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弊社製品領域の最新情報を論文等から紹介しています。特定の薬剤/システムの処方/使用誘因あるいは企業の営利を企図するものではなく、
また国内での承認外の情報を一部含んでおりますがこれを推奨するものではありません。薬剤の使用にあたっては最新の添付文書をご参照ください。


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IVF周期のP4高値がインプランテーションウィンドウの子宮内膜における接着分子のDNAメチル化と遺伝子発現に及ぼす影響
Effects of high progesterone in in-vitro fertilization cycle on DNA methylation and gene expression of adhesion molecules on endometrium during implantation window

Xiong Y, Hu L, Zhang T, Wang M, Xu H, Li TC, Sun Y, Wang CC
J Assist Reprod Genet 2020年 37巻 1号 33〜43

トリガー投与日のP4値が高い女性は着床率が低く、子宮内膜の遺伝子発現の変化やDNAメチル化の増加がみられたと報告されている。しかし、P4高値がどのようにして子宮内膜受容能に影響するかの詳細は明らかにされていない。本研究では、トリガー投与日のP4高値がインプランテーションウィンドウの子宮内膜における接着分子(子宮内膜受容能マーカー)のDNAメチル化と遺伝子発現に及ぼす影響を検討するため、2017年2~7月に中国の1施設でIVFを初めて施行した25~40歳の女性40例を対象とするコホート研究を行った。38例がスーパーロング法、2例がロング法を用いて調節卵巣刺激を行い、トリガーのhCG 6,500~10,000IUを投与した。トリガー投与後7日目に子宮内膜を採取し、DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT1、DNMT3B)、接着分子のムチン1(MUC1)、カドヘリン1(CDH1)、βカテニン(CTNNB1)の発現、接着分子のプロモータ領域のメチル化レベルを評価した。MUC1、CDH1、CTNNB1は、子宮内膜の管腔上皮細胞と腺上皮細胞に発現しており、間質には発現していなかった。トリガー投与日のP4値が1.7ng/mL以上の高値群(20例)は、1.7ng/mL未満の正常群(20例)と比べ、子宮内膜のMUC1、CDH1、CTNNB1のタンパク質とmRNAの発現が有意に少なかった。また、高値群は正常群と比べてCDH1とCTNNB1のプロモータ領域のメチル化レベルが高かったが、MUC1のメチル化レベルに差はみられなかった。CDH1とCTNNB1のDNAメチル化レベルは、それぞれのmRNA発現と負の相関を示した。なお、DNAメチルトランスフェラーゼのうち、メチル化の維持に関わるDNMT1の発現は群間で有意差がなく、de novoメチル化に関わるDNMT3Bの発現は正常群と比べて高値群で有意に高かった。以上の結果から、トリガー投与日のP4高値は、インプランテーションウィンドウの子宮内膜における接着分子のDNAメチル化の増加および発現の減少と関連し、エピジェネティック機序によりIVFの不成功に関与している可能性が示された。

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early ovarian aging:若齢女性において採卵数が少ないことが加齢関連疾患の早期リスク上昇と関連するか?
Early ovarian ageing: is a low number of oocytes harvested in young women associated with an earlier and increased risk of age-related diseases?

Christensen MW, Kesmodel US, Christensen K, Kirkegaard K, Ingerslev HJ
Hum Reprod 2020年 35巻 10号 2375〜2390

