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山口脩先生ご監修 ミニリンメルト処方のポイント

ご監修:日本大学工学部 生命応用化学講座 排尿障害研究部門 上席研究員 山口 脩 先生

日本大学の山口脩先生にご監修いただき、日本初の男性における夜間多尿による夜間頻尿治療薬ミニリンメルト処方のポイントについてご紹介させていただきます。

おさえておきたい日本初の夜間頻尿治療薬ミニリンメルト処方のポイントおさえておきたい日本初の夜間頻尿治療薬ミニリンメルト処方のポイント

ご監修:
日本大学工学部 
生命応用化学講座 排尿障害研究部門 
上席研究員 
山口 脩 先生

ミニリンメルトOD錠は主剤成分含量によって適応症が異なります。
ミニリンメルトOD錠25/50㎍ の承認された効能又は効果は「男性における夜間多尿による夜間頻尿」です。
(夜間多尿指数が33%以上、且つ夜間排尿回数が2回以上の場合)

夜間頻尿は、「夜間に排尿のために1回以上起きなければならないという訴えであり、そのことにより困っている状態」と定義されており1)、生活の質(QOL)に強く関与している2)ことが知られています。
夜間頻尿の要因としては、多尿、夜間多尿、前立腺肥大症や過活動膀胱などの膀胱蓄尿障害、睡眠障害、加齢現象などが知られており、夜間多尿が夜間頻尿患者さんの8割以上で認められることが報告されています3)(海外データ)。しかし、従来、夜間多尿に対する治療法は限られており、新たな治療法の確立が求められていました。

2019年9月、日本で初めて「男性における夜間多尿による夜間頻尿」 の適応を有するミニリンメルト25/50㎍ が発売されました。
ミニリンメルト25/50㎍ は、抗利尿ホルモンであるアルギニン・バソプレシンと同様に、腎臓のV2受容体に選択的に作用する薬剤です。V2受容体を活性化して水再吸収を促進し、就寝前に服用することにより夜間の過剰な尿の生成を抑制して4)夜間頻尿を改善します。
以前から海外においては、成人の夜間多尿による夜間頻尿の治療薬として100μg・200μg錠(本邦未承認)及び60μg・120μg・240μg OD錠(夜間頻尿治療薬としては本邦未承認)が使用されていましたが、高齢者に対して、より安全に処方できるよう低用量製剤の臨床試験が行われ、有効性・安全性が示されました5,6)

本コンテンツでは、ミニリンメルト25/50㎍ の国内臨床試験成績と適正な使用方法をご紹介します。

1) 日本排尿機能学会 夜間頻尿診療ガイドライン作成委員会編集:夜間頻尿診療ガイドライン2009,p1

2) 日本排尿機能学会 夜間頻尿診療ガイドライン作成委員会編集:夜間頻尿診療ガイドライン2009,p10

3) Chang SC, et al., Urology. 2006 Mar;67(3):541-4.

4) 社内資料:KW-8008の受容体結合能測定試験
社内資料:KW-8008のOxytocin受容体に対する親和性の検討
社内資料:バソプレシンV2受容体に対する作用
社内資料:水及び尿素透過性亢進作用
社内資料:尿排泄量に対する作用(ラット)

5) Sand PK, et al.:J Urol 2013; 190(3): 958-964.  COI:本試験は,Ferring Pharmaceuticals社の資金提供により実施された

6) Weiss JP, et al.:J Urol 2013; 190(3): 965-972.  COI:本試験は,Ferring Pharmaceuticals社の資金提供により実施された

ミニリンメルトの
国内臨床試験成績

本試験の対象は、男性の夜間多尿による夜間頻尿患者342例で、ミニリンメルトの有効性と安全性をプラセボと比較して検討しました。

夜間排尿回数

主要評価項目の投与12週間の平均夜間排尿回数におけるベースラインからの変化量はいずれの用量群においてもプラセボ群と比較して有意な減少が認められ、ミニリンメルト50μgおよび25μgのプラセボに対する優越性が検証されました。
また、50μg群において、平均夜間排尿回数はベースラインから1.21回減少しました。

夜間尿量

こちらは投与12週間の平均夜間尿量のベースラインからの変化量を経時的にみたグラフです。
いずれの用量群も投与1週から減少し、いずれの評価時点においても、平均夜間尿量のベースラインからの変化量はプラセボ群と比べて有意に減少しました。

就眠後第一排尿までの
時間

また、投与12週間の就眠後第一排尿までの平均時間は、ベースラインからの変化量として50μg群117.60分、25μg群93.37分、プラセボ群は62.97分延長しました。
プラセボ群との群間差は、50μg群54.63分、25μg群30.40分であり、いずれの用量群においても、プラセボ群と比較して有意な延長を認めました。

