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弊社製品領域の最新情報を論文等から紹介しています。特定の薬剤/システムの処方/使用誘因あるいは企業の営利を企図するものではなく、
また国内での承認外の情報を一部含んでおりますがこれを推奨するものではありません。薬剤の使用にあたっては最新の添付文書をご参照ください。


全胚凍結IVF周期の卵巣刺激:システマティックレビュー
Ovarian stimulation for freeze-all IVF cycles: a systematic review

Mizrachi Y, Horowitz E, Farhi J, Raziel A, Weissman A
Hum Reprod Update 2020年 26巻 1号 119〜136

新鮮胚移植周期と比べて凍結胚移植周期には利点があることから、全胚凍結IVF 周期が多く施行されるようになった。しかし、その到達目標や卵巣刺激法は確立されていない。本研究では、全胚凍結周期の卵巣刺激に関する様々な問題を明らかにするため、2000年1月~2019年1月に報告された文献のシステマティックレビューを行った。原著論文3,292件のうち69件(全胚凍結17件、卵子提供21件、凍結胚移植16件、新鮮胚移植15件)を対象とした。有効性と安全性のバランスを考慮すると、全胚凍結周期の採卵数が15~20個となるように卵巣刺激を行うべきである。卵胞発育の同期や治療スケジュールの調整のためには経口避妊薬を前投与してもよい。卵巣刺激は卵胞期初期に開始することが推奨されているが、将来的には全胚凍結周期の黄体期やランダムスタートの卵巣刺激も可能になると考えられる。全胚凍結周期の卵巣刺激に使用するゴナドトロピンの種類についてはデータが不十分である。ゴナドトロピンの投与量については個別に判断し、必要に応じた増量が可能である。全胚凍結周期の下垂体抑制法としてはGnRH アンタゴニストプロトコールが推奨され、トリガーとしてGnRH アゴニストとの併用が適している。GnRH アゴニストとhCG のダブルトリガーは卵子と胚の質を改善する可能性が示唆されているが、卵巣過剰刺激症候群のリスクがあるため、全胚凍結周期での使用についてはさらに検討する必要がある。全胚凍結周期では、トリガーの投与を2~3日遅らせ、採卵数を増やすことが可能である。全胚凍結周期での持続的なE2高値の影響を検討した質の高い研究はなく、質の低いエビデンスにおいて卵子や胚の質、凍結胚移植の転帰に対する持続的E2高値の悪影響は示されていない。卵胞期後期でのP4値の上昇はその後の凍結胚移植の転帰に悪影響を及ぼさないことが示唆されており、卵巣刺激時のP4値が上昇しても採卵や胚の凍結保存を中止するべきではないが、卵子や胚の質に及ぼす影響をさらに検討する必要がある。

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ビタミンD強化マーガリンを摂取した不妊症女性における出産の可能性:デンマークの集団ベースコホート研究の結果
Chances of live birth after exposure to vitamin D-fortified margarine in women with fertility problems:results from a Danish population-based cohort study

Jensen A, Nielsen ML, Guleria S, Kjaer SK, Heitmann BL, Kesmodel US
Fertil Steril 2020年 113巻 2号 383〜391

生殖年齢の女性の50%がビタミンD 欠乏症であり、ビタミンD 欠乏症は多嚢胞性卵巣症候群や子宮内膜症などと関連することが報告されている。デンマークでは、冬季の日照不足が原因のビタミンD 欠乏症対策として1962年から1985年5月31日までビタミンD(~50IU/100g)をマーガリンに添加することが義務付けられていた。本研究では、ビタミンD の栄養強化プログラムと不妊症女性の出産との関連を検討するため、1980年6月1日~1991年8月31日にデンマークで不妊症と診断された女性16,212例を対象とする集団ベースコホート研究を行った。診断時期が1980年6月1日~1985年5月31日(ビタミンD 強化期間:第1群)の6,313例(38.9%、年齢中央値28.1歳)、1985年6月1日~1986年8月31日(ビタミンD 強化の影響が残る期間:第2群)の1,404例(8.7%、28.9歳)、1986年9月1日~1991年8月31日(ビタミンD 強化の影響がない期間:第3群)の8,495例(52.4%、29.4歳)に対象を分けた。診断後12ヵ月以内の出産率は、第3群の8.7%と比べ、第1群で14.5%(調整オッズ比1.87、95% 信頼区間1.68~2.08)、第2 群で12.4%(1.52、1.27~1.81)と高かった。また、ビタミンD 強化期間では診断後12ヵ月以内の出産率が安定していたが、栄養強化プログラムの終了後に急速に低下し、その1年後からは緩やかに低下する傾向がみられた。なお、日照時間が長い4~9月は、日照時間が短い10~3月と比べ、診断後12ヵ月以内の出産率の調整オッズ比がわずかに高かったものの、ビタミンD 強化と出産率との関係に対し季節による大きな影響はみられなかった。診断後15ヵ月以内、18ヵ月以内の出産率についても、診断後12ヵ月以内の出産率と同様の結果が得られた。今後、出産率に対するビタミンD の作用機序を研究する必要がある。