45歳未満の早期閉経、40歳未満の早発閉経は、心血管疾患、骨粗鬆症、死亡のリスク上昇と関連すると報告されている。本研究では、若齢女性における原因不明の採卵数の減少(EOA:early ovarian aging)が加齢関連イベントのリスク上昇と関連するかを検討するため、1995年1月~2014年12月にデンマークでIVF/ICSIを初めて施行した37歳以下の女性43,948例を対象とするヒストリカルコホート研究を行った。FSHを用いた卵巣刺激周期で採卵数5個以下が2サイクル以上のEOA群1,222例、採卵数8個以上が1サイクル以上の正常群16,385例を解析対象とした。卵巣予備能低下の原因(子宮内膜症、卵巣の手術、多嚢胞性卵巣症候群、化学療法など)が明らかな症例を除外した。デンマークのレジストリを利用し、加齢関連イベント(心血管疾患、骨粗鬆症、2型糖尿病、癌、白内障、アルツハイマー病、パーキンソン病、死亡、Charlson併存疾患指数1以上、早期退職金の受け取り)を調査した。ベースラインから初回イベントまでの追跡期間中央値は、正常群の6.4年と比べ、EOA群で4.9年と有意に短かった(p<0.01)。Cox回帰分析の結果、EOA群は正常群と比べて加齢関連イベントのリスクが高く(調整ハザード比1.24、95%信頼区間1.08~1.43)、イベント別では心血管疾患(1.44、1.19~1.75)、骨粗鬆症(2.45、1.59~3.90)のリスクが有意に高かった。採卵数の減少に伴ってリスク上昇の傾向がみられ、採卵数が3個以下の場合には、加齢関連イベント(1.30、1.04~1.63)、心血管疾患(1.78、1.33~2.37)、骨粗鬆症(2.64、1.27~5.47)のリスクが上昇した。以上の結果から、若齢女性の原因不明の少ない採卵数は、その後の健康指標となる可能性が示唆された。これらの患者のカウンセリングを行う際には、加齢関連イベントのリスクを低下させるために、生活習慣の改善やホルモン補充の使用を助言することが重要である。

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正常月経周期の若齢女性における凍結胚移植では自然周期がホルモン補充周期よりも生産率が高い:後方視的コホート研究
Natural cycle frozen-thawed embryo transfer in young women with regular menstrual cycles increases the live-birth rates compared with hormone replacement treatment: a retrospective cohort study

Liu X, Shi W, Shi J
Fertil Steril 2020年 113巻 4号 811〜817

子宮内膜調整法として自然周期(NC)とホルモン補充周期(HT)を比較した研究が複数報告されているが、一致した見解は得られていない。本研究では、2014年6月~2017年12月に中国の1施設でIVFを受けた20~35歳の正常周期の女性のうち、凍結胚移植を初めて施行した1,846例を対象とする後方視的コホート研究を行い、最適な子宮内膜調整法を検討した。前周期の排卵が認められている女性、または投薬を拒否した女性の308例をNC群とし、頻繁にモニタリングできない女性1,538例をHT群とした。NC群には、主席卵胞の平均径が17mm超、血清LH値が20IU/L未満の時点でトリガーのhCG 10,000IUを投与し、排卵の確認後からプロゲステロン(P4)60mgの筋注を開始してDay 3胚またはDay 5胚の凍結胚移植を行った。HT群には、Day 5からエストラジオール(E2)6mg/日の経口投与を開始し、子宮内膜厚が7mm以上、血清P4値1.5ng/mL未満の時点からP4 60mgの筋注を開始してDay 4胚またはDay 6胚の凍結胚移植を行った。胚移植日から黄体補充としてP4 60mgの筋注、P4 20mg/日の経口投与、E2 6mg/日の経口投与を行った。主要評価項目の生産率はHT群の55.11%と比べてNC群で61.73%と有意に高かった(p=0.033)。さらに、P4投与日の子宮内膜厚、子宮内膜のトリプルラインパターン、胚移植時の年齢、IVF/ICSI、採卵周期の卵巣刺激法によるサブグループ解析の結果、いずれにおいてもNC群はHT群と比べて生産率が高かった。多変量解析の結果、NCはHTと比べて生産率の上昇と関連していることが示された。なお、流産率はNC群の8.37%と比べてHT群で13.69%と有意に高かった(p=0.034)。NCは生理的状況に近く、母体の循環環境が向上することにより、妊娠転帰によい影響を及ぼす可能性が考えられる。一方、HTは塞栓イベントのリスクを高め、胎盤形成に悪影響を及ぼし、流産の原因となるおそれが考えられる。ただし、年齢が若いこと、すべての交絡因子でコントロールしていないこと、後方視的データであったことから、前方視的データで自然周期の有益性を確認する必要がある。

