増田 排尿日誌は連続3日間、最低でも2日間の記録が推奨されていますが2)、患者さんにどのような指導をしていますか。
友田 最初は3日間連続の排尿日誌記録を指導しますが、それが難しければ、「連続でなくても、1日でもよいので、無理のない程度で付けてみましょう」と話します。排尿日誌をきちんと付けてくる患者さんはその後の治療コンプライアンスも良い傾向があります。
深澤 私も3日間と話しますが、実際には1日や2日だけの記載患者さんもいらっしゃいます。
冨士 われわれも同じです。スタディを組んでいる場合は厳密に排尿日誌を付けてもらいますが、実際には3日間連続が難しいときもありますね。
増田 患者さんが排尿日誌を付けて持参した場合、外来中に先生方ご自身で解析されるのですか。
友田 基本的には私が解析していますが、忙しいときはスタッフが解析してその結果をみせてもらいます。
深澤 私のクリニックでは、スタッフが排尿日誌をまとめてカルテに記入してくれています。
冨士 私が解析しています。外来中に計算することが難しいときは、夜間尿量だけでも確認します。排尿日誌を付けてもらって最も感じるのは、夜間頻尿の患者さんは24時間多尿が多いことです。ですから、必要以上に多くの水分を摂る必要はないと啓発活動をする必要があると思います。
増田 LUTSを改善させる目的で、排尿日誌に基づいて患者さんに個別の生活指導と行動療法を行った場合に在宅排尿管理指導料が保険適用となるよう、日本排尿機能学会から2022年度の診療報酬改定に対する要望書が提出されています。今後、排尿日誌に光が当てられるようになることを期待します。
夜間多尿による夜間頻尿に対する行動療法について、患者さんに対してどのように説明していますか。
友田 水分の摂り方に個人差があります。夜間に水分を摂らないと血液が流れにくくなるというイメージをもっていて、何度も水分を摂ってはトイレに行くことを繰り返している患者さんがいます。そのような行動を直していくと、少しずつ良くなりますと説明しています。
深澤 最初、患者さんは1回尿量がどれくらいか、曖昧なままで受診していますので、排尿日誌を付けることで自分の排尿パターンを認識してくれます。
冨士 20~25mL/kg(体重)で計算すると1日の尿量は約1,500mLですので、どれくらい水分を摂ったら1,500mLくらいまでに抑えられるか、試してくださいと話します。それが排尿日誌を記録するメリットにもなると思います。
増田 「夜間頻尿診療ガイドライン第2版」では塩分制限が指摘されていますが3)、こちらの指導についてはいかがですか。
冨士 塩分摂取量が多いと、夜間多尿や夜間頻尿、さらに夜間高血圧の原因にもなるので、塩分を制限してください、と指導しています。
友田 私も昼間の塩分摂取を控えるとともに、夕食の内容や飲酒量にも注意するよう話します。
増田 友田先生、ありがとうございました。次に、深澤先生、在宅診療における夜間頻尿を中心としたLUTS診療について解説していただけますか。