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弊社製品領域の最新情報を論文等から紹介しています。特定の薬剤/システムの処方/使用誘引あるいは企業の営利を企図するものではなく、
また国内での承認外の情報を一部含んでおりますがこれを推奨するものではありません。薬剤の使用にあたっては最新の電子化された添付文書をご参照ください。


スウェーデンにおけるIVFの初回出生コホートの早期妊娠転帰
Early reproductive outcomes of the first birth cohorts conceived with in-vitro fertilisation in Sweden

Oberg AS, Nyman A, Ezra A
The 39th Annual Meeting of the European Society of Human Reproduction and Embryology Copenhagen, Denmark 25-28 June, 2023 2023年 

IVFは、挙児を希望している数多くのカップルの不妊症を克服してきたが、その次世代の妊娠転帰についてはほとんど知られていない。若年成人を対象とした数少ない小規模研究によると、男性不妊のためICSIで生まれた男性は、自然妊娠で生まれた男性と比べ、精子の数が減少していたが、女性の生殖ホルモンまたは胞状卵胞数には差がみられなかったと報告されている。本研究では、IVFと自然妊娠において、次世代の早期妊娠転帰に違いがあるかを検討するため、1985~1996年にスウェーデンで生まれた1,291,795例を対象とした全国コホート研究を行った。2017年末までの妊娠転帰、国外移住または死亡を前方視的に調査した。IVF クリニックのMedical BirthRegisterへの報告および母親の自己報告により、親の不妊症の有無とIVFの使用を特定した。IVFで生まれた人は、同じ年齢の自然妊娠で生まれた人と比べ、全ての出生コホートにおいて生物学上の子供を持つ確率が低かった(ハザード比0.67、95%信頼区間0.62~0.74)。しかし、親の年齢、学歴、出生国で補正し、親が不妊症であった人と比較したところ、その差は0まで低減した。少なくとも30歳まで経過観察を行った人のうち、IVFで生まれた人は不妊症と診断される確率が高く(2.03、1.15~3.58)、親の因子で補正した場合(2.08、1.18~3.66)や、親が不妊症であった人に限定した場合(1.82、1.03~3.24)でも高かった。初回出産時の平均年齢に差はみられなかったが、IVFで生まれた人は不妊症の診断(2.89、1.47~5.66)やIVF(3.83、1.48~9.93)を受けていた割合が高かった。以上の結果から、スウェーデンにおけるIVFの初回出生コホートは不妊症のリスクが高く、初回妊娠のためにIVFを受ける確率が高いことが示された。

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IVF混合プロトコールの排卵モニタリングに新規アルゴリズムを利用すれば卵巣刺激モニタリングを簡略化できる可能性がある
The implementation of a novel algorithm for monitoring ovulation in an IVF mixed protocol may simplify stimulation monitoring

Ben-Guigui J, Hemmings R, Bissonnette F, Kadoch IJ
The 39th Annual Meeting of the European Society of Human Reproduction and Embryology Copenhagen, Denmark 25-28 June, 2023 2023年 

不妊治療クリニックでは、IVFの標準的方法として卵巣刺激のday 6に早期診察を行うことが多い。頻回の超音波検査は、患者の負担となり、費用増大につながる。本研究では、IVFにおけるday 10以前の診察を省略できるかを検討するため、2021年4月~2022年8月にカナダの1施設でIVFを受けた18歳以上の女性を対象とし、後方視的研究を行った。全例にアンタゴニスト法を用い、体重およびAMH値に基づいた卵巣刺激としてホリトロピン デルタおよびhMGによる個別化混合プロトコールを施行した。ゴナドトロピンの投与量は、アルゴリズム(アルゴリズム群)または医師の判断(対照群)にて決定した。day 6に超音波検査およびホルモン検査を実施し、必要に応じて医師の判断によりゴナドトロピンの投与量を調節した。直径16~22mmの卵胞が3個以上認められた時点でトリガーを投与した。714例を解析した結果、最大用量で卵巣刺激を行った患者の割合は、アルゴリズム群が80.3%、対照群が22.5%であった。アルゴリズム群において、投与量を調節した患者または卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を発症した患者はいなかった。day 10以前(day 9)にトリガーを投与した女性は16例(4.5%)であった。最大用量を投与しなかった患者において、アルゴリズム群は対照群と比べてday 6のゴナドトロピン投与量の変更が有意に少なかった(24.6% vs 46.9%、p<0.001)。最大用量を投与しなかった患者は、最大用量を投与した患者と比べ、OHSSの発症リスクが有意に高かった(64.6% vs 27.5%、p<0.01)。以上の結果から、ゴナドトロピンの最大用量を投与した患者においてday 10以前の診察は必須ではない可能性が示唆された。本研究で使用したアルゴリズムにより、診察を簡素化できると考えられるが、IVF周期のキャンセルが遅延して不必要な治療を継続するおそれもあり、無作為化比較試験での検証が必要である。

