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(2020年9月作成)
オンライン診療の導入にあたって、経営者としては気になるオンライン診療の収入面のほか、
患者さんへの説明がしやすいよう患者側の費用負担について、対面診療時との比較を踏まえ、ご紹介します。
6月上旬をもって一旦終息したように見えた新型コロナウイルス感染症ですが、7月から8月にかけて再びその数を増やしています。
そんな中、流行以前から行われてきたオンライン診療は、4月10日の厚生労働省の事務連絡により、感染拡大に伴う時限的対応の中で定められた特別な条件下で行われています。
本来時限的対応は3ヶ月を目処に一区切りするはずでしたが、感染再拡大を踏まえて期間が延長されています。
前回は、各種オンライン診療サービスを特徴や導入費用の面から比較しましたが、今回は導入するにあたって経営者としては気になる、オンライン診療による収入面を対面診療時と比較してみました。
また、患者様への説明もしやすいように、患者側の費用負担についても合わせてまとめています。
まず、オンライン診療の実施条件ですが、以下のように新型コロナ時限的対応下か否かで、対象疾患も初回診療の条件も異なります。現状は時限的対応が適用となっていますが、必ずしも将来にわたってこの条件が継続するとは限りませんので注意が必要です。
可能
(診断が可能であると判断した場合のみ。医療機関によっては不可の場合もあり)
制限なし
診断及び処方が医学的に可能であると判断された範囲であればよい。
出典 : https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000620865.pdf
不可
事前に3ヶ月以上、オンライン診療時の疾患と同じ疾患且つ、同一医師による診察を受けていることが条件。
特定疾患による各種管理料算定対象(下表)の疾患をもつ患者であること。
出典 : 厚生労働省、令和2年度診療報酬改正の概要p.148より
上記で見てきたように、医療機関の判断のもと実施条件が大幅に緩和されたオンライン診療ですが、長期的な医療経営の目線で見たときに気になるのが診療あたりの収入面かと思います。
この章では、同一条件下での対面診療時、3月5日発出の診療報酬改正下、そして4月10日以降の新型コロナの時限的措置下でのオンライン診療における収入を医療機関目線で比較します。
ここでは、特定・慢性疾患の有無で算定できる点数が変わりますので、ケースに分けて見てみましょう。
※1 単位は円の記載がない場合は診療報酬の点。診療報酬は1点あたり10円で計算
※2 通信費は各医療機関で任意に設定できますが、仮に700円として計算しています
目安は複数の医療機関を見た所、おおよそ500~1,500円程度の間かと思われます
※1 単位は円の記載がない場合は診療報酬の点。診療報酬は1点あたり10円で計算
※2 通信費は各医療機関で任意に設定できますが、仮に700円として計算しています
目安は複数の医療機関を見た所、おおよそ500~1,500円程度の間かと思われます
※3 対面診療における特定疾患療養管理料は、19人以下の入院施設を持つ診療所の場合225点、
100床未満の病院の場合147点、100床以上200床未満の病院の場合は87点と、診療施設の規模が小さくなる程高くなります
いかがでしたでしょうか。各図の最下部の医療機関の収入を対面診療とオンライン診療で比較すると、収入がいくらくらい変わるのかがわかりやすいですね。
4月から新型コロナの延長を受けて急遽実施条件が緩和されたオンライン診療ですが、診療報酬点数の面では対面診療に劣る、すなわち儲からないのではという声もありますが、通信費を設定することにより、ある程度補うことも可能なのではと考えます。
ただし、通信費を高く設定しすぎると、その分ダイレクトに患者さんの負担増に繋がりますので、自院の患者さんであればいくらくらいが許容範囲だろう、と考えることが大事です。
前章では、医療機関目線にてオンライン診療の収入面を見てきました。本章では、患者目線で見てオンライン診療がどれくらいの負担になるのかを簡単に示します。
以下の表では、第3章にまとめた所謂診療報酬点数による負担+通信費を仮に医療費と置き、それ以外のコストを合算して再診時のそれぞれの金額を比較します。
※1 医療費とは医療機関側収入の表でいう保険適用部分(通信費を除く全ての項目)の総和をここでは指す
※2 配送料はオンライン診療サービスにて利用できる配送会社で異なります
例としてヤマト宅急便の場合は385円からあります
※3 MICIN社のcuronの場合は患者負担で1回あたり300円発生
総括するとトータルの診療にかかる費用で言えば、対面診療と同等か少し高い(数百円から千円位)と言えます。
もちろん、疾患の種類や症状の程度によってはオンライン診療が不向きなケースもありますが、患者さんの症状や医療機関に行くまでの時間や交通費、身体的負担、感染リスクへの不安など様々な要素を天秤に掛けた上で、メリットのある方法をお勧めされると良いと思います。
以上、医療機関からみた収入面と、受診する患者さんの視点からオンライン診療について俯瞰してみました。
確かに保険適用対象の診療報酬の観点においてオンライン診療は対面診療に劣るものの、医療機関毎に設定可能な通信費により、ある程度は収入を補える可能性があることがお分かりいただけたかと思います。
配送料などがかかる分、患者の負担金額でみると対面診療よりも少々高いにせよ、いつでもどこでも受診でき、待ち時間が不要であるというメリットは、新型コロナ流行中のこのご時世はもちろん、感染終息後であっても人々にとって補ってあまりあるほど大きいとも言えるのではないでしょうか。
AI医療機器開発スタートアップ、アイリス株式会社 最高執行責任者。
日本遠隔医療学会、日本メディカルAI学会所属、NewsPicks医療介護領域専門家。
新卒リクルートにて営業、ネットビジネス推進室にて事業開発を経て、ヘルスケアITメガベンチャーSMS社へ。
認知症領域で医療メディアを立ち上げ、約半年で60万MAUの領域No.1メディアに成長させる。
その後、アジア最大の医師プラットフォーム企業MIMS社買収に伴い、初期PMIメンバーとしてシンガポールへ。
同Web部門のヘッドとして製薬・医療機器マーケティング支援。
帰国後、2018年4月アイリス株式会社に役員として参画、翌4月COO就任。
ブログ「アジヘルのヘルスケアビジネス考察日記」にてオンライン診療をはじめ、
ヘルスケアビジネスに関する情報を発信中。