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黄体期の卵巣刺激で得られたeuploid胚盤胞は卵胞期の卵巣刺激で得られたeuploid胚盤胞と同様の妊娠成績、産科・周産期転帰を示す:多施設共同研究
The euploid blastocysts obtained after luteal phase stimulation show the same clinical, obstetric and perinatal outcomes as follicular phase stimulation-derived ones: a multicenter study

Vaiarelli A, Cimadomo D, Alviggi E, Sansone A, Trabucco E, Dusi L, Buffo L, Barnocchi N, Fiorini F, Colamaria S, Giuliani M, Argento C, Rienzi L, Ubaldi FM
Hum Reprod 2020年 35巻 11号 2598〜2608

短期間で卵子凍結保存を行うことを希望する癌患者や、従来の調節卵巣刺激に対する反応が低い女性の卵巣刺激法の一つとして二重刺激法(DuoStim protocol)があり、従来の方法と同様の胚転帰が報告されている。本研究では、2015年10月~2019年3月にイタリアでDuoStimを施行した女性827例のうち、卵胞期刺激(FPS)または黄体期刺激(LPS)で得られたeuploid胚盤胞の単一凍結胚移植を行った389例を対象とする多施設共同研究を行い、初回移植後の生殖転帰を比較した。アンタゴニスト法を用い、FPSとしてDay 2またはDay 3からrFSH 300IU/dieおよびrLH 150IU/dieを4日間投与し、少なくとも2個の卵胞が17mm以上18mm以下に到達した時点でトリガーのGnRHアゴニストを投与した。採卵の5日後からFPSと同様の用法用量でLPSを施行した。ICSI後、全胚凍結保存を行い、ホルモン補充周期において凍結胚盤胞の単一胚移植を行った。126例(32%)はFPSとLPSの両方でeuploid胚盤胞が得られたため、盲検法により移植胚を選択した。主要評価項目の移植あたりの生産率は、FPS群で44%(80/182例)、LPS群で49%(102/207例)と有意差がみられなかった。交絡因子の胚培養日数と胚の質で調整しても、生産率に群間で有意差はみられなかった(オッズ比1.3、95%信頼区間0.8~2.0)。また、FPSとLPSでeuploid胚盤胞が得られた126例の移植あたりの生産率は、FPS群で53%(37/70例)、LPS群で48%(27/56例)と同等であった。なお、妊娠関連問題がFPS群の7.5%(6/80例)、LPS群の10%(10/102例)にみられ、新生児の問題が5%(4/81例)と0%(0/102例)にみられたが有意差はなく、早産率は両群とも5%であった。以上の結果から、FPSまたはLPSで得られたeuploid胚盤胞では凍結胚移植の生殖転帰に差がないことが示された。

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前周期のIVFが成功しなかった子宮内膜症の女性におけるジエノゲスト前治療
Pretreatment with dienogest in women with endometriosis undergoing IVF after a previous failed cycle

Barra F, Laganà AS, Scala C, Garzon S, Ghezzi F, Ferrero S
Reprod Biomed 2020年 41巻 5号 859〜868

子宮内膜症と関連する不妊の原因は、全身または腹腔内の炎症であると考えられる。子宮内膜症やその疼痛の治療に、抗炎症活性と抗血管新生活性を有する第4世代プロゲスチンのジエノゲスト(DNG)を使用した患者は、未治療の患者と比べ、その後のIVFによる妊娠率や生産率が高かったと報告されている。一方、DNGによる前治療終了直後のIVF転帰は不良であったとの報告もある。本研究では、2015年6月~2019年9月にイタリアの1施設でIVFと凍結胚移植が成功しなかった40歳以下の子宮内膜症の女性151例を対象とし、その後のIVF転帰に及ぼすDNG前治療の影響を検討した。医師との話し合いに基づき、63例(平均36.4±4.0歳)がDNG(2mg/日、3ヵ月)による前治療終了から2サイクル目にIVFを受けることを選択した。前治療なしのIVFを選択した88例(平均36.2±4.1歳)を対照群とした。両群とも、Day 3からrFSH 150~300IU/日、Day 6からGnRHアンタゴニスト0.25mg/日を投与し、少なくとも2個の主席卵胞の平均径が18mmを超えた時点でトリガーのhCG 5,000IUを投与した。IVFを施行後、新鮮胚移植または凍結胚移植を行った。DNG群は対照群と比べて累積着床率(39.7% vs 23.9%、p=0.049)、累積臨床妊娠率(33.3% vs 18.2%、p=0.037)、妊娠24週以降の累積生産率(28.6% vs 14.8%、p=0.043)が有意に高かった。DNG群では、子宮内膜症病変の最大径が有意に減少した(-1.0cm、p<0.001)。子宮内膜症病変が4cm以上であった34例(DNG群16例、対照群18例)のサブグループ解析の結果、DNG群は対照群と比べて採卵数(6.1個 vs 4.3個、p=0.031)、2PN胚数(3.5個 vs 2.2個、p=0.039)、胚盤胞数(2.5個 vs 1.3個、p=0.005)、移植胚数(1.6個 vs 1.0個、p=0.014)が有意に高かった。以上の結果から、子宮内膜症の女性ではDNG前治療によりIVF転帰が改善することが示唆された。

