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弊社製品領域の最新情報を論文等から紹介しています。特定の薬剤/システムの処方/使用誘引あるいは企業の営利を企図するものではなく、
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ART児の先天性心疾患:Committee of Nordic Assisted Reproductive Technology and Safety(CoNARTaS)による大規模コホート研究
Congenital heart defects in children born after assisted reproductive technology: a large cohort study from the Committee of Nordic Assisted Reproductive Technology and Safety (CoNARTaS)

Sargisian N, Petzold M, Furenäs E, Gissler M, Spangmose AL, Malchau Lauesgaard S, Opdahl S, Pinborg A, Henningsen AK, Westvik-Johari K, Rönö K, Bergh C, Wennerholm UB
The 40th Annual Meeting of the European Society of Human Reproduction and Embryology Amsterdam, The Netherlands 7-10 July, 2024 2024年 

ART 児は自然妊娠児と比べて先天異常のリスクが高いとされている。最も頻度が高い先天異常は先天性心疾患(CHDs)で、全ての主要な先天異常の約50%を占め、一般小児集団の約1~2% に認められている。ART 児25,856例に関する41件の研究やそのシステマティックレビューによると、ART 児はCHDs リスクが高かったが、特定のCHDs に関しては相反する結果が報告されている。本研究では、自然妊娠児と比べてART 児でCHDs が多いかを検討するため、デンマークで1994~2014年、フィンランドで1990~2014年、ノルウェーで1984~2015年、スウェーデンで1987~2015年に生まれた7,747,637例を対象とする北欧レジストリベースコホート研究を行った。このうち171,735例がART児であった。国際疾病分類(ICDversions 8、9、10)および欧州先天異常監視機構(EUROCAT)に基づき、デンマーク、フィンランド、スウェーデンでは出生前または生後1年以内、ノルウェーでは出生前または出生時にCHDs を診断した。主要なCHDs の発症率はART 群が1.84%(3,159例)、自然妊娠群が1.15%(86,824例)であった(調整オッズ比1.36、95%信頼区間1.31~1.41)。CHDs のリスクは、受精方法と関係なく、多胎妊娠で最も高かった。重症CHDs の発症率はART 群が0.35%(594例)、自然妊娠群が0.26%(19,375例)であった(1.30、1.20~1.42)。自然妊娠児と比べてART児でリスクが高かったCHDs として、円錐動脈幹異常、非円錐動脈幹異常、心室中隔欠損、心房中隔欠損などがみられた。なお、単胎児における主要なCHDsの発症率はART 群が1.62%(2,059例)、自然妊娠群が1.11%(18,539 例)(1.19、1.14~1.24)、重症CHDs の発症率はそれぞれ0.31%(399例)、0.25%(18,539例)(1.20、1.09~1.33)であり、ICSIとIVF、新鮮胚移植と凍結胚移植との比較において差はみられなかった。以上の結果から、主要なCHDs および重症CHDs はART と関連し、自然妊娠児と比べてART 児でリスクが高いと考えられた。

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IVFを受けた多嚢胞性卵巣症候群の女性の生産を予測する新しいクラスタリングモデルと表現型分類との正確度比較
Comparing the accuracy of the novel clustering model versus phenotype classififi cation in predicting live birth in polycystic ovary syndrome women undergoing In-Vitro fertilization

Loc TTH, Nguyen NT, Ho VN, Pham TD, Ho TN, Nguyen MH, Le HL, Ha AN, Ly LD, Tran MN, Ho TM, Vuong LN
The 40th Annual Meeting of the European Society of Human Reproduction and Embryology Amsterdam, The Netherlands 7-10 July, 2024 2024年 