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スウェーデンにおいてART妊娠と自然妊娠で生まれた単胎児の乳児期から青年期までの死亡率の比較
Mortality from infancy to adolescence in singleton children conceived from assisted reproductive techniques versus naturally conceived singletons in Sweden

Rodriguez-Wallberg KA, Lundberg FE, Ekberg S, Johansson ALV, Ludvigsson JF, Almqvist C, Cnattingius S, Iliadou AN
Fertil Steril 2020年 113巻 3号 524〜532

ART児の死亡リスクに関する研究は少なく、結果が異なっている。本研究では、1983~2012年にスウェーデンで生まれた単胎児のうち、先天奇形を除く2,847,108例を対象とする集団ベース前方視的コホート研究を行い、乳児期(1歳未満)および小児期(1~18歳)の死亡率を評価した。母親や児の特性に関する共変数の情報が得られた2,813,731例を最終的な解析対象とした。このうち43,320例(1.5%)がART 児であった。追跡期間中央値15.9 年において12,141例が死亡し、1万人‐ 年あたりの死亡率はART 児が4.17、自然妊娠児が3.22 であった。ART 児における1歳未満の死亡は114例(0.26%)であり、自然妊娠児と比べて死亡リスクが高く(調整ハザード比1.45、95%信頼区間1.19~1.77)、特に凍結胚移植でのリスクが高かった(2.30、1.46~3.64)。ART児における生後0~6日の死亡は63例であり、自然妊娠児と比べて死亡リスクが高く(1.33、1.01~1.74)、特に凍結胚移植でのリスク(2.34、1.31~4.18)、胚盤胞移植でのリスク(2.40、1.05~5.48)が高かった。ART 児における生後7~27日の死亡は23例であり、自然妊娠時と比べて、IVFでの死亡リスクが高かった(1.98、1.09~3.61)。ART 児における生後28~364日の死亡は28例であり、全体としてART 児と自然妊娠児の死亡リスクに有意差はみられなかったが、凍結胚移植でのリスクがART児で高かった(2.97、1.32~6.71)。ART児における1~18歳の死亡は35例(0.08%)であり、自然妊娠児と比べて死亡リスクの上昇はみられなかった(0.99、0.70~1.39)。以上の結果から、ART で生まれた単胎児は、生後早期の死亡リスクが高く、特に凍結胚移植での死亡リスクが生後1年まで高いことが示された。

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ヒューマンファクター:胚移植を行う医師の腕は周期転帰に有意な影響を及ぼすか?
The human factor: does the operator performing the embryo transfer significantly impact the cycle outcome?

Cirillo F, Patrizio P, Baccini M, Morenghi E, Ronchetti C, Cafaro L, Zannoni E, Baggiani A, Levi-Setti PE
Hum Reprod 2020年 35巻 2号 275〜282

卵巣刺激法の改善や胚培養技術の向上が進んだものの、ART の成功において胚移植が重要なステップであることに変わりはない。本研究では、胚移植を行う医師の腕や経験がARTの成功率に影響するかを検討するため、1996年1月~2016年12月にイタリアの1施設において32名の医師が施行したIVF/ICSI‐ 新鮮胚移植周期19,824サイクルを対象とする後方視的比較研究を行った。経腹超音波ガイド下でカテーテルの位置を確認しながら外筒を挿入し、胚を充填したソフトカテーテルを挿入して子宮内に初期胚または胚盤胞を移植した。胚移植の94.97%がこのソフトカテーテルシステムを使用した。医師32名が平均162ヵ月間に施行した胚移植は平均620±887回で、全体の非調整継続妊娠率は21.36%(8~29%)であった。ランダム切片モデルを用いたロジスティック回帰分析の結果、患者側の影響(年齢、FSH 基礎値、採卵数、受精率、移植胚数、胚のステージ)、施行年、医師の経験で補正した継続妊娠率に医師間で有意な異質性がみられたことから(p=0.0098)、患者側の影響を除いても医師の腕が継続妊娠率に影響を及ぼすと考えられた。継続妊娠率がもっとも低い医師では平均よりも約16%低く、もっとも高い医師では平均よりも約13%高かった。しかし、継続妊娠率に関与する可能性のある交絡因子のうち、医師全体の経験は有意な影響を示さなかった。医師が経験を積むことによる継続妊娠率への影響を個別に解析したところ、個人差が大きく(I2=44.5%、p =0.005)、全体として経験による改善の傾向は認められなかった。以上の結果から、医師の腕はART の転帰に重大な影響を及ぼす因子であることが示された。最初の研修を終えると、医師自身の胚移植操作を見直す機会が少ないことから、再研修や標準法の再評価、デジタルシミュレータの使用が胚移植の習熟に役立つものと考えられる。

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