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二酸化窒素の高値はAMHの低値と関連する:実臨床での解析
Elevated levels of nitrous dioxide are associated with lower AMH levels: a real-world analysis

Marca AL, Spaggiari G, Domenici D, Grassi R, Casonati A, Baraldi E, Trenti T, Simoni M, Santi D
Hum Reprod 2020年 35巻 11号 2589〜2597

大気汚染物質は内分泌を撹乱し、生殖に悪影響を及ぼすおそれがある。喫煙習慣や年齢は卵巣予備能指標のAMH値と関連することが広く認識されている。本研究では、大気汚染物質とAMH値との関連を検討するため、2007年1月~2017年10月にイタリアの1施設でAMH値を測定した女性1,463例(平均38.8±7.7歳)を対象とする実臨床での後方視的縦断観察研究を行った。居住地の近隣で測定された大気の粒子状物質(PM10、PM2.5)、二酸化窒素(NO2)のデータを収集し、AMH値との関連を解析した。AMHの平均値は1.9±0.9ng/mL、中央値は0.90ng/mLであった。25歳を超える女性では、年齢とAMH値に負の相関が認められた(Rho=-0.424、p<0.001)。AMH値は、PM10(Rho=-0.088、p=0.001)、PM2.5(Rho=-0.062、p=0.021)、NO2(Rho=-0.111、p<0.001)と負の相関を示した。
サブグループ解析の結果、PM10およびPM2.5の第2四分位群は、第4四分位群と比べ、AMH値が有意に高かったが(p=0.012、p=0.003)、年齢で調整すると有意差は消失した。一方、NO2の第3四分位群は、第4四分位群と比べ、AMH値が有意に高く(p=0.006)、年齢で調整後も有意差はみられた(p=0.028)。AMH値0.3ng/mLを卵巣予備能低下のカットオフ値とした場合、NO2のみ、第4四分位群において重度の卵巣予備能低下と判定される女性が有意に多かった(p=0.010)。以上の結果から、大気汚染物質のうち、特にNO2は、AMH値の低下と関連し、卵巣予備能に悪影響を及ぼすことが示唆された。これらの大気汚染物質が健康に及ぼす悪影響は十分に解明されていないが、エピジェネティック機序および分子の特性が介在する可能性が考えられる。

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不妊女性の治療における遺伝子組換えゴナドトロピンの個別化のポイント
Decision points for individualized hormonal stimulation with recombinant gonadotropins for treatment of women with infertility

Lunenfeld B, Bilger W, Longobardi S, Kirsten J, D'Hooghe T, Sunkara SK
Gynecol Endocrinol 2019年 35巻 12号 1027〜1036