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は不妊およびIVFの成功に影響を及ぼす多様な症状を示す。ESHRE/ASRM(欧州ヒト生殖医学会/米国生殖医学会)による分類システムでは、アンドロゲン過剰症(HA)、排卵障害(OD)、多嚢胞性卵巣形態(PCOM)の3つの因子に基づき、PCOSの表現型としてA(3つの因子)、B(HAとOD)、C(HAとPCOM)、D(ODとPCOM)が特定されている。この分類は臨床症状のみに着目し、内分泌系および代謝系の因子を軽視しているため、PCOS患者の妊娠転帰の予測における有効性は限定的である。本研究では、内分泌系および代謝系のプロファイルに基づくクラスタリングモデルを作成し、その正確性について表現型分類と比較するため、2020年6月~2022年8月にベトナムの1施設でIVFを受けた18~45歳のPCOS患者731例を対象とした前方視的コホート研究を行った。甲状腺機能低下症、Cushing 症候群、先天性副腎過形成またはホルモン治療禁忌例は対象外とした。ガウス混合モデルを用いて主な特徴を分類したところ、著明なインスリン抵抗性と脂質異常症を呈するクラスター0(298例)、痩せ型を呈するクラスター1(219例)、中等度インスリン抵抗性と重症アンドロゲン過剰症を呈するクラスター2(214例)が特定された。クラスター1と2はクラスター0と比べて累積生産率が高く(39.7%、37.9% vs 28.5%、p=0.015)、妊娠糖尿病発症率が低かった(8.68%、6.07% vs 12.4%、p=0.048)。ロジスティック回帰分析の結果、クラスタリングモデルは表現型分類と比べて累積生産率の予測の正確度が有意に高かった(p=0.001)。以上の結果から、内分泌系および代謝系のプロファイルに基づくクラスタリングモデルを用いることにより、PCOS患者のIVF 治療が個別化の方向へ移行する可能性が示された。

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アンブレラレビューを超えて:IVFを施行する患者における卵巣過剰刺激症候群の発現予防と重症度軽減のための介入に関するシステマティックレビュー
Beyond the umbrella: a systematic review of the interventions for the prevention of and reduction in the incidence and severity of ovarian hyperstimulation syndrome in patients who undergo in vitro fertilization treatments

Palomba S, Costanzi F, Nelson SM, Besharat A, Caserta D, Humaidan P
Int J Mol Sci 2023年 24巻 18号 14185

IVF における卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発現予防と重症度軽減のためのエビデンスに基づく介入について、近年、多数の無作為化比較試験(RCT)のシステマティックレビューを解析したアンブレラレビューが報告された。本研究では、RCT のシステマティックレビューによる裏付けはないが、OHSS の発現予防と重症度軽減に有用な可能性のある介入を特定するため、関連文献のシステマティックレビューを行った。Oxford Center forEvidence-Based Medicine hierarchy of evidenceによるエビデンスレベルが1A よりも低い15種類の介入方法(卵巣刺激におけるホリトロピン デルタ、FSH減量、トリガーとしての低用量hCG、u-hCG + FSH、GnRHアゴニスト+ hCG、Kisspeptin、サイクルのキャンセル、選択的単一胚移植、アスピリン、ケトコナゾール、黄体期のGnRH アンタゴニスト投与、hCG による黄体補充の増強、イノシトール、インスリン感作薬のメトホルミン、ビタミンD)をレビューした。これらのうち、卵巣反応が正常な女性を対象とした最新のRCT では、卵巣刺激に用いたホリトロピン デルタは、ホリトロピン アルファと比べ、早期OHSS の発現率が有意に低いことが示されている(エビデンスレベル1B)。また、OHSS リスクが高い女性を対象としたRCT または前方視的研究では、イノシトール前治療(エビデンスレベル1B)、トリガーとしての低用量u-hCG(エビデンスレベル1B)、黄体期のGnRH アンタゴニスト投与(エビデンスレベル1B)により、OHSS リスクが低下する可能性のあることが示唆されている。本レビューでは、最高峰の臨床的エビデンスには裏付けられないものの、OHSS の発症率および重症度の低下に有効である可能性のある治療法が同定された。

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多嚢胞性卵巣症候群の女性の凍結胚移植においてレトロゾールによる子宮内膜調整法はホルモン補充療法の優れた代替法である:コホート研究
Letrozole-stimulated endometrial preparation protocol is a superior alternative to hormone replacement treatment for frozen embryo transfer in women with polycystic ovary syndrome, a cohort study

Wang X, Li Y, Tan H, Cai S, Ma S, Peng Y, Guo H, Li X, Tang Y, Zhang S, Lin G, Gong F
Reprod Biol Endocrinol 2023年 21巻 1号 101