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ULTRA試験:多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)関連不妊の女性における経腟超音波ガイド下での新しいMay Healthデバイスを用いた卵巣焼灼:実行可能性を検討したファースト・イン・ヒューマン試験
The ULTRA trial: transvaginal ULTRAsound-guided ovarian ablation using the novel May Health device in women with PCOS-related infertility: first-in-human feasibility clinical trial

Amer S, Hansen K, Wyns C, Autin C, Fernandez H, Jegaden M, Jayaprakasan K, Metwally M
The 39th Annual Meeting of the European Society of Human Reproduction and Embryology Copenhagen, Denmark 25-28 June, 2023 2023年 

腹腔鏡下卵巣多孔術(LOD)はPCOS 関連不妊に有効な2ndライン治療の1つとして広く認められているが、全身麻酔を要し、相当のリスクを有する侵襲的手技である。一方、新しいMay Health デバイスは全身麻酔の必要がなく非侵襲的で、卵巣焼灼量を正確に計算できるように設計されており、個人開業医での使用も可能である。本研究では、経腟超音波(TVUS)ガイド下でのMay Health デバイスを用いた卵巣焼灼の実行可能性、安全性、有効性を検討するため、英国、フランス、ベルギー、米国の7施設において、クロミフェンまたはレトロゾールに抵抗性を示す無排卵性PCOSの女性を対象とした第1相単群試験2件を行った。術後の排卵確認時または12週後まで血清P4値を週1回測定した。観察期間はEU で24ヵ月、米国で12ヵ月とした。23例(平均31.8±3.1歳)がMay Health デバイスによるTVUS ガイド下卵巣焼灼を受け、3ヵ月以上の経過観察を行った。両側の卵巣焼灼が成功した女性は19例(82.6%)で、3例は卵巣が小さいため、1例はアクセス不能のため片側の卵巣焼灼を受けた。このうち10例(43.5%)では3ヵ月以内に自然排卵が認められた。一部の女性はクロミフェンまたはレトロゾールを使用し、さらに6例では3ヵ月後から9ヵ月後までに排卵が認められた。総排卵率は69.6%(16/23例)であった。9ヵ月の経過観察を完了した11例のうち5例が妊娠した。さらに2例が9ヵ月の経過観察完了前に妊娠した。総妊娠率は53.8%(7/13例)であった。有害事象が14例に29件(軽症25件、中等症2件、重症2件)認められ、このうちデバイスまたは手技と関連した9件の有害事象は軽症または中等症であった。以上の結果から、クロミフェンまたはレトロゾールに抵抗性を示す無排卵性PCOS の女性においてTVUS ガイド下でのMayHealth デバイスを用いた卵巣焼灼は実行可能で、安全かつ有効であることが示された。

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ChatGPTを用いた妊孕性に関する患者の質問への回答:深層学習言語モデルで生成された情報の質
Using ChatGPT to answer patient questions about fertility: the quality of information generated by a deep learning language model

Beilby K, Hammarberg K
The 39th Annual Meeting of the European Society of Human Reproduction and Embryology Copenhagen, Denmark 25-28 June, 2023 2023年 