不妊女性の治療では、診断を大まかに無排卵周期症、排卵のある不妊(子宮内膜症、子宮因子や卵管因子を原因とする不妊、原因不明不妊など)、卵巣機能不全、高プロラクチン血症性無月経に分類し、発育させる卵胞数および卵子提供の目的に応じて方針を決定する。ゴナドトロピンを用いた調節卵巣刺激または排卵誘発を開始する場合は、プロトコール、ゴナドトロピンの種類、開始投与量の選択が重要である。これらは、AFC(≦3、4~9、10~19、≧20個)やAMH値(<0.5、0.5~1.1、1.2~3.5、>3.5ng/mL)などから予測される卵巣反応別に設定されるが、その他の特性(年齢、FSH基礎値、以前の卵巣反応、治療中の卵胞発育)、治療目標、患者の希望に合わせて個別化を行う。治療の開始後は、超音波検査やE2値のモニタリングを行い、卵巣反応に応じてDay4~6やその後のゴナドトロピン投与量の調節、LHの追加、ゴナドトロピンの種類の変更、トリガーの種類の変更、黄体期の卵巣刺激(dual stimulation protocol)、凍結胚移植への変更、治療のキャンセルを決定する。無排卵周期症のWHOグループⅠ、Ⅱ(+多嚢胞性卵巣症候群)には排卵誘発またはIUI/タイミング法を施行し、排卵誘発を6回行って成功に至らなかった場合は調節卵巣刺激またはARTを施行する。WHOグループⅢには提供卵子を用いた治療を行う。高プロラクチン血症性無月経に対しては、下垂体腫瘍が10mm未満であることを確認後、ドパミンアゴニストによる治療を開始し、6ヵ月以内に妊娠しなかった場合はFSHの投与を行う。個別化治療の方針については、各国のガイドラインと併せて決定する必要がある。モニタリングの継続と人工知能の使用により、将来的にはさらに洗練された個別化治療が可能となり、転帰が改善するものと考えられる。

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IVF治療を個別化するための血清AMHカットオフ値とrFSH開始投与量
The cutoff values of serum AMH levels and starting recFSH doses for the individualization of IVF treatment strategies

Özcan P, Fiçicioğlu C, Ateş S, Can MG, Kaspar Ç, Akçin O, Yesiladali M
Gynecol Endocrinol 2017年 33巻 6号 467〜471

卵巣予備能指標のAMH値は卵巣反応の予測にも有用であるとされ、ゴナドトロピン開始投与量の個別化において様々なAMHカットオフ値が報告されている。本研究では、卵巣反応が低い女性のrFSH開始投与量の個別化におけるAMHカットオフ値を検討するため、2013年1月~2015年5月にトルコの1施設でIVF/ICSIを初めて施行する18~41歳の女性323例を対象とした前方視的研究を行った。AMH値別のrFSH開始投与量は、1ng/mL未満(157例)で450IU/日、1~2ng/mL(55例)で375IU/日、2~3ng/mL(48例)で225IU/日、3ng/mL超(63例)で150IU/日とした。アンタゴニスト法にてDay2からrFSHの投与を開始し、2個以上の卵胞が17mm以上に到達した時点でトリガーのhCG 250mgを投与した。採卵日から黄体補充を開始し、IVF/ICSIの3~5日後に新鮮胚移植を行った。AMH値が高いほど、rFSH開始投与量、ゴナドトロピン総投与量が有意に少なく、採卵数が有意に多かった。AMH値別のキャンセル率は1ng/mL未満で20.4%、1~2ng/mLで1.8%、2~3ng/mLで4.2%、3ng/mL超で6.3%であった(p<0.01)。また、臨床妊娠率は19.1%、49.1%、43.8%、36.5%であった(p<0.01)。卵巣反応が低かった周期の割合は34.4%、30.9%、31.2%、30.2%と有意差がみられなかった。ROC解析の結果、低卵巣反応を予測するためのAMHカットオフ値は、0.83ng/mL以下(感度85.1%、特異度75.5%)と考えられた。以上の結果から、AMH値は低卵巣反応の予測に有用であり、IVFの成功に必要な採卵数が得られるようにAMH値に応じてrFSH開始投与量を調節できる可能性が示唆された。

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卵巣反応指標としてのAMHと胞状卵胞数の特徴
Technical and performance characteristics of anti-müllerian hormone and antral follicle count as biomarkers of ovarian response

