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適正使用情報:プロウペスの投与に際して

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適応患者の選択

1. 警告(抜粋)
1.1 過強陣痛やそれに伴う胎児機能不全、子宮破裂、頸管裂傷、羊水塞栓等が起こることがある。また、過強陣痛を伴わない胎児機能不全が起こることもある。これらが生じた結果、母体や児が重篤な転帰に至った症例が報告されているので、本剤の投与にあたっては以下の事項を遵守し慎重に行うこと。
1.1.2 本剤は子宮頸管熟化不全の患者にのみ使用し、本剤の使用に際しては母体及び胎児の状態を十分に観察した上で慎重に適応を判断すること。また、子宮筋層の切開を伴う手術歴(帝王切開、筋腫核出術等)又は子宮破裂の既往歴のある患者には使用しないこと。
1.1.3 オキシトシン、ジノプロスト(PGF)、ジノプロストン(PGE2)と同時併用しないこと。また、本剤投与終了後に分娩誘発・促進のためにこれらの薬剤を使用する場合、1時間以上の間隔をあけ、十分な分娩監視を行い、慎重に投与すること。

適応となる妊婦

妊娠37週以降の子宮頸管熟化不全の妊婦

 妊娠37週以降の子宮頸管熟化不全の妊婦

妊娠37週以降の子宮頸管熟化不全(過期産及びその予防、母体の合併症等により分娩誘発を行う必要がある場合)にプロウペスの投与の適否を検討してください。
産婦人科診療ガイドライン産科編 20201)にも記載されている通り、ビショップスコア6点以下1、2)を「子宮頸管熟化が不良」と判断することが多いとされています。なお、国内臨床試験ではビショップスコア4点以下を選択基準の1つとしました。

なお、国内で実施された多施設共同非盲検第Ⅲ相試験3)及び多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第Ⅲ相試験4)では、対象を妊娠37週0日以上40週6日以下の妊婦及び妊娠41週0日以上41週6日以下の妊婦としていたため、妊娠37週未満の妊婦への有用性は検討していません。海外臨床試験5、6)では妊娠36週の妊婦にプロウペスが使用され、副作用の発現率は、妊娠36週の妊婦で6.3%(1/16例)、正期産の妊婦で1.2%(8/664例)、投与後12時間以内の子宮頸管熟化成功率は各6.3%(1/16例)、45.2%(298/659例)でした。

*子宮頸管熟化成功率の定義:国内第Ⅲ相臨床試験と同様(ビショップスコアが7点以上又は経腟分娩のいずれかに至った場合)

適応とならない妊婦(禁忌)

すでに分娩開始している患者 ジノプロストンの子宮収縮作用により、過強陣痛、胎児機能不全を起こすおそれがあります。

過強陣痛参照

胎児機能不全参照

子宮筋層の切開を伴う手術歴(帝王切開、筋腫核出術等)又は子宮破裂の既往歴のある患者 子宮壁が脆弱になっている可能性が高く、過強陣痛が生じると不全子宮破裂や子宮破裂のおそれがあります。
子宮頸管を含む子宮筋層の切開の既往歴を患者に確認してください。
胎児機能不全のある患者 ジノプロストンの子宮収縮作用により、児頭や臍帯の圧迫、子宮胎盤循環不全等が生じ胎児の状態を悪化させるおそれがあります。
前置胎盤のある患者 経腟分娩を行った場合には、突然の大量出血等により、母体及び胎児への障害を起こすおそれがあります。
常位胎盤早期剥離のある患者 母体及び胎児への重篤な障害を起こすおそれがあるため、緊急な胎児娩出が要求されます。
児頭骨盤不均衡又は胎位異常のある患者 正常な経腟分娩が進行せず、母体及び胎児への障害を起こすおそれがあります。
医学的適応での帝王切開の患者 経腟分娩ではリスクがあるために帝王切開を行う患者においては、ジノプロストンの子宮収縮作用により、母体及び胎児への障害を起こすおそれがあります。
オキシトシン、ジノプロスト(PGF)又はジノプロストン(PGE2)を投与中の患者 ジノプロストンの子宮収縮作用により、子宮収縮作用を持つ薬剤を併用すると、子宮収縮作用が増強され過強陣痛を起こしやすいため、併用禁忌です。また、プロウペス投与終了後に分娩誘発のためにこれらの薬剤を使用する場合には1時間以上の間隔をあけ、十分な分娩監視を行い、慎重に投与してください。

相互作用参照

吸湿性頸管拡張材又はメトロイリンテルを実施中もしくはプラステロン硫酸エステルナトリウムを投与中の患者 ジノプロストンの子宮収縮作用により、子宮収縮を促すおそれのある処置を併用することにより子宮収縮作用が増強するおそれがあるため、併用禁忌です。また、プロウペス投与終了後に分娩誘発のためにこれらを使用する場合には1時間以上の間隔をあけ、十分な分娩監視を行い、慎重に使用してください。

相互作用参照

本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者 過敏症を引き起こす可能性があります。 表:ジノプロストン

注意すべき妊婦(特定の背景を有する患者に関する注意)

前期破水のある患者 子宮からの羊水流出により、プロウペス投与時に腟内のpHが上昇している患者では、ジノプロストン放出速度が上昇することで、副作用のリスクが増強すると考えられます。前期破水のある妊婦では、腟内の羊水の曝露状況に応じてプロウペス投与の適否、投与中は子宮及び胎児の状態からプロウペス除去の要否を慎重に判断してください。

