ARTにより生まれた双胎児の5歳時までの成長:全国成長コホート
Growth of twins conceived using assisted reproductive treatments up to 5 years old: a national growth cohort
Kondowe FJM, Clayton P, Gittins M, D’Souza SW, Brison DR, Roberts SA
Hum Reprod 2023年 38巻 4号 751〜761
自然妊娠(NC)や凍結胚移植(FET)による単胎児と比べ、新鮮胚移植(ET)による単胎児は子宮内および生後数週間の成長が遅いが、学齢期までのキャッチアップがみられたと報告されている。本研究では、ART またはNC により生まれた双胎児の成長を比較するため、1991~2009年にスコットランドで生まれた双胎児(新鮮ET:2,792例、FET:556例、NC:10,180例)を対象とした全国コホート研究を行った。出生時、生後6~8週時、小学校入学時(4~7歳)に身体計測を行い、性別、児の年齢、貧困に関する剥奪指標(2012年)、出生年、母親の年齢、喫煙、生後10日後の授乳様式を考慮した線形混合モデルで解析した。平均出生体重は、NC 群(9,038例)の2,399g と比べて新鮮ET 群(2,497例)で2,395g と軽く(効果サイズ-35g、95%信頼区間-53~-16g)、NC 群や新鮮ET群と比べてFET 群(458例)で2,575g と重かった(vs NC群:71g、33~110g、vs 新鮮ET 群:105g、65~146g)。しかし、在胎期間が37週以上の満期産に限定したところ、FET 群(254例)とNC 群(4,393例)の出生体重に有意差はみられなかった(26g、-30~82g)。生後6~8週時までの成長速度(10,231例)は3群間で有意差がみられなかったが、生後6~8週時から小学校入学時までの成長速度(5,663例)はNC 群や新鮮ET 群と比べてFET 群で有意に速かった(vs NC 群:2.17g/ 週、0.54~3.82g/週、vs 新鮮ET 群:2.05g/ 週、0.32~3.79g/ 週)。また、小学校入学時の体重(5,814例)は、NC 群や新鮮ET 群と比べ、FET 群でそれぞれ614g(158~1,070g)、581g(100~1,063g)重かった。身長と児頭前後径周囲は、各時点において3群間で有意差がみられなかった。以上の結果から、FET により生まれた双胎児は、NC や新鮮ET により生まれた双胎児と比べ、小学校入学時までの成長が速いことが示唆された。単胎児の場合と異なる結果が得られたが、治療方法は日々変化していることから、最新のART コホートにおいて長期観察を行う必要がある。
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