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の女性の凍結胚移植(FET)において頻繁に使用される子宮内膜調整法はホルモン補充療法(HRT)であるが、妊娠高血圧症候群のリスク上昇との関連が報告されている。一方、アロマターゼ阻害薬のレトロゾールはクロミフェンと比べてPCOS 女性の生産率や排卵率を高めると報告されているが、FET で使用されることはほとんどない。本研究では、PCOS 女性の子宮内膜調整法としてのHRT とレトロゾールを比較するため、2019年1月~2020年12月に中国の1施設でFETを施行したPCOS 女性3,707例を対象とした後方視的コホート研究を行った。子宮内膜調整法として、1,700例(平均29.49±3.58歳)にはHRT を施行し、2,007例(平均29.86±3.76歳)にはday 3~5からレトロゾール2.5mgを5日間投与した。連続変数はMann-WhitneyのU 検定、カテゴリー変数はカイ二乗検定で比較した。年齢、BMI、FSH、LH/FSH、AMH、胞状卵胞数、胚移植前のP4値・E2値・子宮内膜厚、移植胚数、移植胚の質、移植胚の発生ステージ、インスリン抵抗性、基礎疾患で調整した多変量ロジスティック回帰分析の結果、レトロゾール群はHRT 群と比べて臨床妊娠率(70.9% vs 64.4%、調整オッズ比1.41、95%信頼区間1.18~1.68)、生産率(60.5%vs 51.4%、1.49、1.27~1.76)が有意に高く、流産率(14.7% vs 20.1%、0.68、0.53~0.89)、妊娠高血圧症候群(6.7% vs 8.9%、0.63、0.42~0.95)、妊娠糖尿病(16.7% vs 20.7%、0.71、0.53~0.93)の発生率が有意に低かった。早産、帝王切開、SGA、LGA の発生率は群間で有意差がみられなかった。交絡因子のサブグループ解析の結果、多くのサブグループではHRT 群と比べてレトロゾール群の生産率が高かったが、35歳以上、月経周期35日未満、非インスリン抵抗性の3つのサブグループでの生産率は両群で同程度であった。以上の結果から、PCOS 女性のFET における子宮内膜調整法としてレトロゾールはHRT よりも優れていることが示唆された。

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自然周期と人工周期で比較した凍結胚移植後の産科転帰および新生児転帰、黄体補充の役割:システマティックレビューとメタアナリシス
Obstetric and neonatal outcomes after natural versus artificial cycle frozen embryo transfer and the role of luteal phase support: a systematic review and meta-analysis

Zaat TR, Kostova EB, Korsen P, Showell MG, Mol F, van Wely M
Hum Reprod Update 2023年 29巻 5号 634〜654

妊孕性の低い女性において、自然周期(NC)での凍結胚移植(FET)は人工周期(AC)でのFET と比べて妊娠率に差がなく、産科および新生児の有害事象のリスクが低いと報告されている。しかし、黄体補充の必要性に関する統一見解はない。本研究では、NC-FET ±黄体補充とAC-FET の産科転帰および新生児転帰を比較するため、2022年10月までに報告されたFET 後の単胎妊娠に関する観察研究のシステマティックレビューを行った。メタアナリシスの対象とした観察研究30件(NC-FET 群56,445 例、AC-FET 群57,231 例)のうち、20 件はNC-FET で黄体補充を施行していた。ランダム効果モデルを用いたプール解析により、オッズ比(OR)、95%信頼区間(CI)などを算出した。NC-FET 群はAC-FET 群と比べて出生体重が低く(平均差26.35g、95% CI 11.61~41.08)、LGA(OR 0.88、95% CI 0.83~0.94)、巨大児(0.81、0.71~0.93)、低出生体重(0.81、0.77~0.85)、早期流産(0.73、0.61~0.86)、早産(0.80、0.75~0.85)、超早産(0.66、0.53~0.84)、妊娠高血圧症候群(0.60、0.50~0.65)、妊娠高血圧腎症(0.50、0.42~0.60)、前置胎盤(0.84、0.73~0.97)、分娩後出血(0.43、0.38~0.48)のリスクが低かった。層別解析の結果、黄体補充は早産リスクのみに影響し、AC-FET 群と比べ、黄体補充を施行したNC-FET 群では早産リスクが低かったが(0.75、0.70~0.81)、黄体補充を施行しなかったNC-FET 群では有意差がみられなかった(0.96、0.82~1.11)。以上の結果から、排卵周期を有する女性では、NC-FET はAC-FET に比べより好ましい治療と思われる。一方、NC-FET では黄体補充によりAC-FET と比べて早産リスクが低下することが示されたものの、エビデンスの質が低く、不明な点が多いことから、黄体補充の有効性と安全性についてさらに研究する必要がある。