妊孕性に関する情報を探している人々が出産計画やART を決断する際に頼っている情報源はインターネットであるが、不妊治療に関する患者向けの情報の質は十分ではない。一方、人間が作成したようなテキストを生成する言語モデルの1つであるChatGPT は、与えられた指示(プロンプト)に対し、深層学習のパターンに基づいて、次に続く言葉を予測し、回答を生成する。しかし、学習用のトレーニングデータは監修を受けておらず、バイアスが含まれる。本研究では、ChatGPT で生成された情報の質を評価するため、患者からの質問で多い10問をプロンプトとして用い、独立した2名の専門家による検証を行った。質問の内容は、妊孕性への男女の年齢の影響、月経周期における妊娠しやすい時期、IVF の成功率、選択的卵子凍結、add-on 療法の有益性、多嚢胞性卵巣症候群と妊娠、不妊治療クリニックの選択、試みるべきIVF の回数であった。生成されたテキストの情報の質については、人道的回答がどの程度できたか(0~3)、商業的バイアスまたは物議を醸す見解の有無(あり=0、なし=1)、正確な割合と統計、医学的助言を求める必要性が述べられているか(あり=1、なし=0)により、0~7でスコア化した。専門家2名による評価の結果はほぼ同じで、1問の回答のみ1点の違いがみられたが、審議により解決した。最高点のスコア7をつけた回答はなく、6問の回答がスコア5以上、3問の回答がスコア3~4であった。残り1問のadd-on 療法の有益性に関する回答がスコア3未満で、商業的バイアスが唯一みられ、これは議論の余地がある2問のうちの1問であった。以上の結果から、全体として、ChatGPT で生成された情報の質は高く、商業バイアスは少ないと考えられた。不妊治療に関する正しく偏りのない情報を求めている患者に対し、ChatGPT は有用なツールとなり得ることが示唆された。

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形態学的グレードが同じ胚の生存能力に差異をもたらす胚盤胞発育の性差
Male and female blastocysts display differences in development such that embryos assigned an identical
morphological grade may have differing viability dependent on their sex

Kilbee M, Del Canto Cano A, Clark G, Coudereau C, Fernandez Marcos E, Babariya D, Wells D
The 39th Annual Meeting of the European Society of Human Reproduction and Embryology Copenhagen, Denmark 25-28 June, 2023 2023年 

着床前の胚発育の性差はごくわずかであると示唆されている。IVF クリニックの多くでは胚発育が性別とは無関係であるとの前提で、形態学的グレードが移植胚の決定に用いられている。この前提が正しいかを検討するため、本研究では、IVF の着床前診断(PGT-A)によりeuploid が確認され、染色体分析にて性別も判明した胚盤胞1,241個を対象とし、形態学的グレード、着床率、流産率、継続妊娠率、生産率を評価した。胚移植後の臨床転帰が得られた胚は336個であった。day 5に生検を実施した胚の割合は、男性胚、女性胚ともに68%であった。day 5の胚盤胞拡張または内細胞塊に性差は認められなかった。一方、Gardner分類による栄養外胚葉(TE)グレード(A、B、C、D)の分布には性差が認められ(p <0.0001)、グレードA の割合は男性胚盤胞が21.6%であったのに対し、女性胚盤胞が14.9%であった。グレードB のTE を有する男性胚は、グレードが同じ女性胚と比べ、着床率が有意に高かったが(82.1% vs 58.7%、p =0.0002)、生化学的流産率も有意に高かった(16.7% vs 4.2%、p =0.017)。全体として、男性胚は女性胚と比べて高い生存能力を示さなかった。以上の結果から、TE のグレードの分布は男性胚盤胞と女性胚盤胞で異なり、同じグレードでも生存能力が異なることが示唆された。また、高いグレードのTE の割合が多いことが優れた生存能力の指標ではないことから、性別によってTE のグレーディングの基準を変えることが望ましいと考えられた。胚発育の性差を考慮することは、胚の選択における形態動態学的アルゴリズムの開発においても今後重要となるであろう。

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