腟内pHとジノプロストン放出速度について参照

過強陣痛の既往歴のある患者 過強陣痛が生じるおそれがあります。過強陣痛の既往歴のある患者では子宮筋の感受性が高く過強陣痛が生じやすい可能性があるため、プロウペスの子宮収縮作用から過強陣痛を引き起こすおそれがあります。
緑内障又はその既往歴のある患者 房水を増加させ眼圧を上昇させるため、プロウペス投与により緑内障が悪化又は再発するおそれがあります。ジノプロストン(PGE2)で眼圧が上昇したとの動物データ7)があります。
喘息又はその既往歴のある患者 喘息が悪化もしくは再発するおそれがあります。ジノプロストン(PGE2)は気管支平滑筋弛緩作用と粘液分泌抑制作用を有しており、喘息既往患者で喘息発作を惹起しなかったものの、PGFと同様に気管支を収縮させたとの報告があります8、9)
多胎妊娠の患者 子宮が脆弱になっていることがあり、強い子宮収縮を生じると子宮破裂のおそれがあります10)。治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与してください。多胎妊娠の患者及び正期産を4回以上経験している患者については、臨床試験を実施していません。
正期産を4回以上経験している患者

腟内pHとジノプロストン放出速度について

腟内pHが酸性から中性になるに従い、プロウペスのジノプロストン放出速度が上昇したとの海外報告11)があります。また、腟内洗浄によって腟内のpHが上昇し、ジノプロストンの放出が高まり過強陣痛の発現リスクが高まったとの海外報告12)もあります。
プロウペスの投与に際して腟内pHの変動が生じる処置は避けるなど、腟内のpHの変動に注意してください。

<参考>プロウペス投与時間とジノプロストン放出量(外国人データ)11)
図:<参考>プロウペス投与時間とジノプロストン放出量(外国人データ)
<参考>プロウペス挿入時pHとジノプロストン放出速度(外国人データ)11)
図:<参考>プロウペス挿入時pHとジノプロストン放出速度(外国人データ)

【海外単施設非盲検前向き研究11)

対象
:医学的適応により分娩誘発を予定する(妊娠37週以上、ビショップスコア6点以下、18歳以上、満期出産回数3回以下、単胎頭位妊娠)未破水又は前期破水妊婦68例(未破水群47例、前期破水群21例)
方法
:プロウペスを0.5、1、1.5、2、3、4、6、8、10、12、16、20、24時間で投与し、投与後2時間は安静とした。ジノプロストン及びその代謝物の測定のため、プロウペス投与前及び投与後4時間毎に母体より採血した。腟内pHはpH試験紙によりプロウペス投与前、除去後に測定した。ビショップスコアは、プロウペス投与前、投与8時間後、12時間後、除去直後に評価した。除去後の製剤中のジノプロストン量を測定した。
評価項目
:血漿ジノプロストン濃度、血漿ジノプロストン代謝物濃度、分娩方法
解析計画
:各群について、初産婦、経産婦のサブグループ解析を行った(未破水/初産婦群15例、未破水/経産婦群16例、前期破水/初産婦群8例、前期破水/経産婦群8例)。連続変数はt検定を用いて解析した。時間、pH、ビショップスコアの差の検定にはWilcoxon検定を用いた。相関分析にはPearsonの相関係数又はSpearmanの相関係数を用いた。ジノプロストンの放出量は最小二乗線形回帰モデルを用いて計算した。
安全性
:9例で子宮収縮抑制薬を投与した(帝王切開前の投与1例、過強陣痛1例、子宮頻収縮5例、胎児機能不全の徴候2例)。プロウペス除去後に胎児機能不全が5例で報告された。
※本邦で承認されているプロウペスの用法及び用量は以下のとおり
本剤1個を後腟円蓋に挿入し、最長12時間腟内に留置する。

1)日本産科婦人科学会, 日本産婦人科医会編:産婦人科診療ガイドライン 産科編 2020. 2020; 233-234. [FP09150]

2)伊東宏晃:産科診療Q&A 一つ上を行く診療の実践. 2015; 119-123.[FP06137]

3)社内資料;国内多施設共同非盲検第Ⅲ相試験(261試験)[承認時評価資料]

4)社内資料;国内多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第Ⅲ相試験(262試験)[承認時評価資料]

5)Wing DA. et al.: Obstet Gynecol. 2013: 122(2 Pt 1); 201-209.[FP05834]

6)Rugarn O. et al.: BJOG. 2017: 124(5); 796-803.[FP06736]

7)中島徹他:日眼会誌. 1992: 96(4); 455-461.[FP08051]

8)後藤清美他:周産期医. 2015: 45(増刊); 378-379.[FP05822]

9)小野恵美子他:喘息. 2006: 19(3); 27-34.[FP08033]

10)木村芳孝他:産婦治療. 2007: 94(2); 190-196.[FP07764]

11)Lyrenäs S. et al.: Br J Obstet Gynaecol. 2001: 108(2); 169-178.[FP06688]

12)Yayla AÇ. et al.: J Obstet Gynaecol Res. 2018: 44(12); 2149-2155.[FP07669]