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生殖医療のadd-onに関するグッド・プラクティス勧告
Good practice recommendations on add-ons in reproductive medicine

ESHRE Add-ons working group; Lundin K, Bentzen JG, Bozdag G, Ebner T, Harper J, Le Clef N, Moffett A, Norcross S, Polyzos NP, Rautakallio-Hokkanen S, Sfontouris I, Sermon K, Vermeulen N, Pinborg A
Hum Reprod 2023年 38巻 11号 2062〜2104

不妊患者のケアの質を改善するために現在使用されているadd-on の安全性と有効性に焦点を合わせてESHRE(欧州生殖医学会)が作成した臨床的意義のあるエビデンスに基づく42項目の勧告は以下のとおり。【診断と検査】推奨しないもの:1. スクリーニング子宮鏡検査の臨床常用(2. 反復着床不全患者におけるスクリーニング子宮鏡検査は考慮できる)、3. 現在利用可能な子宮内膜受容能検査、4. 免疫パラメータの末梢血液検査および子宮NK細胞検査、5. キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)検査およびHLA 遺伝子型検査の臨床常用、6. 免疫調節療法(静注用脂肪乳剤、IVIG、rh-LIF、PBMC、抗TNF)【臨床検査と介入】推奨しないもの:7. 人為的卵子活性化(AOA)の臨床常用(8. 卵子活性化不全、受精率30%未満、円形頭部精子症にはAOA を推奨する)、9. 卵子の質に影響を及ぼすためのミトコンドリア補充療法、10. in vitro での休眠卵胞活性化、11. 臨床的体外成熟(IVM)、レスキューIVM、自然周期IVF/IVM の臨床常用、12. 精子DNA 損傷検査の臨床常用、13. 人為的精子活性化の臨床常用(14. 精子の軸糸構造異常が原因でない原発性または続発性の精子無力症患者には人為的精子活性化を推奨する)、15. 精子のヒアルロン酸結合能検査の臨床常用、16. PICSI の臨床常用、17. MACS による精子選択の臨床常用(18. マイクロ流体工学による精子選択は考慮できる)、19. IMSI (intracytoplasmic morphologicsperm injection)の臨床常用、20. 成長因子を添加した胚培養液、21. アシステッドハッチング、22. PGT-Aの臨床常用、23. 非侵襲的PGT の臨床常用、24. ミトコンドリアDNA 量測定の臨床常用、25. 生産率を改善するツールとしてのタイムラプスの臨床常用【臨床的管理】推奨しないもの:26. 多血小板血漿(PRP)の子宮内投与、27. PRP の卵巣内投与、28. Duostim 法の臨床常用、29. 卵巣刺激前および卵巣刺激中の補助薬(メトホルミン、成長因子、テストステロン、デヒドロエピアンドロステロン、アスピリン、インドメタシン、シルデナフィル)、30. 腟内または子宮内の培養デバイスの臨床常用(31. 移植培地へのヒアルロン酸の添加は推奨する)、32. 子宮内膜スクラッチングの臨床常用、33. hCG の子宮内投与、34. G-CSF の子宮内投与、35. 胚培養上清の子宮内膜投与、36. 子宮内膜の精漿への曝露、37. 早発卵巣不全、卵巣機能低下、子宮内膜菲薄に対する幹細胞治療、38.ART でのグルココルチコイド、39. 選択的全胚凍結の臨床常用、40. 男性不妊以外でのICSI、41. ART での抗酸化療法、42. 鍼および漢方薬、その他の補完代替療法

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多嚢胞性卵巣症候群患者におけるGnRHアンタゴニスト法と合成黄体ホルモン併用卵巣刺激との比較:システマティックレビューとメタアナリシス
GnRH antagonist protocol versus progestin-primed ovarian stimulation in patients with polycystic ovary syndrome: a systematic review and meta-analysis