Iliodromiti S, Anderson RA, Nelson SM
Hum Reprod Update 2015年 21巻 6号 698〜710

卵巣反応指標のAMH値とAFCは互換性があるとされてきたが、疑問を呈するデータの報告もある。本研究では、これらの卵巣反応指標の長所と短所を検討するため、2014年5月までに公表された関連文献のシステマティックレビューを行った。AMH値の検査には免疫測定法が用いられるが、国際標準法がなく、手動で行った場合に施設間の変動がみられる。また、人種間のAMH値の差が、卵巣の老化、卵胞の発育開始の先天的差異、卵胞1個あたりの分泌の差異によるものかは明らかにされていない。さらに、多嚢胞性卵巣症候群などの合併症、妊娠、避妊薬やGnRHアナログの使用による内分泌環境の変化もAMH値に影響する。ただし、AMH値は周期内や周期間の変動が大きくないため、測定日を限定したり、繰り返し測定したりする必要はない。AFCについては、経腟超音波検査が広く普及しており、結果がすぐに得られるものの、標準化された検査法を用いた場合でも評価者内や評価者間の違いがみられる。AFCに対する外因性ホルモンの影響はAMH値の場合と同様である。AFCには周期内および周期間の変動がみられるため、治療周期のDay2~4に測定する必要がある。卵巣反応の予測能を評価した複数の観察研究によると、低反応および過剰反応の予測能はAMH値とAFCで同等であった。一方、複数の無作為化比較試験によると、多施設では評価者によるAFCの差異が生じたことから、一括管理されたAMH値がAFCよりも卵巣反応の予測能に優れていた。AMH値とAFCにはそれぞれの長所があることから、AMH値は卵巣反応の予測、経腟超音波検査は卵巣や子宮の所見として補完的な役割を果たすものと考えられる。

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ARTでのAMHに基づく調節卵巣刺激法
Anti-müllerian hormone-based approach to controlled ovarian stimulation for assisted conception

Nelson SM, Yates RW, Lyall H, Jamieson M, Traynor I, Gaudoin M, Mitchell P, Ambrose P, Fleming R
Hum Reprod 2009年 24巻 4号 867〜875

AMH値は年齢とは無関係に採卵数を予測でき、卵巣刺激に対する低反応や過剰反応、治療のキャンセルなどのリスクを判定できることから、治療の個別化における理想的な指標と考えられる。本研究では、2006年10月~2007年10月に英国の2施設において、ARTを初めて施行する連続症例の女性538例(施設1:370例、中央値34.8歳、施設2:168例、中央値37歳)を対象とした前方視的コホート研究を行い、AMH値に基づく調節卵巣刺激法の安全性および妊娠率を検討した。治療の1ヵ月前にAMH値を測定し、調節卵巣刺激法(各施設のFSH投与量・GnRHアナログの組み合わせ)を決定した。AMH値が<1.0pmol/LではFSH 375IU/日・アンタゴニスト、変則自然周期(FSH 150IU/日、2~3日間)・アンタゴニスト、1.0~<5.0pmol/LではFSH 375IU/日・アゴニスト、FSH 300IU/日・アンタゴニスト、5.0~<15.0pmol/Lでは両施設ともFSH 225IU/日・アゴニスト、≧15.0pmol/LではFSH 150IU/日・アゴニスト、FSH 150IU/日・アンタゴニストとした。いずれにおいてもAMH値は採卵数と有意に関連した。採卵数の独立予測因子は、AMH値(分散寄与率32.3%、p<0.001)、年齢(2.4%、p=0.002)、施設(6.4%、p<0.001)であった。AMH値が<1.0pmol/Lの女性は妊娠に至らず、1.0~<5.0pmol/Lの女性は臨床妊娠率が低かった。AMH値が5.0~<15.0pmol/Lの女性は過剰反応と低反応がみられなかった。AMH値が≧15.0pmol/Lの女性では、アゴニストと比べてアンタゴニスト法での過剰反応が少なく、全胚凍結率が有意に低く(0% vs 18.2%、p=0.003)、新鮮胚移植での臨床妊娠率が有意に高かった(オッズ比4.40、95%信頼区間1.95~9.93、p<0.001)。以上の結果から、AMH値に基づく調節卵巣刺激法はリスクを軽減し、治療の負担や妊娠率を最適化する可能性が示唆された。

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