント(1.30、1.04~1.63)、心血管疾患(1.78、1.33~2.37)、骨粗鬆症(2.64、1.27~5.47)のリスクが上昇した。以上の結果から、若齢女性の原因不明の少ない採卵数は、その後の健康指標となる可能性が示唆された。これらの患者のカウンセリングを行う際には、加齢関連イベントのリスクを低下させるために、生活習慣の改善やホルモン補充の使用を助言することが重要である。

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