Deng R, Wang J, He J, Lei X, Zi D, Nong W, Lei X
Arch Gynecol Obstet 2023年 

内因性LH を抑制する合成黄体ホルモンは、新鮮胚移植が成功しなかった多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の女性の治療選択肢となる可能性が報告されており、新しい治療法としての合成黄体ホルモン併用卵巣刺激法(progestin-primed ovarian stimulation:PPOS)が提案されている。本研究では、PCOS 女性に対するGnRH アンタゴニスト法(GnRH-ant)とPPOS の有効性を比較するため、2023年9月までに報告された比較研究のシステマティックレビューを行った。8件(GnRH-ant群1,085例、PPOS 群1,071例)をメタアナリシスの解析対象とした。統合効果の検定にはZ 検定を用い、異質性が高い場合、ランダム効果モデルを用いて解析した。GnRH-ant 群では全例がセトロレリクスを使用していた。PPOS 群の内訳は、ジドロゲステロン529例、メドロキシプロゲステロン482例、経口プロゲステロン60例であった。PPOS 群はGnRH-ant 群と比べてゴナドトロピン投与量が有意に多く(標準化平均差-0.34、95%信頼区間-0.56~-0.13、p =0.002)、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクが有意に低かった(リスク比9.24、95%信頼区間2.50~34.21、p =0.0009)。一方、採卵数、M Ⅱ卵子数、2PN 卵子数、卵巣刺激期間、早発LH サージ発生率、着床率、生化学的妊娠率、臨床妊娠率、継続妊娠率、生産率、流産率に群間で有意差はみられなかった。以上の結果から、PPOSはGnRH-antプロトコールが成功しなかったPCOS 女性のための代替卵巣刺激法となることが示唆された。しかし、本研究に含めた研究の件数や質の制限があることから、さらに質の高い研究により検討する必要がある。

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euploid胚を用いたホルモン補充周期凍結胚移植ではエストラジオール濃度が生理的濃度により近い場合に高い生産率と関連する
Euploid programmed frozen embryo transfer cycles are associated with a higher live birth rate when estradiol levels more closely mimic physiology

Vyas N, Adjei N, Spandorfer SD
Fertil Steril 2023年 120巻 6号 1220〜1226

凍結胚移植(FET)の子宮内膜調整として最適なホルモン補充療法は確立されておらず、エストラジオール(E2)を補充した女性の血清E2値には大きな違いがみられる。本研究では、最高血清E2 値が生理的範囲の300~500pg/mL を超えた場合の妊娠転帰に及ぼす影響を検討するため、2016年1月~2019年12月に米国の1施設で良好単一euploid 胚盤胞を用いてホルモン補充周期FET を施行した女性750例を対象とした後方視的コホート研究を行った。子宮内膜調整時の最高血清E2値が300pg/mL 未満の41 例(平均36.7 ± 3.8 歳、A 群)、300~500pg/mL の192例(平均36.2±4.1歳、B 群)、500pg/mL 超の517例(平均35.7±4.1歳、C 群)に分け、B 群を参照とした。群間比較にはカイ二乗検定を使用し、リスク比、95%信頼区間の算出にはロバスト標準誤差を用いたポアソン回帰分析を行った。主要評価項目の生産率は、B 群の63.4%と比べ、C 群で50.2%(リスク比0.79、95%信頼区間0.68~0.91、p <0.01)、A 群で42.5%(0.67、0.46~0.98、p = 0.04)と有意に低かった。また、着床率は、B 群の75.3%と比べ、C群で70.0%(0.81、0.73~0.90、p <0.001)、A 群で52.5%(0.70、0.52~0.95、p =0.02)と有意に低かった。生化学的妊娠率は、B 群の4.8%と比べ、C 群で9.9%(2.05、1.02~4.09、p =0.04)と有意に高く、A 群で10.0%(2.1、0.66~6.43、p =0.21)と有意差はみられなかった。異所性妊娠率および流産率に群間で有意差はみられなかった。以上の結果から、ホルモン補充周期FET の最高血清E2値が300~500pg/mL の女性は、その他の女性と比べ、生産率が改善することが示唆された。

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ホルモン補充凍結胚移植周期は胎盤発達異常の高いリスクと関連する:単胎生産の後方視的コホート研究
Programmed frozen embryo transfer cycles are associated with a higher risk of abnormal placental development:a retrospective cohort study of singleton live births

Wang F, Wang Q, Song Y, Ding J, Li H, Meng Q
Front Endocrinol (Lausanne) 2023年 14巻 1202044