安全性

本試験における副作用発現割合は、50μg群5.5%(6/109例)、25μg群7.0%(8/115例)、プラセボ群6.0%(7/117例)でした。
本試験における主な副作用は、50μg群で低ナトリウム血症1.8%(2例)、25μg群でBNP増加1.7%(2例)でした。
プラセボ群では、副作用として動悸、頻脈、消化不良、倦怠感、アルコール性肝疾患、BNP増加、血圧上昇が各0.9%(1例)に認められました。
中止に至った副作用は、50μg群で低ナトリウム血症1例、25μg群で血中カルシウム減少、肝機能異常がそれぞれ1例、プラセボ群では頻脈1例でした。重篤な有害事象は、50μg群で麻痺性イレウスが1例、25μg群で膵癌が1例認められましたが、治験薬との因果関係は否定されました。本試験において、死亡例は認められませんでした。

なお、本試験では低ナトリウム血症関連の副作用が50μg群の65歳以上で119例中3例に認められました。その内訳は、低ナトリウム血症が2例、血中ナトリウム減少が1例でした。

また、承認時までに認められた主な副作用は血中ナトリウム減少、脳性利尿ペプチド(BNP)増加、肝機能異常(0.5 ~ 5%未満)、頭痛、浮動性めまい、傾眠、便秘、口内乾燥、下痢、末梢性浮腫、顔面浮腫、浮腫、血圧上昇(0.5%未満)でした。重大な副作用として、低ナトリウム血症(0.8%)、うっ血性心不全(頻度不明)があらわれることがあります。

※ 低ナトリウム血症:血清ナトリウム値135mEq/L未満

ミニリンメルトの適正使用

このような臨床試験成績を有するミニリンメルトを、より適正に使用するためのポイントを以下にお示します。

適切な患者選択

ミニリンメルトの投与をする際は、適切な患者選択が求められます。

夜間頻尿を訴える男性患者さんで
❶夜間頻尿の症状のみがある場合には排尿日誌を用いて夜間多尿を確認します。
❷前立腺肥大症、過活動膀胱などの膀胱蓄尿障害がある場合はその治療を優先します。夜間頻尿の症状が改善しない場合は排尿日誌を用いて夜間多尿を確認します。

排尿日誌の記録によりミニリンメルトの適応となる「夜間多尿指数 33%以上」「夜間排尿回数 2回以上」が確認された場合には、
①夜間多尿の原因疾患である高血圧症、糖尿病、心不全、腎不全、肝胆道疾患、睡眠時無呼吸症候群などの有無
②禁忌に該当する低ナトリウム血症、うっ血性心不全が発現するおそれがある基礎疾患(心不全や体液貯留を伴う等)の有無(有る場合は投与しない)を精査し、
③血清ナトリウム値を測定しミニリンメルト投与の適否を判断します。

排尿日誌による
夜間多尿の診断

排尿日誌を用いた夜間多尿の診断について詳しくご紹介します。
排尿日誌は、患者さん自身に起床時刻、就寝時刻、排尿した時刻、1回の排尿量などを排尿のたびに記録していただくことで、昼間頻尿や夜間頻尿、多尿の診断や、夜間多尿指数などのパラメータを算出でき、夜間多尿の診断が可能です。
夜間多尿指数、つまり24時間尿量に対する夜間尿量の割合が65歳以上の高齢者では33%、非高齢者では20%以上の場合は夜間多尿であるとできます

※ミニリンメルトの効能又は効果に関連する注意
本剤投与は、年齢に関わらず夜間多尿指数注)が33%以上、且つ夜間排尿回数が2回以上の場合にのみ考慮すること。
注)夜間多尿指数:24時間の尿排出量に対する夜間の尿排出量の割合

投与前後の
血清ナトリウム値の測定

ミニリンメルトを投与する際は、低ナトリウム血症のリスク最小化のために、定期的な血清ナトリウム値の測定が求められます。
投与開始前、投与1週以内、投与開始から1ヵ月後には、採血による血清ナトリウム値のモニタリングを行ってください。その後は、季節要因、生活習慣の変動、合併症の状態変化を考慮し定期的な血清ナトリウム値の測定を行います。
血清ナトリウム値が急激な低下を認めた場合や、目安として135 mEq/L 未満を認めた場合には、投与を中止してください。

ミニリンメルトは、日本で初めて発売された
「男性における夜間多尿による夜間頻尿」の適応を有する薬剤です。

ミニリンメルトの投与を検討する際は、
夜間多尿による夜間頻尿であることを確認することが重要です。

そのために、まずは原因疾患の検索や排尿日誌等による適切な患者選択を行い、
併せて飲水制限などの生活指導の実施が求められます。

さらに、ミニリンメルトの投与前後には、
血清ナトリウム値の測定を実施し、適切な副作用モニタリングが重要です。

これらの条件を満たした患者さんは、
ミニリンメルトの効果が期待できると考えられます。

ミニリンメルトによるベネフィットを患者さんへ届けるために、
本日ご紹介した内容が、先生方の日常診療のご参考になれば幸いです。