凍結胚移植(FET)周期に使用される子宮内膜調整法の違いが子宮内膜環境の差異を生じ、着床や胎盤発達に影響を及ぼす可能性がある。本研究では、FET 周期の子宮内膜調整法が胎盤発達および周産期転帰に及ぼす影響を評価するため、2018年1月~2020年12月に中国の1施設において自然妊娠またはIVF 後に単胎児を出産した女性2,186例を対象とした後方視的コホート研究を行った。自然妊娠群1,334例(平均28.9±4.8歳)、modified 自然周期-FET(mNC-FET)群217例(平均31.1±5.6歳)、ホルモン補充(HR)-FET 群635例(平均30.2±5.1歳)に分け、産科・周産期転帰を比較した。mNC-FET 群には、トリガーとしてhCG を投与し、排卵後に黄体補充を開始した。HR-FET 群には、day 2またはday 3にエストラジオールを投与し、子宮内膜厚が7mm に到達した時点でプロゲステロン腟坐剤を中心とする黄体補充がなされた。母親の年齢、経産回数で調整した多変量ロジスティック回帰分析の結果、胎盤発達異常のリスクは、自然妊娠群に対しmNC-FET 群では有意差がみられなかったが(調整オッズ比1.16、95%信頼区間1.31~7.01、p =0.879)、HR-FET 群では有意に高かった(5.36、3.63~8.05、p < 0.001)。また、HR-FET 群では、mNC-FET 群との比較において、母親の年齢、経産回数、子宮内膜厚、移植胚数で調整した胎盤の異常(癒着胎盤、侵入胎盤を含む)のリスクが有意に高かった(2.50、1.36~4.90、p =0.005)。HR-FET 群における胎盤発達異常の独立関連因子は、不妊の種類(p =0.008)、エストロゲン/ プロゲステロン配合剤の総投与量(p =0.014)、薄い子宮内膜(p =0.038)であった。胎盤発達異常は、妊娠高血圧腎症(p = 0.019)、分娩後異常出血(p <0.001)、帝王切開(p <0.001)と有意に関連した。以上の結果から、HR-FET は胎盤発達に影響を及ぼし、産科・周産期の合併症を起こすおそれがあると考えられた。発現機序を明らかにするためには、さらに研究を行う必要がある。

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人為的卵子活性化(AOA)のために一般的に使用される2種類のイオノフォア溶液の有効性の有意差:イオノマイシンとA23187との前方視的比較
Significant differences in efficiency between two commonly used ionophore solutions for assisted oocyte activation (AOA): a prospective comparison of ionomycin and A23187

Quintana-Vehí A, Martínez M, Zamora MJ, Rodríguez A, Vassena R, Miguel-Escalada I, Popovic M
J Assist Reprod Genet 2023年 40巻 7号 1661〜1668

ICSI 周期の1~3%にみられる受精不全の克服法として、カルシウムイオノフォアを使用して卵子の活性化を誘導し、受精率を回復させることが提案されている。本研究では、2種類のイオノフォア(イオノマイシン、A23187)の有効性および卵子の形態動態を比較するため、スペインの1施設において卵子提供周期66サイクルで採取したIVMMI 卵子81個を対象とした前方視的コホート研究を行った。GnRH アンタゴニスト法を用い、rFSH またはHP-hMGで卵巣刺激を行い、トリガーとしてtriptorelin を投与した。IVM 卵子をA23187群42個、イオノマイシン群39個に分けた。対照群として、標準的ICSI 周期で得られた2PN胚39個を選択した。卵子提供者全体の平均年齢は25.90±4.40歳であった。IVM 卵子にラテックス微小球を注入して単為生殖を誘導後、イオノマイシンまたはA23187の溶液で処理し、タイムラプスインキュベーター内で培養した。形態動態学的パラメータとして、前核出現時間(tPNa)、前核消失時間(tPNf)、2細胞期胚~8細胞期胚までの時間(t2~t8)、胚盤胞腔形成開始時間(tSB)、完全胚盤胞到達時間(tB)を計測した。卵子活性化率の比較にはカイ二乗検定、形態動態学的パラメータの比較にはKruskal-Wallis 検定を用いた。イオノマイシン群はA23187群と比べて卵子活性化率が高かった(38.46%vs 23.81%、p =0.153)。A23187群では胚盤胞が形成されず、イオノマイシン群と比べてtPNa(11.84時間vs 5.31時間、p =0.002)、tPNf(50.15時間 vs 29.69時間、p =0.005)が有意に長く、対照群と比べてt2(33.96時間 vs 26.04時間、p =0.023)が有意に長かった。イオノマイシン群では、全てのパラメータで対照群との有意差がみられなかった。以上の結果から、卵子の活性化が成功しても、カルシウムイオノフォアの選択が卵割および胚盤胞形成に影響を及ぼすおそれがあることから、慎重に行う必要があると考えられた。

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